zero click(ゼロクリックサーチ)がSEOに与える影響は?対処法も解説
zero click(ゼロクリックサーチ)とは、ユーザーが検索画面だけを見てどのWebサイトにも訪問しなかったことを示す言葉です。zero clickはアクセスにつながらないことから、SEOにも影響を与えています。
zero clickは近年増加傾向にあるため、あらかじめ対処法を知っておくことでSEOに生かせることがあるかもしれません。
zero clickについて詳しく知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
zero click(ゼロクリックサーチ)の意味とSEOへの影響とは
はじめに、zero clickとはどのような意味があるのか、SEOへの影響とあわせてご紹介します。
zero click(ゼロクリックサーチ)とは
zero clickとは、ユーザーが検索結果だけを閲覧し、Webサイトへの訪問をしなかったことを指す言葉です。
例えば、「検索クエリという言葉の意味を知りたい」という検索意図から、「検索クエリとは」というキーワードを検索したとします。
検索結果が下記のように表示された場合、上部に表示された強調スニペットと、関連する質問(PAA)を確認することで、検索意図を満たせるでしょう。
上記のようなケースでは、多くのユーザーは検索結果を見るだけで自分が知りたい情報を知ることができるため、上位に表示されているWebサイトへ訪問することなく検索行動を終えてしまいます。
zero clickがSEOにもたらす影響とは
先述したとおり、ユーザーは検索結果で求めている情報を入手できた場合はWebサイトに訪問しないケースが多いため、上位に表示されたとしても、アクセスにつながらないことが増えています。
そのため、SEOの面では、CTR(クリック率)やオーガニックトラフィック(検索結果からの流入)の減少といった影響を与えていると考えられています。
zero clickが増加しているのはなぜ?
ユーザーにとって、Webサイトに訪問せずとも検索結果で求めていた情報を知れることはメリットが大きいものです。
しかし、先述のとおりzero clickはCTRやオーガニックトラフィックの減少といった影響を与える可能性があります。
zero clickは増加傾向にあるというデータも出ているため、今後はより大きな影響を与える可能性も否定できないでしょう。
ではzero clickはなぜ増加しているのでしょうか。
ここからは、zero clickの現状と増加している理由をご紹介します。
2020年のzero clickの割合は64.82%
zero clickが増加している理由を紹介する前に、まずはzero clickの現状を把握しましょう。
Similarwebが、2020年1月から12月にかけて行われた約5.1兆件のGoogle検索を分析した結果、zero clickの割合は64.82%という結果になったことが伝えられています。
出典:In 2020, Two Thirds of Google Searches Ended Without a Click|SparkToro
2019年にJumpshotが行った調査では、zero clickの割合は50.33%でした。
出典:Less than Half of Google Searches Now Result in a Click|SparkToro
2019年の50.33%と、2020年の64.82%という結果を比較すると、zero clickの割合は1年間で15%ほど増加していることがわかります。
調査から数年がたっていることから、zero clickの割合はさらに増加している可能性があるのが現状だといえるでしょう。
増加の要因
zero clickが増えている背景には、検索結果に強調スニペットや関連する質問が表示されることがあげられるでしょう。
また、現在ではGoogleの新機能である「AI Overviews」が実装され、検索結果にAI要約が表示されるようになっています。
強調スニペットや関連する質問、AI要約は検索結果に表示されるため、そこで必要な情報を手に入れられたユーザーは検索行動をやめてしまうことが予想されます。
ユーザーにとって手早く欲しい情報が手に入れられる環境が整えられていることは、zero click増加の一因といえるでしょう。
zero click増加によるWebサイト運営者・SEO会社の課題
zero clickの割合が増加傾向にある現状を踏まえると、Webサイトの運営者やSEOコンサルティング会社、SEO代理店が抱える共通の課題には、それぞれ以下のようなものがあるといえます。
- 継続して上位表示しているのに、CTRやオーガニックトラフィックが減少している
- 検索順位は下がっていないのに、CTRやオーガニックトラフィックが減少している
- SEO対策の効果が出ているのかいないのかわからない
- コンテンツのタイトルを見直すべきかどうかわからない
- zero clickを意識しすぎてしまう
- zero clickになる可能性のあるユーザーをどうWebサイトへ訪問させるか
上位表示している、検索順位に低下は見られないといった現状維持をしているケースでも、zero clickが原因でCTRやオーガニックトラフィックが減少していることを課題と感じている人は多くいます。
zero clickになりそうなユーザーをどれだけ引きつけ、自社サイトに訪問してもらえるようにするのかが最大の課題といえるかもしれません。
zero clickへの対処法
zero clickはこれからも増加すると考えられていることから、先述したように「上位表示しているもしくは検索順位は下がっていないのに、CTRやオーガニックトラフィックが減少している」、「zero clickになりそうなユーザーをどうWebサイトへ誘導するか」など、Webサイトを運用している方々の課題はますます増えていく可能性があります。
では、zero clickに対してはどのように対処していくべきなのでしょうか。
最後に、zero clickへの対処法を解説します。
強調スニペットを意識する
強調スニペットが選ばれる仕組みについて、Googleは以下のように述べています。
強調スニペットは、ウェブ検索結果から生成されています。Google では、あるページが特定の検索リクエストに対して強調表示するスニペットとして適しているかどうかを、自動システムで判断します。
引用:Google の強調スニペットの仕組み|Google 検索 ヘルプ
明確な方法が提示されているわけではありませんが、強調スニペットが100文字から200文字程度で表示されるケースが多いことから、一文は短めにして端的に説明することを意識しましょう。
対策するキーワードや、想定されるほかの検索クエリに対しての回答を、各見出しの冒頭に配置するようにコンテンツを作成するのもおすすめです。
強調スニペットのクリック率は35.1%
Engine Scoutが行った調査において、強調スニペットのクリック率は35.1%という結果が出ています。
出典:Featured Snippets Study: Results From 3,500+ Internet Users|Engine Scout
このことから、強調スニペットにコンテンツを表示させることができれば、CTRやオーガニックトラフィックの減少といったSEOへの問題点を解決できる可能性があるといえるでしょう。
一方、強調スニペットに表示されているコンテンツにユーザーが流れる可能性も高いため、SEO対策をして上位表示がされたとしても、思うようにCTRやオーガニックトラフィックの数値が改善されないケースも考えられます。
強調スニペットや関連する質問に表示されるか否かは、SEOに影響する可能性が高いといえるでしょう。
視覚的なアプローチをする
ユーザーの中には、文章を読むよりも視覚から情報を得るほうが楽だと感じる人もいます。
インフォグラフィックという、さまざまな情報を整理してわかりやすくまとめた画像を作成したり、内容を要約したスライドを挿入したりと、視覚的なアプローチも意識しましょう。
画像があってほかのWebサイトよりもわかりやすいと感じてもらえれば、ユーザーが再訪問してくれる可能性もあります。
リピーターやファンを増やせるコンテンツを作る
検索順位に左右されないWebサイトを作るためには、Webサイトへのファンやリピーターがつくようなコンテンツを作る必要があります。
いわゆる「中の人」と呼ばれるような人々に愛されるペルソナを設定してWebサイトを運営することでファン数を増やしたり、連載コンテンツでリピーターをつくったりするのがおすすめです。
ファンの多い「中の人」は「SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) / X」や「紀文【公式】🍢 🍥 (@kibun_kitchen) / X」などがあげられます。
連載コンテンツは、「ダイヤモンド・オンライン」といったメディアの人気連載記事を確認することでヒントが得られるかもしれません。
SEOに依存しない
SEO対策は欠かせませんが、SEOだけに依存せず、SNSや広告といった手段を持つことも大切です。
先述したように、SNSの「中の人」としてファンをつくり数多くのフォロワーを獲得できれば、SNSからの集客も可能となるでしょう。
また、Web広告を出稿することも有効といえます。
このように、SEO以外にも集客ができるチャネルを複数所持しておくことは、間接的にzero clickへのひとつの対処法となるでしょう。
まとめ
この記事では、zero click(ゼロクリックサーチ)に焦点を当て、SEOにもたらす影響やzero clickの現状などをご紹介しました。
zero clickは、CTRやオーガニックトラフィックの低下といったSEOに影響する問題を招いています。
その背景には、早く情報を得たいという現代人の心理や、強調スニペット・関連する質問といった検索画面のアップデートがあげられるでしょう。
しかし、強調スニペットに表示され、Webサイトに興味を持ってもらえればアクセスやリード獲得につながる可能性もあります。
zero clickの割合は、2019年は50.33%であったことに対し、2020年には64.82%と、1年で15%近く上昇しています。
現在においては、さらに上昇している可能性も考えられることから、zero clickに対しては何らかの対処法を実行することも必要だといえます。
この記事で紹介した対処法を試して、zero clickによって起こり得るSEOの影響を軽減しましょう。