ディレクトリマップとは?主な活用場面や作成方法を紹介

ディレクトリマップとは、Webサイト内のすべてのページにおけるURLやタイトル、ディスクリプションといった情報を一覧にまとめた資料を指し、主にWebサイト制作担当者やWebディレクターが認識を合わせる際など、社内で用いられます。
ディレクトリマップは制作業務をスムーズに進める目的で使われることが多いですが、SEO対策を強化する際に、サイト内のコンテンツの見直しをするといった場面でも役立ちます。
この記事では、ディレクトリマップとは何かを、サイトマップとの違いや主な活用場面、作成方法、作成後の注意点などとあわせてご紹介します。
執筆者

マーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人
株式会社クリエイティブバンクのマーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人。得意分野は、SEO全般・サイト分析・オウンドメディア・コンテンツマーケティング。バンソウはクライアント様のBtoBマーケティングをサポートするサービスです。詳しい内容はこちらをご覧ください。
ディレクトリマップとは
ディレクトリマップとは、Webサイト内のすべてのページのURLやページ内に書かれた内容、ページタイトルなどを一覧にしてひとつの資料にまとめたものを指し、主にMicrosoft Excelなどで作成されます。
ディレクトリマップは、Webサイトの制作管理上で、Webディレクターや制作担当者(デザイナーやエンジニア)などがWebサイトの構造をスムーズに理解できるよう用いられるもので、Webサイト制作を外部業者に依頼する際は、自社と制作会社での認識を合わせるうえでも重要な役割を果たします。
ディレクトリマップの重要性
ディレクトリマップは、Webサイト全体の構造や、各ページの情報が一覧でまとまっているため、Webサイトの企画や設計、制作、メンテナンス、リニューアルなどWebサイトに関わる制作業務全般において役立ちます。
ディレクトリマップがあることで、Webサイト制作担当者やディレクターなどは資料内の情報を見ながら「AのコンテンツはBと重複している」「必要なページが不足している」「このページに新しい機能を追加したい」「このコンテンツのSEOを強化したい」などさまざまな要素を確認できるため、サイト改修を行う際に何を行うべきかを漏れなく把握しやすくなります。
また、必要な作業量をディレクトリマップで作った構造に合わせて確認できることから、作業にどれだけの日数が必要となるのか、同時進行で行うべき作業はあるかなども算出しやすくなるでしょう。
このような制作業務におけるタスク管理に役立つだけでなく、ディレクトリマップを制作担当者やディレクターなど社内で共有することによって、互いに共通認識を持って制作に関わるタスクやスケジュールの整理ができるようになるため、一連の制作業務において認識のずれも生じにくくなることから、スムーズな作業の進行も期待できます。
<H3> ディレクトリマップの効果
ここまでご紹介したように、ディレクトリマップは、社内で自社サイトの全体像を把握しやすくするために作成されます。
また、各ページの情報も、URLに加えてタイトル・ディスクリプション、対策キーワードなどと合わせてまとめておくことで、必要なキーワードがタイトルに含まれているかなどSEO対策の漏れも確認できます。
そのほかにも、Webサイト制作担当者が変更する際の引き継ぎ資料や、ディレクターから制作担当者へ業務を依頼する際の参考資料、制作スケジュールと進捗を確認する際の管理シートとして使用するなど、さまざまな活用方法があるため、社内全体での業務効率化や作業品質の向上といった効果も期待できるでしょう。
ディレクトリマップとサイトマップの違い
ディレクトリマップと同様に、Webサイトの構造を把握しやすくするための資料として、サイトマップがあります。以下では、サイトマップとは何かを説明しながら、ディレクトリマップとの違いをあわせてご紹介します。
サイトマップとは
サイトマップとは、Webサイトの全体像やサイト内に含まれるコンテンツを一覧にまとめた資料を指し、該当のコンテンツにたどり着けるまでの道筋を示してくれることから、辞書の索引のように例えられることも多いです。
主な役割はディレクトリマップとは変わらないものの、ディレクトリマップは社内のWebサイト制作担当者やディレクターなどに向けた資料であるのに対し、サイトマップは自社サイトを訪れるユーザーや、自社サイトの情報を読み取る検索エンジンのクローラーに向けたページ・ファイルであるという点に違いがあります。
また、ディレクトリマップは基本的にExcelなどの表計算ツールを用いて資料化し、フォーマットなども決まっていないため、基本的なPC操作ができれば誰でも作成できます。
しかし、サイトマップでは、種類によってはHTMLなどのコードを編集する必要があるため、専門的な知識が必要になる場合があります。ただし、最近では無料でサイトマップを自動生成できるツールや、簡単な操作でサイトマップを作成できるWordPressのプラグインなども数多く提供されているため、初心者でも問題なく作成できるでしょう。
サイトマップの種類
サイトマップは、ディレクトリマップとは異なり、用途に合わせて異なる種類のサイトマップを作成する必要があります。サイトマップの種類は、以下の3つがあげられます。
構造図のサイトマップ
構造図のサイトマップは、Webサイトの制作前に、制作担当者やディレクターが企画を構想したり、認識を合わせたりするために作成するサイトマップで、PowerPointなどを用いて作られます。
構造図のサイトマップはユーザーや検索エンジンに公開するものではないため、規定のフォーマットなどはなく、制作担当者やディレクターがわかりやすい形式で作成できます。
XMLサイトマップ
XMLサイトマップは、検索エンジンのクローラーにWebサイトの構造や各ページの情報を伝える際に用いられます。XMLサイトマップが用意されていることで、クローラーがWebサイトの情報を素早く、かつ正確に読み取れるようになるため、SEO対策などで自社サイトを検索結果の上位に表示させたい場合は、必ず作成しましょう。
なお、XMLサイトマップは、Googleが推奨しているファイル形式であるXML形式で作成し、Google Search Consoleから送信できます。手作業で作成することも可能ですが、Google 検索セントラルでは、CMSやWeb上で提供されているツールを用いた自動生成も推奨しているため、詳しくは以下のページもご参考にしてください。
参照:サイトマップの作成と送信|Google 検索セントラル
HTMLサイトマップ
XMLサイトマップが検索エンジンに対して作成するサイトマップであるのに対して、HTMLサイトマップはWebサイトを訪れるユーザー向けに作成するサイトマップです。
HTMLサイトマップでは、サイト内のページ情報をカテゴリ別に分け、リスト形式で各ページのリンクを並べたページを表示します。
例えば、総務省公式ホームページでのサイトマップは以下のように作成されており、入試情報や、学内に設置されている学部の一覧、学費やボランティア活動などの情報が1ページにわかりやすくまとまっています。
引用:サイトマップ|総務省
HTMLサイトマップは、XMLサイトマップと同様に手作業で作成できますが、WordPressでは「Simple Sitemap」など専用のプラグインを使用して簡単にサイトマップページが作成可能です。
サイトマップの効果
サイトマップの効果は、作成したサイトマップの種類によって異なります。
構造図のサイトマップでは、作成することでWebサイトを制作する前に、制作担当者・ディレクターなどの社員間で共通の認識を持てることから、制作過程においても認識のずれを生じにくくし、スムーズな進行が期待できます。
また、検索エンジンに向けて作られるXMLサイトマップでは、作成することによってクローラーがページの情報を正確に読み取れることで、ページの巡回漏れや誤った情報の認識を防げるため、ページ情報の読み取り間違いによる検索順位の低下を防げます。また、XMLサイトマップでページ情報をわかりやすく示すことで、各ページのインデックス登録も素早く行えるでしょう。
Webサイトを訪れるユーザーに向けて作られるHTMLサイトマップでは、サイト内の各ページが一覧で表示されるページを作成することで、ユーザーが目的のページを探しやすくなります。また、サイト内にどのようなコンテンツが掲載されているのかを簡潔に伝えられるため、サイト内のコンテンツに興味を持ったユーザーのサイト回遊を促すきっかけにもなるでしょう。
ディレクトリマップの主な活用場面
ここまで、ディレクトリマップの概要や、サイトマップとの違いをご紹介しました。「ディレクトリマップの効果」でも述べたように、ディレクトリマップはWebサイト制作やSEOの強化、Webサイトのリニューアルなどさまざまな場面で活用されます。ここでは、特に使われることの多い場面をご紹介します。
Webサイトの新規立ち上げ
Webサイトの立ち上げ時は、いきなりサイトの設計やデザインを進めるのではなく、ディレクトリマップとしてサイトの構造を資料に落とし込むことが多いです。このようにあらかじめ資料にまとめておくことで、サイトを構築するエンジニアやWebデザイナーなどがどのような作業を行うのか、どのくらいの作業期間を要するかといったイメージを事前にしやすくなり、正確なスケジュールを算出できます。
なお、制作作業に取りかかった後や、Webサイトが完成した後も、ディレクトリマップを用いて管理業務を効率化できるでしょう。
Webサイトの新規立ち上げ時は、初めにどのような機能をサイト内に含めるかなどの要件定義を行い、サイト全体の構造や階層を図にまとめたハイレベルサイトマップを作成します。ハイレベルサイトマップをもとに合意が取れ、企画内容が確定した段階でディレクトリマップの作成を進めましょう。
Webサイトに関する企画や見積もり
基本的には、Webサイトの新規立ち上げといった企画や見積もりを経て、企画内容が確定してからディレクトリマップを作成しますが、企画や見積もり段階で作成することもあります。ディレクトリマップである程度サイト全体の構造が明確になっていることで、Webサイトを立ち上げる必要性の説明や、サイト制作に必要な費用などに説得力を持たせられるでしょう。
また、このように企画・見積もりの段階でディレクトリマップがあり、社内での認識をそろえたうえで制作に踏み切ることで、制作中に当初の企画から大幅に作業量が増加したり、予算がオーバーしてしまったりするといったリスクも防げます。
タイトルやディスクリプションの見直し
ディレクトリマップには、各Webページのタイトルやディスクリプション、対策キーワードといった情報もまとめておくことで、各ページ情報の見直しを素早く行えます。
特にSEO対策を行っている場合は、タイトルやディスクリプションに対策キーワードが含まれていない場合、ユーザーが該当のキーワードで検索した際も関連性のあるコンテンツだと判断できずクリックしなかったり、クローラーがキーワードに対して関連性が薄いと判断し、検索順位を下げたりしてしまう可能性があります。
ディレクトリマップでタイトルやディスクリプションを一括で確認できるようにすることで、対策キーワードが含まれていないコンテンツをすぐに見つけて対処できるでしょう。
重複・不足コンテンツのチェック
ディレクトリマップでサイト内のページを一覧でまとめられることによって、コンテンツ同士の重複や、不足しているコンテンツをチェックしやすくなります。
特に重複コンテンツは、それぞれのコンテンツにSEO評価が分散し、検索順位が伸び悩んでしまうことにもつながるため、片方のページにコンテンツを統合することで評価を集中させられます。
Webサイトのリニューアル
ディレクトリマップは、Webサイトの立ち上げやコンテンツの見直しだけでなく、Webサイトのリニューアル時にも役立ちます。
現在使用しているディレクトリマップをもとに改修するポイントや追加が必要な要素、反対に削除する要素などをまとめて要件定義を行い、リニューアル後の構造のハイレベルサイトマップを作成します。リニューアル時は、このようなハイレベルサイトマップをもとに制作の合意が取れた段階で、新しいディレクトリマップを作成します。
Webサイトを立ち上げる際のディレクトリマップの作成方法
ここまで、ディレクトリマップの主な活用場面をご紹介しました。Webサイトの立ち上げ時にディレクトリマップを作成する際は、以下の項目を必ず含めて作成しましょう。
- 各ページの番号
- ディレクトリ(フォルダ)名
- ファイル名
- 対策キーワード
- ページのURL
- ページタイトル
- ディスクリプション
- コンテンツの大まかな内容
- 進捗状況
1.サイト内に必要なすべてのページをリストアップする
初めに、サイト内で必要となるページの種類をリストアップします。例えば、企業のコーポレートサイトでは以下のようなページが必要です。- トップページ
- 最新情報、お知らせ
- 企業理念
- 事業内容(サービス、製品情報)
- 沿革
- 代表あいさつ
- 会社概要
- 採用ページ
- 求人情報
- 先輩メッセージ
- 応募フォーム
- 問い合わせフォーム
- 利用規約
- プライバシーポリシー
- ブログページ など
2.ディレクトリ、ファイル名を決める
必要なページがピックアップできたら、ディレクトリ名やファイル名を設定し、各ページを階層ごとに分けて整理します。
ディレクトリ名とは、WebサイトのURLのドメインの後に表示される文字列で、ファイル名はディレクトリ名の後ろに並ぶ文字列です。例えば、「https://sample.com/blog/index.html」というURLの場合、「blog」がディレクトリ名、「index.html」がファイル名になります。
ディレクトリ名は、ブログページの場合は「blog」、サービス説明の場合は「service」、会社概要の場合は「about」など、コンテンツの内容がわかりやすい名称をつけることをおすすめします。
3.対策キーワードを決める
SEO対策を行う場合は、各ディレクトリに含めるページにおける対策キーワードを決めましょう。キーワード選定は、コンテンツ作成における土台となるため慎重に行いましょう。
特に、ユーザーから検索される回数が多いビッグキーワードは、競合サイトが多く、大手企業のサイトが検索上位に並んでいることから、サイト立ち上げ当初に狙った場合思うように効果が得られないことがあるため注意が必要です。
キーワード選定の方法や注意点は、以下の記事をご確認ください。
4.URLを決める
対策キーワードをピックアップできたら、各ページのURL(パス)を決めましょう。URLに設定する文字列は任意のもので構いませんが、ページの内容を端的に表した文字列や、対策キーワードを英語にしたものなどが主に設定されています。
ページの作成時に使うCMSによっては、ページ番号が自動的に付与されるものもあります。
例えば、バンソウサイトでは対策キーワードを英語にしたものをURLに設定しており、Webデザインに関するコンテンツのページURLは「https://www.sales-dx.jp/blog/web-design」と設定しています。
5.タイトル、ディスクリプションを決める
URLが設定できたら、各ページのタイトルやディスクリプションを設定します。タイトルやディスクリプションは検索結果にも表示され、ユーザーはこれらの要素から閲覧するWebサイトを決定します。そのため、タイトルやディスクリプションに対策キーワードを含みつつ、コンテンツ内容を端的に表す内容を作成するよう心がけましょう。
なお、タイトルやディスクリプションが長すぎる場合は、ユーザーのデバイスによっては途中で文章が切れてしまう場合があるため、短すぎず長くなりすぎないよう意識することが大切です。
タイトルの設定方法について詳しくは、以下の記事でも詳しくご紹介しています。
6.コンテンツの大まかな内容・進捗状況を記入する
タイトルとディスクリプションを作成したら、コンテンツの内容を大まかに記載します。タイトルとディスクリプションだけではコンテンツの内容まで把握しづらいため、似たようなコンテンツを作成してしまい、重複する恐れがあります。
また、「制作中」「修正中」などの進捗状況を記載しておくことで、制作側や依頼側が進行管理するのに役立つでしょう。
なお、Webサイトの運用中やリニューアル時は、以下の項目の設定も必要となる可能性があります。
【サイト運用時】必要に応じてタグを設置する
サイト内のページ数が増えてくると、別々のページであるにもかかわらず、内容の似通ったページが出てくることがあり、重複のリスクが発生します。このようなページを適切に整理するために設置するタグの内容もディレクトリマップに記載しておくと、コンテンツのリライト時やサイトリニューアル時に対応しやすくなるでしょう。
canonicalタグ
canonicalタグは、サイト内に重複コンテンツがあった場合、片方のコンテンツにSEO評価を集中させるように指示する際に使われるタグです。
重複コンテンツ以外にも、URLにwwwが含まれているページと含まれていないページや、URLの末尾にスラッシュ(/)があるページとないページなどは、ページ内容が同じでも別ページとして見なされてしまい、別々に評価されてしまいます。このようなページに対しても、片方にcanonicalタグを設定することで、適切に検索エンジンから評価してもらえるでしょう。
参照:rel="canonical" などを利用して正規ページを指定する方法|Google 検索セントラル
noindexタグ
noindexタグは、検索エンジンに対して該当のコンテンツをインデックス登録させないように指示する際に使用するタグです。
検索結果に表示させる意図がないサンクスページや一覧ページなどはnoindexタグを設置することで、検索結果に表示されなくなるため、検索結果からの流入がカウントされなくなるため、正確なアクセス解析が行えるようになります。
参照:noindex を使用してコンテンツをインデックスから除外する|Google 検索セントラル
【サイトリニューアル時】リダイレクトマッピングを行う
Webサイトのリニューアル時にドメインを変更する際は、各ページのURLが変更されてしまうため、古いURLへアクセスしたユーザーが、新しいURLのページを閲覧できるようリダイレクト設定(301リダイレクト、HTTP 301)を行い誘導する必要があります。
リダイレクトマッピングとは、どのURLからどのURLへ転送させるのかを明確に記録しておく作業を指します。ディレクトリマップに追加しておくことで、転送先を間違えて別ページにユーザーを誘導してしまうといったミスを防げます。
参照:リダイレクトと Google 検索|Google 検索セントラル
ディレクトリマップ作成後の注意点
ディレクトリマップの作成後は、必要なページ情報の記載漏れや、コンテンツの重複などがないかを確認しましょう。また、作成するページ量が多すぎる場合、制作担当者がスケジュールに間に合わせられない場合があるため、適切な量であるかも確認しておきましょう。
また、Webサイトの立ち上げ後も、ディレクトリマップは引き続き使用し、新規で作成するコンテンツの情報を追加したり、各コンテンツの見直しを行ったりすることをおすすめします。なお、削除したコンテンツがある場合は、ディレクトリマップ上からも削除し、常に最新の状態を維持することが大切です。
ディレクトリマップはExcelなどの表計算ツールを用いることが多いですが、専用ツールを使って自動生成することも可能なため、ツール管理が気になる方は調べてみるとよいでしょう。
まとめ
この記事では、ディレクトリマップとは何かを、サイトマップとの違いや主な活用場面、作成方法、作成後の注意点などとあわせてご紹介しました。
ディレクトリマップを作成することで、Webサイトの立ち上げ時やサイトリニューアル時などに、制作担当者とディレクターでの認識を合わせやすくなり、制作業務をスムーズに進められます。
なお、Webサイトの立ち上げ後も定期的に内容を確認し、現在のWebサイトの状況との相違点があればその都度更新することが大切です。