ペルソナ設定とは?重要性や手順、注意点を詳しく紹介

ペルソナ設定を行うことで、自社の商品やターゲットを売り込む顧客像をより明確化できるため、顧客目線でのアプローチや、より顧客に響きやすい訴求を実現します。
この記事では、ペルソナ設定の方法や設定時の注意点についてご紹介します。
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マーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人
株式会社クリエイティブバンクのマーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人。得意分野は、SEO全般・サイト分析・オウンドメディア・コンテンツマーケティング。バンソウはクライアント様のBtoBマーケティングをサポートするサービスです。詳しい内容はこちらをご覧ください。
ペルソナ設定とは
ペルソナ設定は、自社の商品やサービスを売るために、ターゲットとする顧客像を詳細に作り込んだ「ペルソナ」を設定することを指します。
ペルソナを設定する際は、「20代~30代」「女性」など大まかな年齢や性別だけではなく、「営業職」「短大卒」「独身」など職業や家族構成なども細かく設定します。また、「仕事終わりにジムに通っている」「休日はカフェで過ごす」など普段どのような生活を送っているのか、ライフスタイルまで掘り下げることで、効果的なアプローチの方法やタイミングなどを検討しやすくなります。
ペルソナの例
ペルソナは、具体的に次のようなイメージで設定します。今回は、例として「駅前に新規オープンしたパーソナルジム」を提供する際に設定したペルソナをご紹介します。
【氏名】高橋 健一郎
【性別】男
【年齢】30歳
【職業】営業職
【家族構成】独身、1人暮らし
【居住地】東京23区内
【年収】600万円
【趣味】スポーツ観戦、読書
【休日の過ごし方】
・友人とスポーツ観戦など外出がほとんど
・業務が入ることもある
【性格】
・気になることを納得するまで調べる
・物事を柔軟に考える
【悩んでいること】
・自炊をほとんど行えていない
・残業によって生活習慣が乱れがち
・学生時代は運動部だったが現在は運動していないため、体形の変化が気になる
【情報収集する時間帯】
・通勤などの移動中
・寝る前
【情報収集に使用する媒体】
このように自社の商品やサービスを利用する顧客のイメージを明確にすることで、「30歳の男性に響く文言やデザインは何か」「24時間利用できる点を強みとして押し出すか」「Instagramを中心に広告を配信するか」「忙しい人でも食生活を改善できるポイントを提示したコンテンツを作成するか」など、さまざまな施策を検討しやすくなるだけでなく、ペルソナにとって最適な施策を打ち出せる可能性が高まります。
ペルソナ設定をする重要性
ペルソナ設定を行ったかによって、マーケティング活動の成果にも影響します。ペルソナ設定をする重要性は、次のとおりです。
ターゲットに響く訴求がしやすい
ペルソナはターゲットよりも詳細に年齢や居住地、ライフスタイルなどを作り込み、属性を絞り込んでいるため、アプローチする範囲は狭まるものの、ターゲットのニーズや課題、購買意欲を刺激しやすい訴求が可能になります。
アプローチする範囲が広い場合、多くのユーザーに対して働きかけることができる一方で、どのユーザーに対しても深く刺さらず、成果が得られないといったケースもあります。アプローチする範囲を狭めることで、ターゲットが共感できるメッセージや「自分にはこの商品やサービスが必要だ」と感じる訴求を行えます。
社内で一貫した顧客イメージを持てる
ペルソナを設定しておくことで、狙うべき顧客像を社内で共有し、共通のイメージを持てます。そのため、自社では狙っていない層のユーザーに誤ってアプローチしてしまい、思うような成果が得られないなどの無駄な労力を抑えながら、社内全体で的確なアプローチができるようになります。
また、担当者が変わる場合やプロジェクトに関わる担当者が増えた際も、ペルソナを用意しておくことで担当者間での認識のずれがなくなるため、スムーズな引き継ぎやレクチャーが可能です。
顧客目線でのアプローチができる
ペルソナでは、顧客像を詳細に作り込むため、ユーザーの年齢や性別、居住地以外にも、趣味や興味関心、ライフスタイル、家族構成などに沿った施策を打ち出しやすくなります。そのため、顧客が今何を課題としているのか、自社の商品やサービスを利用する際に悩むポイントは何かなどを把握でき、顧客目線でのアプローチを可能にします。
ペルソナ設定の手順
ここまで、ペルソナの具体例や設定する重要性についてご紹介しました。実際にペルソナを設定するときは、次の手順で進めます。
1.自社の商品やサービスの強みを分析する
まずは、自社の商品やサービスが何を強みとしているのかを分析します。あわせて、商品やサービスの弱み、市場や業界のトレンドなども洗い出します。自社の分析をする際は、以下の「5C分析」を意識するとよいでしょう。
- 顧客(Consumer):顧客の量的理解と質的理解
- 競合(Competitor):競合他社の商品やサービス、市場規模など
- 自社(Company):自社のリソース、市場規模
- 中間顧客、協力者(Collaborator):販売代理店、パートナー企業など
- 地域(Community):社会情勢、世論、景気など
2.ペルソナの設定項目を考える
次に、ペルソナを作成する際の設定項目を考えます。主によく使われる設定項目は、次のとおりです。
【氏名】
【性別】
【年齢】
【職業】
【家族構成】
【居住地】
【年収】
【趣味】
【休日の過ごし方】
【性格】
【悩んでいること】
【情報収集する時間帯】
【情報収集に使用する媒体】
【よく見るWebサイトや雑誌、テレビ番組など】
【好きなブランド】
【主に使用するデバイス】
そのほかにも、商品やサービスのジャンルによって項目を追加したり、反対に不要な項目は削除したりすることで、必要な情報のみを網羅したペルソナを作成できるでしょう。
設定項目は、「基本情報」「ライフスタイル」「個性」「自社との関わり方」の4つに分けられるため、いきなりすべての項目を作成しようとするのではなく、「基本情報にはこの項目を含む」など分類したうえで設定するほうが整理しやすいでしょう。
「基本情報」に含まれる項目
- 氏名
- 年齢
- 生年月日
- 居住地
- 職業
- 家族構成
- 年収
など
「ライフスタイル」に含まれる項目
- 1日の過ごし方
- 休日の過ごし方
- 休日の曜日、働き方
- 交友関係
- 趣味、特技
- よく使うSNSやWebサイト
- 好きなブランド、メーカー
- 情報収集する際の方法、時間帯
- 主に使用するデバイス
など
「個性」に含まれる項目
- 性格
- 目指していること、将来の夢
- 価値観
- 癖
- 悩んでいること
- 興味、関心
など
「自社との関わり方」に含まれる項目
- 自社の商品やサービスを知るきっかけ
- 商品やサービスを購入する際に課題となる点
- 商品やサービスを購入する決め手
- 購入後に期待すること
- 自社に対して共感を得るポイント
など
3.ペルソナを作り込む
設定項目を決めたら、項目に沿ってペルソナを作り込みます。項目を埋める際は、「きっとこういう人物だろう」と予想して埋めるのではなく、既存顧客へのインタビューやアンケート、SNSでのリサーチなどを行い、客観的な情報をもとに作成することが大切です。架空の人物像を作成するものの、自社の既存顧客と共通する箇所が多く、今後も獲得が見込めそうな顧客像を見極めることで、的確なペルソナを作成でき、アプローチの精度が高められます。なお、顧客とよくコミュニケーションを取る営業担当者やカスタマーサポート部門などから情報を集めるのもおすすめです。
4.改善を重ねる
ペルソナは作って終わりにするのではなく、定期的に「自社が実際に獲得できている顧客像と乖離がないか」「市場や業界のトレンドを反映できているか」「ターゲットとするユーザーの年齢層に変化がないか」などを確認することが大切です。効果の検証や改善を重ねなければ、最初のうちは成果が得られていたとしても、時間がたつにつれて成果が得づらくなってしまうこともあります。
このように、PDCAやOODAといったフレームワークを活用しながら、検証や問題の抽出、改善策の実行などを繰り返すことを意識しましょう。
ペルソナ設定時の注意点
最後に、ペルソナを設定する際は、以下の点にご注意ください。
身近にいそうな顧客像を意識する
ペルソナを設定する際は、自身の身近に存在しそうな顧客像が設定できているかを確かめながら設定しましょう。身近にいなさそうな顧客像をペルソナとして設定した場合、ペルソナがどのような生活を送っているのか、どのように商品やサービスの認知や検討に至るのかなどを正確に把握できません。そのため、ライフスタイルやニーズなどを読み取りやすい、身近にいそうな顧客像で設定することを意識しましょう。
客観的なデータに基づいて設定する
ペルソナを設定する際は、主観でイメージを作り込まないよう注意が必要です。自社の先入観に基づく顧客像や都合のよい顧客像を設定したとしても、実際のターゲットとはずれが生じている可能性があります。このようなずれが生じてしまうことで顧客獲得の機会を逃してしまわないよう、先述したように既存顧客へのインタビューやアンケートなども行いながら、客観的なデータに基づいた設定が重要です。既存顧客以外にも、身の回りの家族や友人にペルソナと合う人物がいれば、それらも参考にするとよいでしょう。
不要な要素は盛り込まない
ペルソナを作り込む際は、できるだけ詳細に設定できるようさまざまな設定項目を設けるケースも多いです。しかし、むやみやたらに項目を作ってしまうと、自社の商品やサービスを売り込むことにおいては不要な情報も多く含まれてしまい、施策を検討する際にノイズとなる可能性があります。先述したように、最初は設定項目を大まかに分け、そのうえで細かい項目を決めたり、一通り項目が洗い出せたら具体的に設定内容を決める前に、自社にとって本当に必要な項目であるかを見直したりすることがおすすめです。
複数ターゲットを狙う際はそれぞれペルソナを設定する
フィットネスジムや学習塾など、ターゲットとするユーザーの性別や年齢が複数パターンにわたり、それぞれ訴求方法を変えてアプローチしたい商品やサービスを取り扱っている場合は、男性のペルソナ/女性のペルソナ、保護者のペルソナ/生徒のペルソナなど、複数パターンのペルソナを設定するとよいでしょう。男性には健康面での訴求・女性には美容面の訴求を行うなど、設定した内容に沿って柔軟なアプローチができるようになります。
ペルソナの感情面も考慮する
ペルソナの設定を行うと同時に、ペルソナは何を思ってこのような行動をとっているのか、どのような価値観からこのような生活を送っているのか、など感情面も考慮することで、より理解が深まります。
なお、ペルソナ設定とあわせて、カスタマージャーニーマップの作成もおすすめです。カスタマージャーニーマップは、ペルソナが自社の商品やサービスを認知してから購入に至るまでの道のりを図で表しており、ペルソナの一つ一つの行動に対して、どのような感情や課題、ニーズを抱くかなどを考え、顧客理解を深めます。
まとめ
この記事では、ペルソナ設定の方法や設定時の注意点についてご紹介しました。ペルソナを設定する際は、自社の「こういう人に顧客になってもらいたい」「きっとこういう人が利用してくれるだろう」という希望や思い込みにとらわれないように、既存顧客へアンケートなどを行いながら、客観的な目線で人物像を組み立てることが大切です。記事内でご紹介した設定項目などを参考に、まだペルソナを設定していない方はぜひ作成してみてください。