内部リンクと回遊率の関係性は?低下する原因や向上させる方法を紹介

内部リンクと回遊率は、切っても切れない関係にあります。
ユーザーは、最初に閲覧したWebページに設置されている内部リンクをたどることでWebサイト内を回遊するからです。
この記事では、回遊率とはどのようなものなのかをはじめ、混同されやすい直帰率や離脱率との違いなどをご紹介します。
このほかにも、回遊率を改善させるために優先して着手すべきWebページはどのようなものなのか、向上させる方法についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
執筆者

マーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人
株式会社クリエイティブバンクのマーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人。得意分野は、SEO全般・サイト分析・オウンドメディア・コンテンツマーケティング。バンソウはクライアント様のBtoBマーケティングをサポートするサービスです。詳しい内容はこちらをご覧ください。
内部リンクと回遊率の関係
Webサイトの回遊率は、訪問者がサイト内をどれだけ効率的に移動できるかを示す重要な指標です。回遊率を理解するためには、その定義や計算方法を知り、直帰率や離脱率との違いを明確にする必要があります。また、回遊率が高いことは、ユーザーの満足度やサイトの成長にどのように寄与するのかを探ることも大切です。
回遊率とは
回遊率とは、Webサイトへ訪問したユーザーが、1度の訪問でどのくらいのWebページを閲覧したかを示す指標です。
つまり、1セッションあたりのPV数を示すものといえます。
回遊率を高めるためには、ユーザーが快適にWebサイト内を移動できるように内部リンクを設置する必要があることから、内部リンクと回遊率には深い関係があるといえます。
回遊率の計算方法
回遊率を算出するためには、以下の計算式に当てはめて計算をします。
PV数 ÷ セッション数 = 回遊率
では、ここではセッション数が800で、PV数が1000だったケースを例に計算してみましょう。
1000(PV数)÷ 800(セッション数)= 1.25
回遊率 = 1.25
GA4(Google Analytics 4)の場合は、PV数は「表示回数」と呼ばれているため、GA4で計算式に当てはめる場合は「表示回数 ÷ セッション数」の式を用いて算出してください。
回遊率と直帰率・離脱率の違い
回遊率、直帰率、離脱率は混同されやすい指標です。
まずはそれぞれの概要と計算式を表で確認しましょう。
指標 | 概要 | 計算式 |
回遊率 | 最初に訪問したWebページからどのくらいほかのWebページを閲覧したかの割合 | PV数 ÷ セッション数 |
直帰率 | 最初に訪問したWebページ以外は閲覧しなかったユーザーの割合 | 直帰数 ÷ セッション数 × 100 |
離脱率 | 特定のページを最後に閲覧をやめてしまったユーザーの割合 | 特定のページを最後に離脱したアクセス数 ÷ 特定のページのPV数 × 100 |
それぞれの指標について解説します。
直帰率とは
直帰率とは、最初に訪問したWebページ以外を閲覧することなく、Webサイトから離れてしまったユーザーの割合を示します。
つまり、WebページAを閲覧し、そのままWebページBやCに遷移することなく、Aのみで閲覧をやめてしまったことを指しています。
回遊率とはそもそもの概要も違いますが、計算式で求める際にPV数と直帰数のどちらをセッション数で割るかという違いもあります。
離脱率とは
離脱率とは、閲覧を開始したWebページにかかわらず、そのページを最後に閲覧をやめてしまったユーザーの割合を示します。
つまり、WebページA、B、Cそれぞれのページで閲覧をやめてしまったユーザーが何割いるのかを算出できるものとなっています。
回遊率を高めることが重要である理由
回遊率を高めることが重要である理由は、ユーザーが内部リンクをたどってWebサイト内の複数のページを閲覧することで、より深く興味を持ってもらえる可能性が高まるからです。
興味関心がないのにWebサイト内を回遊するケースは少ないと考えられていることから、回遊率の高さはユーザーがそのWebサイトに対する関心の表れであるとも考えられます。
このようなユーザーは、商品購入や問い合わせといった具体的な行動(コンバージョン)に結びつきやすくなることから、回遊率を上げることで副次的にコンバージョンへとつながる可能性もあります。
さらに、検索エンジンがWebサイトの情報収集のために巡回させているロボット(クローラー)も、内部リンクを設置することでリンク元ページとリンク先のページの関連性を理解しやすくなり、正しいSEO評価を受けることにもつながるでしょう。
回遊率をGA4で確認する方法
GA4で回遊率を確認する方法は簡単です。
難しい設定をする必要はないため、まだ確認したことがない方は、これから紹介する手順で回遊率を確認しましょう。
- ❶GA4を開き、左側のメニューから「レポート」を選択する
❷「ユーザー属性」→「オーディエンス」の順に選択する
回遊率の低下を招く要因
「回遊率を高めることが重要である理由」で述べたように、コンバージョンにつながる可能性もあることから、回遊率は重要な指標であるといえます。
GA4でレポートを確認した際に、回遊率が低いのであれば以下のような原因があるかもしれません。
ここでは、回遊率の低下を招く要因を3つご紹介します。
ユーザビリティが低い
ユーザビリティとは、ユーザーにとっての使いやすさや見やすさを意味する言葉です。
Webサイトが見づらかったり、読み込み速度が遅かったりすると、ユーザーは訪問したホームページの閲覧を諦め、ほかのWebサイトへ行ってしまう可能性があります。
特に以下のようなケースではユーザビリティが低下するといわれているため、見つけ次第改善することをおすすめします。
- ページの読み込み速度が遅い
- リンク切れが多く閲覧したいページにたどり着けない
- アンカーテキストがわかりづらく、リンク先のWebページがどのようなものかわからない
- 画像や文字のサイズが閲覧するデバイスによって最適化されていない
- 知りたい情報がどこにあるのかわからない
- 大量に広告がある
特に回遊率を上げるためには内部リンクが重要となるため、リンク切れが多い場合は注意が必要です。
内部リンクの数や設置方法が不適切
回遊率を上げるためには、適切に内部リンクを設置する必要があります。
例えば、関連性の薄いコンテンツ同士に内部リンクを設置しても、ユーザーが内部リンク先のコンテンツを閲覧する可能性は低いでしょう。
ボタンやリンクがわかりづらく、ほかのコンテンツにスムーズに移動できない場合も回遊率の低下を招く原因となります。
内部リンクの設置方法が適切ではなく、ユーザーがWebサイト内を回遊したくともできない構造になっていると、回遊率の低下は避けられないでしょう。
コンテンツ内容が不十分
ユーザーがコンテンツを閲覧し、知りたい情報がない、もしくはどこに書かれているのかわからないと感じてしまうと、離脱の原因となります。
回遊率だけではなく、直帰率、離脱率にも影響することから、ユーザーニーズを的確に判断し、網羅性の高い有益な情報を提供するコンテンツ作りをする必要があるといえるでしょう。
回遊率改善のために優先して取り組むべきWebページとは
回遊率が低いWebページは、「ユーザビリティの低下」や「内部リンクが不適切」「コンテンツ内容が不十分」といった原因がある可能性が高いといえます。
しかし、回遊率を改善するためにどのWebページから着手すべきなのか、優先順位が決められない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、回遊率改善のために優先して取り組むべきWebページはどのようなものなのかをご紹介します。
流入数が多いWebページ
はじめに取り組むべきなのは、流入数が多いWebページだといえます。
もとより流入数が多いため、直帰率や離脱率を低下させることができれば、それだけ改善効果も大きくWebサイト全体の回遊率上昇につながる可能性が高いからです。
また、流入数が多いWebページからコンバージョンにつながる導線を内部リンクで設計し、順序よく回遊してもらうことも重要です。
導線の中で離脱率や直帰率が高いページがあれば、あわせてそのページを改善することで、より回遊率を引き上げられるでしょう。
直帰率や離脱率が高いWebページ
直帰率や離脱率が高いWebページの場合、正確なユーザーニーズを把握したコンテンツ作りができていない可能性があります。
対策するキーワードのユーザーニーズが変化している可能性もあるため、ユーザーにとって有益な情報を提供できているかを再度確認しましょう。
また、ユーザビリティが低いことが原因で直帰率や離脱率が高まっている可能性もあります。
ユーザーにとって使いづらい、読みづらいと感じさせる点がないかもあわせて確認することをおすすめします。
回遊率が高いWebページ
回遊率が高いWebページは、より数値を高めていくことが大切です。
特にアクセス数も多いWebページの場合、回遊率を上げることがWebサイト全体の回遊率を高めることに大きく貢献するからです。
流入数が多いWebページや、回遊率が高いWebページよりも着手する優先順位は下がりますが、回遊率が高くアクセス数も多いWebページがあればさらなる数値改善に向けて動くのもよいでしょう。
回遊率を向上させる方法
回遊率が低下している原因を特定し、どのページを改善させるか決定したら、回遊率を改善させるための施策を行いましょう。
回遊率を向上させるためには、当然ながら原因となっている部分を取り除く必要があります。
ユーザビリティの低下であれば、UI(ユーザーインターフェース)を見直して改善する必要があり、コンテンツ内容に問題があればリライトをする必要があるでしょう。
ここでは、回遊率を向上させる具体的な方法をご紹介します。
ユーザーニーズに合わせたコンテンツにする
第一にすべきことは、ユーザーニーズを的確に把握し、それらを網羅したコンテンツを作ることです。
ユーザビリティを向上させても、コンテンツの質が悪ければユーザーを確保することが難しいからです。
また、Googleも以下のように述べていることから、ユーザーニーズを網羅したユーザーファーストのコンテンツ作りは重要であることがわかります。
以下の質問に「はい」と答えることができるなら、おそらくあなたはユーザーを第一に考えたアプローチを取り、正しい方向に進んでいるといえるでしょう。
(中略)
コンテンツを読み終わったユーザーは、あるトピックについて、目的を果たすのに十分な情報を得たと感じることができますか。
コンテンツを読んだユーザーは、有益な時間を過ごせたと感じられますか。
引用:有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成|oogle 検索セントラル
文字数に気を配る
あまりにも文字数が多すぎてしまうと、スクロールする手間がかかり、離脱を招くことがあります。
CMSを提供している「Wix」は、ブログの文字数について以下のように述べています。
ブログサイトにとって、おおよそ理想的なブログの文字数は 3,000〜5,000 字、最適とされる文字数は 4,500 字程だということが分かりました。
引用:ブログに必要な文字数の目安とは?最適な文字数を見つける方法|WixBlog
文字数について決まりごとはないものの、ボリューム数が気になる場合はトピッククラスターモデルを導入するのがおすすめです。
Webページの読み込み速度を上げる
ユーザビリティで問題になりやすいのがWebページの表示速度です。
アメリカのNeil Patel社が行った調査によると、読み込みに3秒以上かかった場合は40%の人々が離脱をし、ページ応答が1秒遅れるとコンバージョンが 7%減少する可能性があるという結果が出ています。
出典:How Loading Time Affects Your Bottom Line|Neil Patel
読み込み速度は、埋め込む画像や動画を減らしたり、リサイズして最適化したりすることで、読み込み速度が改善する可能性があります。
読み込みが遅いWebページが見つかったら、改善できる点がないかを探しましょう。
ビジュアル面を充実させ視認性を高める
スマートフォンの場合、スクロールが容易でスピーディーにできることから、文章は飛ばしながら要点をかいつまんで読む、いわゆる斜め読みをする人もいます。
そのようなユーザーにとって重要なのが、文章を装飾したりビジュアル面を充実させたりして視認性を高めることです。
情報がわかりやすいと感じてもらいやすく、ほかのWebページへと遷移する可能性もあり、結果として回遊率の向上に寄与する可能性があります。
内部リンクの導線・設置方法を見直す
Webサイトの導線を見直し、適切な位置に内部リンクを設置しましょう。
回遊率を高めるためには、文中や末尾に関連性のあるほかのWebページをブログカード形式で設置するのもおすすめです。
内部リンクを設置する際には、関連性のあるコンテンツにリンクを設置して、コンテンツ同士の関連性を高めるようにしましょう。
ユーザーの回遊率が上がるだけでなく、クローラーもコンテンツ同士の関連性を理解しやすくなり、SEO評価の向上につながる可能性があります。
アンカーテキストも、「こちらからご覧ください」のようなものではなく、「専門家の意見も参考になるでしょう」のように一工夫できるのが理想的です。
ボタンの大きさも、Googleが推奨している48×48ピクセルにするのがおすすめです。
サイトナビゲーションを設置する
サイトナビゲーションとは、ユーザーがWebサイトをスムーズに閲覧するための機能のことを指します。
バンソウの場合、赤枠内で囲った部分がサイトナビゲーションとなります。
サイトナビゲーションを導入することで、ユーザーのWebページ内での移動が簡単になります。
回遊率を高めることもできるため、サイトナビゲーションを導入していない場合は検討することをおすすめします。
モバイルフレンドリーな設計にする
2023年に総務省が行った調査によると、スマホを保有している世帯の割合は90.6%で、パソコンは65.3%となっています。
出典:令和5年通信利用動向調査の結果|総務省
このことからもわかるように、スマホが普及しメイン端末となっている現代では、スマホに合わせたWebサイト設計が必要不可欠です。
一方Googleも、以下のように述べていることから、モバイルフレンドリーな設計にすることは必須といえるでしょう。
モバイル版のページを用意することは、コンテンツを Google の検索結果に表示させるための要件ではありませんが、非常に強く推奨されています。
引用:モバイルファースト インデックスに関するおすすめの方法|Google 検索セントラル
レスポンシブデザインを取り入れるといった方法で、モバイルサイトでの最適化を図りましょう。
Web接客ツールを導入する
Web接客ツールとは、チャットボットを使ってユーザーの質問に答えたり、関連性の高いWebページをユーザーに教えてくれたりするシステムのことです。
以下の画像は、総合楽器店である島村楽器のWebサイトに導入されているチャットボットです。
引用:島村楽器
チャットボットは、Webサイト内の関連性の高いWebページをユーザーに送ることで、ユーザーが求めている情報を的確に渡す役割を担っています。
ユーザーはそのWebページを訪問する可能性が高いことから、回遊率が高まることが予想されるでしょう。
Webサイトを分析する
回遊率を向上させるためには、Webサイト全体だけではなく各Webページの分析も重要です。
分析をすることで、どのようなキーワードからの流入が多いのか、ユーザーはWebサイト内でどのような行動を取っているのかなどがわかります。
Webサイトの分析には、以下のようなツールがおすすめです。
GA4
GA4とは、Google Analytics 4のことを指します。
Webサイトを訪問したユーザーの行動を分析できるツールです。
回遊率もすぐにわかるほか、ユーザーがWebページを最後までスクロールしたかどうかも計測できるため、直帰率や離脱率の改善にも役立てられます。
ヒートマップ
ヒートマップとは、ユーザーがWebページ内でどのような行動を取ったのかが可視化できるツールです。
Webページがサーモグラフィーのように色分けされており、ユーザーが熟読している箇所はオレンジから赤に、あまり読まれていない箇所は緑から青になります。
内部リンクを設置した箇所が緑や青であれば、あまり見られていない可能性が高く、設置場所の改善も視野に入れられるでしょう。
ヒートマップツールは、無料のものから有料のものまでさまざまな会社から提供されているため、予算や目的に応じて選ぶことをおすすめします。
A/Bテスト
A/Bテストとは、複数のコンテンツやデザインなどを用意して、どちらがコンバージョン率やクリック率の向上に対して有効かを確かめる手法です。
これは回遊率にも有効で、サイトナビゲーションの配置やリンクテキストを変更し、どれがもっとも回遊を促進するかをテストできます。
A/Bテストツールもヒートマップと同様に、さまざまな会社から提供されているため、自社に合ったものを選ぶことをおすすめします。
まとめ
この記事では、内部リンクと深い関係にある回遊率についてご紹介しました。
ユーザーは、Webサイトに訪問した後は、各所に設置された内部リンクをたどることでWebサイト内を回遊することから、回遊率と内部リンクは切っても切れないつながりがあるのです。
Webサイトにおいて回遊率を高めることが重要である理由は、ユーザーが内部リンクをたどってWebサイト内の複数のページを閲覧することで、より深く興味を持ってもらえる可能性が高まり、そこからコンバージョンにつながることもあるからです。
しかし、ユーザビリティが低かったり、コンテンツの内容が不十分であったりする場合には、離脱が増えてしまうため、回遊率を向上させることは難しいでしょう。
回遊率を向上させたい方は、まずは流入数が多いWebページから着手し、この記事でご紹介した方法をお試しください。
内部リンクの導線や設置場所を改善したり、コンテンツを改善させたりすることで、回遊率が上がる可能性があります。
関連性の高いコンテンツに内部リンクを設置し、ユーザーがWebサイト内を移動しやすい環境をつくって、回遊率の上昇へとつなげましょう。