CTR(クリック率)とは?計算方法や改善のコツを解説
CTRとはクリック率とも呼ばれ、SEOやマーケティングの領域でよく用いられる指標です。ユーザーからのクリックが多いコンテンツは、ユーザーの興味を引くタイトルやクリエイティブが作成できているともいえます。この記事では、CTRとは何かを、計算方法や確認方法、各業界の平均数値、向上させるコツ、注意点などとあわせて解説します。
CTRとは?
CTR(Click Through Rate)とは、クリック率やクリックスルー率とも呼ばれ、ユーザーに広告などのコンテンツが表示された回数(インプレッション数)の中で、コンテンツがクリックされた回数がどのくらいの割合かを示す指標です。CTRは、主にSEOや広告運用、マーケティングの領域でよく使われます。
SEOにおけるCTR
CTRは検索結果の順位によって変動する傾向があるため、SEOにおいても重視されています。FirstPageSageの「Google Click-Through Rates (CTRs) by Ranking Position in 2024」によると、平均CTRは、掲載順位が1位の場合39.8%、2位の場合18.7%、3位の場合10.2%になり、上位3ページでも大きな差が見られます。そのため、コンテンツが上位化することによって、自社のWebサイトへのアクセスも増え、結果的に問い合わせ数や購入数、資料ダウンロード数など自社で狙うCV(コンバージョン)数の増加も狙えます。
リスティング広告におけるCTR
リスティング広告とは、検索結果画面に表示される広告を指します。リスティング広告においても、SEOと同様に、掲載順位が高いほどCTRが高い傾向です。特に、リスティング広告では「指名系」と呼ばれる、ブランド名や企業名を含んだキーワードでのCTRが高いといわれています。しかし、リスティング広告の場合、業界やキーワードによっても平均CTRは異なります。業界別の平均CTRについては、後ほど詳しくご紹介します。
ディスプレイ広告におけるCTR
WordStreamの「Google Ads Benchmarks for YOUR Industry」によると、全業界におけるリスティング広告での平均CTRは3.17%、ディスプレイ広告の平均CTRは0.46%です。しかし、ディスプレイ広告におけるCTRは低いものの、数年間で上昇傾向にあるといわれています。
メルマガにおけるCTR
メルマガなど、メールマーケティングにおけるCTRは、メールが開封された回数のうち、メール内に含まれるリンクや画像がクリックされた回数から算出します。メールマーケティングではより多くのユーザーをリンク先へ誘導し、購入や申し込みなどのアクションを促すことを目的としているため、反応のよい画像やリンクのデザイン、配置などを分析しながらCTRを高めます。
CTRはどのように変動する?
CTRは、広告文やコンテンツのタイトル、掲載場所、掲載時間、配信媒体などさまざまな要素によって変動します。ほかにも、ターゲットの居住地や年齢、性別などによってもCTRに影響することもあるため、CTRが上がった場合も下がった場合も、要因は複数考えられます。CTRは分析指標として活用しやすいものの、深く考えずに要因を絞り込むのではなく、まずは総合的に見て分析することが大切です。
CTRの計算式
CTRは、次の計算式で求めることができます。
CTR(%)= クリック数 ÷ 表示回数(インプレッション数)×100
例えば、クリック数が20回、表示回数が1,000回だった場合は、次のように計算します。
CTR(%)= 20 ÷ 100 × 1,000
CTR(%)=2%
よって、この場合のCTRは2%と算出できます。
Google サーチ コンソールでCTRを確認する方法
自社のWebページがどのくらいのCTRであるかを確かめる際は、Google サーチ コンソールが利用できます。
Google サーチ コンソールを開いたら、
左側のメニューバーから「検索結果」をクリックすることで、Webサイト全体の平均CTRが確認できます。
なお、「+新規」から、キーワードやページURLを入力することで、キーワードごとやページごとのCTRも確認できます。
Google サーチ コンソールでは期間の指定も行えるため、1週間や1か月など、各期間にどのように変動したかを見ることで、新たな施策の考案や改善点の発見に役立ちます。
業界別の広告による平均CTRの目安
リスティング広告やディスプレイ広告では、業界によってCTRに差があります。ここでは、業界別のCTRの目安をご紹介します。次の表は、リスティング広告、ディスプレイ広告の平均CTRをそれぞれご紹介します。
業界 | 平均CTR(リスティング) | 平均CTR(ディスプレイ) |
権利擁護 | 4.41% | 0.59% |
家庭用品 | 2.44% | 0.49% |
自動車 | 4.00% | 0.60% |
産業サービス | 2.61% | 0.50% |
BtoB | 2.41% | 0.51% |
法律 | 2.93% | 0.59% |
消費者サービス | 2.41% | 0.51% |
不動産 | 3.71% | 1.08% |
デート、婚活 | 6.05% | 0.72% |
テクノロジー | 2.09% | 0.39% |
電子商取引 | 2.69% | 0.51% |
旅行・ホスピタリティ | 4.68% | 0.47% |
教育 | 3.78% | 0.53% |
健康・医療 | 3.27% | 0.59% |
雇用サービス | 2.42% | 0.59% |
健康・医療 | 3.27% | 0.59% |
金融・保険 | 2.91% | 0.52% |
引用:Google Ads Benchmarks for YOUR Industry
CTRを上げるコツ
CTRを上げ、自社のコンテンツへのアクセスを増やすには、主に次のような方法があげられます。
適切なキーワードを設定する
リスティング広告やSEOコンテンツを配信する際は、ユーザーが検索するキーワードに対して関連性の高い広告やランディングページ、記事といったコンテンツが作れているかが重要です。ユーザーの検索意図とずれていたり、ユーザーの求めていない訴求内容でコンテンツを提供していたりする場合、ユーザーの興味を引くことにつながらないため、クリックされる確率も下がってしまいます。
自社で設定したキーワードが意図したとおりに検索されているのか、ユーザーがどのようなキーワードで自社のコンテンツを見つけているのかなどを調べる際には、Google サーチ コンソールを使って流入キーワードを調査します。
流入キーワードの調べ方や役立つツールについては、以下の記事でも解説しているので、気になる方はご覧ください。
流入キーワードの調べ方は?無料や有料で使えるツールを紹介
なお、キーワードを設定する際は、Google広告が提供するキーワード プランナーがおすすめです。キーワード プランナーのキーワード検索機能では、入力した単語やフレーズ、競合サイトのURLから関連するキーワードを抽出し、それぞれの検索ボリュームや競合性などを確認できます。
ユーザーのニーズを把握する
ユーザーのニーズを的確に把握することで、ユーザーが求めるコンテンツや訴求内容が提供できるようになります。ユーザーの年齢や性別、居住地によっても興味関心は異なるため、自社で狙うキーワードがどのターゲット層に響くかを理解することも大切です。CTRの数値をもとにユーザーの傾向を分析することで、ターゲット層を絞り込みやすくなり、的確なユーザーニーズの理解に役立ちます。
ペルソナを設定する
ペルソナとは、自社の商品やサービスを利用してくれそうな架空の顧客像を指します。例えば、年齢や性別、居住地などの情報はもちろん、家族構成や職業、職場、学歴、趣味、年収なども細かく設定し、1人の人物をイメージできるよう作り込みます。ペルソナを設定することでユーザーへの理解が深まり、よりユーザーに寄り添ったコンテンツを提供することができるようになります。
タイトルやメタディスクリプションを工夫する
ユーザーが検索結果を見て最初に目に入るのが、タイトルやメタディスクリプションです。メタディスクリプションは、検索結果でタイトルの下に表示される短い文章を指します。タイトルやメタディスクリプションでは、コンテンツの内容を簡潔に表した内容かつユーザーの興味を引く内容を盛り込むことが大切です。
タイトルでよく使われるフレーズには、「〇〇は△△できる?」などユーザーの疑問を代弁するものや、「おすすめの〇〇10選」のように数字を含むもの、「〇〇はもう遅い!」「まだ〇〇やってるの?」などユーザーの不安をあおるものなどさまざまなパターンがあるため、コンテンツの内容に合わせて工夫しましょう。なお、タイトルやメタディスクリプションは文字数が多い場合文章が途切れてしまうため、特に伝えたい内容や重要なポイントは前半に記述するよう注意が必要です。
クリエイティブも意識する
AIなどの進化により、広告クリエイティブや記事内の画像をデザインする際に、デザインのスキルを必要とせずとも簡単に画像を作成できるようになりました。しかし、技術が進化する一方で、類似したクリエイティブが複数存在するケースもあり、競合との差別化がさらに重要視されています。AIやCanvaといった画像作成ツールでデザインのベースを作ったうえで自社で撮影した写真を使ったり、インパクトのあるテキストを盛り込んだりするなどのオリジナル性も加えることで、ユーザーの目に留まりクリックしてもらえる可能性が高まります。
強調スニペットへの表示を狙う
強調スニペットとは、検索結果の最上部に表示される特別な枠を指し、検索キーワードに対する回答を強調して表示する仕組みです。例えば、「強調スニペット」で検索すると、次の画像のような検索結果が最上部に表示され、強調スニペットが何かの回答をすぐに得られます。
「〇〇とは」といったキーワードなど、強調スニペットへの表示が狙えそうなコンテンツについては、最適化させることでCTRの向上が期待できます。一方で、強調スニペットによって、最上位にユーザーが知りたい内容が端的に表示されることによって、表示内容のみでユーザーが満足してしまい、ページのクリックにはつながらない「ゼロクリックリサーチ」が発生してしまう恐れもあるため注意が必要です。コンテンツによって、強調スニペットを表示させないよう設定するなどの工夫をすることもおすすめします。
リスティング広告を活用する
リスティング広告では、ユーザーが検索するキーワードに合わせて広告を表示させることができます。また、検索結果の上部に表示されることによって、ユーザーが特定のキーワードで検索したタイミングで広告が表示されるため、「知りたい内容が書いてありそう」と、ユーザーにクリックしてもらえる可能性も高いです。リスティング広告は、広告配信をすることでSEOコンテンツのように上位化を狙わずとも検索結果の上部に表示されるため、広告を配信し始めてから短期間でも比較的成果が出やすい点もメリットです。
CTRを向上させる際に注意すべきポイント
ここまで、CTRを上げるコツについてご紹介しました。前述のコツを実践する際には、注意すべきポイントもあります。
適切なターゲット設定ができているか
広告を配信する際は、配信するターゲット層の設定が正しく行われているかを必ず確認します。例えば、関東に住む女性向けに配信しようとしていた広告を、関西に住む男性に向けて配信しても、ユーザーには興味を持ってもらえないでしょう。誤ったターゲット設定のまま配信を続けてしまうと、広告費の無駄遣いにもつながってしまうため、広告を配信するターゲットやペルソナ像はあらかじめ明確にしておき、配信時にも誤りがないかを確認することが大切です。
凝りすぎた表現はわかりづらいことも
ユーザーからのクリックを狙うために、表現に凝ったタイトルをつけることは大切です。しかし、凝った表現をすることを意識しすぎるあまり、ユーザーがイメージしづらいタイトルや、一目見てコンテンツの内容が理解しづらいタイトルは、かえってクリックされなくなってしまう可能性があります。タイトルによっては、端的な表現を使ったものや、コンテンツの内容を簡潔にまとめたタイトルがユーザーにとって理解しやすく、好まれる場合もあるので、さまざまなパターンのタイトルをテストしてみることもおすすめです。
具体的な数字を盛り込む
ユーザーからのクリックを増やすためには、説得力のある内容を記述する必要があります。このとき、「おすすめアイテム〇選を紹介」「〇〇で〇〇率が30%向上」「〇〇社以上の導入実績」といった具体的な数字を盛り込むことで、ユーザーに「この記事を読めば〇種類のアイテムが見れるのか」「この商品を使うと30%も効果が見込めるのか」とイメージしてもらいやすくなり、詳しくコンテンツを見てみようとクリックにつながる可能性が高まります。
ユーザーの背中を押す内容を含む
商品やサービスの導入をCVポイントとしている場合、ユーザーが導入を決める際の検討材料となる要素をタイトルや広告文に含めるのもおすすめです。初期費用や期間限定キャンペーン、サポート体制、他社からの評価、サービスを利用できる地域など、ユーザーが「この商品やサービスなら安心して利用できそう」と感じる内容を含むことで、クリックされやすくなる場合があります。
広告表示オプションを設定しているか
広告を配信する際は「広告表示オプション」も設定することをおすすめします。広告表示オプションとは、Googleで広告を配信した際に、広告文の中で説明できなかったテキストや住所、電話番号、URLなどの情報を広告文の下に表示できる機能です。
例えば、デバイスの修理サービスなど、緊急性を伴うサービスの場合、検索結果からすぐに電話をかけるユーザーも多く見られます。このとき、広告表示オプションで電話番号を掲載することで、ユーザーがすぐに電話をかけ、CVにつながりやすくなります。このように、ユーザーにとって必要な情報を広告文とは別に表示することで、CTRやCVの向上が期待できます。
また、「サイトリンク表示オプション」を活用するのもおすすめです。サイトリンク表示オプションは、リンク先のページにひもづくほかのページを広告文の下にあわせて表示することができる機能です。サイトリンク表示オプションを使い、リンク先のページと共に料金プランや商品一覧、シミュレーションなどのリンクを設置することで、ユーザーが知りたい情報に直接アクセスしやすくなり、CTRも高めやすくなります。
まとめ
この記事では、CTRとは何かを、計算方法や確認方法、各業界の平均数値、向上させるコツ、注意点などとあわせて解説しました。CTRを向上させるためには、ユーザーのニーズを理解し、検索意図とずれがないコンテンツを提供することが大切です。ユーザーの検索意図を理解し、適切なキーワード設定が行えるよう、記事内でご紹介したキーワード プランナーやGoogle サーチ コンソールをぜひご活用ください。