Web広告は費用対効果が高い?計算方法や広告別の特長

Web広告にはリスティング広告やディスプレイ広告などさまざまな種類があり、ターゲットの属性や広告の配信目的によっても費用対効果を得やすい手法は異なります。
この記事では、Web広告の費用対効果の計算方法や広告別の特長、実施する広告の選び方などをご紹介します。
執筆者

マーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人
株式会社クリエイティブバンクのマーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人。得意分野は、SEO全般・サイト分析・オウンドメディア・コンテンツマーケティング。バンソウはクライアント様のBtoBマーケティングをサポートするサービスです。詳しい内容はこちらをご覧ください。
Web広告の役割
Web広告を出稿する企業の多くは、自社の商品やサービスの売上・認知度の向上や事業拡大などを目的としているのではないでしょうか。
Web広告では、「タグ」という計測コードを用いることで、ユーザーがWebサイト上で起こした行動を記録できます。
広告をきっかけに流入したユーザーの「ページのスクロール」「10秒以上滞在」「問い合わせページ到達」「資料ダウンロード」など、細かくタグを設定することで、どのような行動を起こすユーザーが多いのか、どこで離脱につながってしまいやすいのかなどを把握しやすくなるため、広告や遷移先ページのブラッシュアップに役立ちます。
Web広告は、多くのユーザーに広くアプローチすることによる売上拡大が狙えるだけでなく、自社のWebサイトに訪れるユーザーの傾向の把握や、Webサイトの改善点を探るうえでも大きな役割を果たします。
費用対効果とは
費用対効果とは、かけたコストに対してどれくらいの効果が得られたのかを表す指標で、広告施策における費用対効果はROAS(ロアス:Return On Advertising Spend)とも呼ばれます。なお、ROASはパーセンテージ(%)で表されます。具体的な計算方法は、後ほどご紹介します。
かけたコストに対して得られた効果を示すうえでの似た言葉に「コストパフォーマンス」がありますが、費用対効果は企業側が商品やサービス、広告などを提供するまでにかけたコストに対する売上や利益を表す一方で、コストパフォーマンスは消費者側が商品やサービスを購入したコストに対する効果や満足度などを表す点で異なります。
Web広告における費用対効果
Web広告のコンバージョン(CV)ポイントには、商品の購入以外に、問い合わせ送信や資料ダウンロードなど無形のものを設定している方も多いでしょう。そのため、Web広告における費用対効果は、最終的な成約時に得られる売上から逆算して、問い合わせや資料ダウンロードなどのアクションが1件ごとにどれだけの価値があるかを見るのがおすすめです。
例えば、1件の成約(100万円)を得るのに、問い合わせ件数が20件必要だとします。
このとき、100万円÷20件=5万円で、問い合わせ1件あたりの価値は5万円だといえます。
費用対効果を見るうえでの注意点
費用対効果は広告の成果やビジネスの成長率を見るうえで役立ちますが、パーセンテージの数字にとらわれすぎないよう注意が必要です。
例えば、以下のような広告の成果があがったとします。
■広告A
広告費:100万円、売上:300万円、ROAS:300%■広告B
広告費:50万円、売上:200万円、ROAS:400%
このような場合、広告BのほうがROASが高いため、成果が得られているように見えますが、粗利を計算すると広告Aでは300万円-100万円=200万円、広告Bでは200万円-50万円=150万円になり、広告Aのほうが粗利を出せています。
そのため、利益がどれだけ出たかなど、ビジネスの成長率を測るうえでは単純なROASの数字だけでは判断できないためご注意ください。
費用対効果の計算方法
費用対効果には、先ほどご紹介したROAS以外にも、CPAやCPO、ROIといった指標を活用します。
それぞれの計算方法は、次のとおりです。
ROAS(広告費用対効果)の計算方法
ROASは、以下の式を用いて計算します。
ROAS(%)=売上÷広告費×100
ROASは売上から費用対効果を測れるため、100%を基準に、広告を出稿することで広告費以上の売上があげられているか、今後の広告予算をどのくらいの金額で設定するかなどを判断しやすい点が特長です。ただし、ROASはあくまで売上ベースでの計算となるため、ROASが100%以上でも利益がマイナスになり運用効果を得られていないというケースもあるため、後述するROIと併用し、利益率も加味することが大切です。
CPA(顧客獲得単価)の計算方法
CPAとはCost Per Actionの略称で、ユーザーのコンバージョン1件にどれだけの広告費を必要とするかを表します。
CPAは、以下の式を用いて計算します。
CPA(円)=広告費÷コンバージョン数
CPAが高いほどコンバージョンを獲得するのに多くの費用を必要とするため、広告バナーや広告文、遷移先のページ内容、ターゲット設定などの改善が必要です。複数の広告を出稿している場合は、よりCPAが低く、少ない広告費でのコンバージョン獲得が見込める広告への予算を増やすといった方法がおすすめです。
CPO(注文獲得単価)の計算方法
CPOとはCost Per Orderの略称で、注文(受注)1件にどれだけの広告費を必要とするかを表します。
CPOは、以下の式を用いて計算します。
CPO(円)=広告費÷注文件数
CPAと同じく、CPOも金額が高くなるほど1件の受注に対して多くの費用を必要とします。CPOを把握しておくことで、少ない広告費で多くの受注が狙える広告に絞った配信も可能になるため、効率よく受注件数を増やせるでしょう。
CPAやCPOを指標として用いる際は、どのくらいの金額であれば赤字にならずコンバージョンや受注を獲得できるかを表す限界CPA・限界CPOも決めておくことで、広告費を浪費することなく施策の止め時を判断できます。
ROI(投資利益率)の計算方法
ROIとはReturn On Investmentの略称で、かけた広告費に対する利益率を表します。
ROIは、以下の式を用いて計算します。
ROI(%)=利益額÷広告費×100
ROIは0%を基準に、広告出稿による利益が出ているかを確認できます。利益額がマイナスの場合、ROIもマイナスの数値となるため、利益率がプラスの広告への予算を増やすといった判断を下しやすくなります。ただし、ROIでは現時点の利益率のみ算出できるため、長期的な目線で予算の調整や運用方針の策定をする際は、現時点を軸に算出したROIにとらわれすぎないよう注意が必要です。
主なWeb広告の種類
Web広告にはさまざまな種類があり、それぞれ掲載場所やユーザーからの広告の見え方が異なります。ここでは、主に使われるWeb広告の種類をご紹介します。
リスティング広告
リスティング広告は「検索連動型広告」や「キーワード連動型広告」とも呼ばれ、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索した際に、検索語句の内容に合わせて検索結果へ広告を表示します。オプションにより、通常の広告文以外にも電話番号などの連絡先を表示することも可能です。
リスティング広告での一般的なROASは、100~200%程度といわれています。リスティング広告はクリック課金制のため、表示されているだけでは広告費が発生しないまま運用できる点が特長です。しかし、クリック時の料金は競合他社の出稿状況によって変動するため注意が必要です。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、Webサイトに設けられた広告枠に画像や動画、テキストを配置する広告です。リスティング広告に比べて、自社の商品やサービスへの認知度や興味関心度が低い潜在層に向けてアプローチする際に使われます。
ディスプレイ広告では、ROAS100%程度が一般的な数値といわれています。リスティング広告よりも視覚に訴える形式での出稿となるため、ユーザーの目に留まりやすいバナー画像や動画を配置することで、ROASの向上が狙えるでしょう。
SNS広告
SNS広告は、X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどのSNS上に配信する広告です。通常の投稿のように広告を配信できる点が特長で、ユーザーの目にも留まりやすいです。この仕組みを利用して、通常の投稿のような広告感のないシンプルな広告をあえて出稿するケースも見られます。
SNS広告では、ROAS100%程度が一般的な数値といわれています。SNSは投稿を拡散できる特長があるため、ターゲットとしていないユーザーにもアプローチしやすく、大量の拡散が行われる「バズ」を生むことで大幅なROASの向上が狙えます。
記事広告
記事広告は、Webメディア上にPR記事などの形式で投稿される広告を指します。自社の商品やサービスに合ったメディアへの掲載や、認知度の高いメディアへ掲載されることで、多くのユーザーに興味を持ってもらえるでしょう。また、記事として投稿されるため、短い広告文よりも多くの情報をユーザーに伝えられます。
記事広告は記事の種類によってインタビューやライティングなどの工数がかかるため、その分コストが上乗せされます。そのため広告費も高額になる傾向があり、ROASも50~80%ほどと低めです。しかし、メディアに掲載することで信頼を抱いてもらえたり、記事を読むことでのユーザーの態度変容を促したりできるなど、ユーザーの興味関心を引き起こしやすい点が特長です。
動画広告
動画広告は、動画を用いてユーザーに訴えかける広告で、YouTubeなどの動画サイトに掲載されます。主に動画再生前に数秒~数分の長さで再生されます。自動的に動画が流れるため、ユーザー側が自らテキストを読み進めるなどのアクションを必要としない点が特長です。
動画広告には費用対効果を測る際にCPV(Cost Per View:広告視聴単価)といった独自の指標がよく使われており、動画広告が1回視聴されるごとの単価を表します。CPVは一般的に1円~10円ほどで、広告のスキップなどで視聴されなかった場合は課金されない点が特長です。途中でスキップされてしまったとしても、テキストや画像のみの広告よりも短い時間で多くの情報を伝えられます。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告は「成果報酬型広告」とも呼ばれ、問い合わせや購入など、ユーザーが特定のアクションを起こした際にASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)を経由して広告費を支払います。
アフィリエイトの報酬金額は自由に設定できるため、うまくいけばROAS500%や1000%の達成も可能です。ただし、ASPによっては月額利用料が別途発生することもあるため、ASPの選定は慎重に行いましょう。
費用対効果が高いWeb広告
リスティング広告
リスティング広告は、ユーザーが求める情報を含めたコンテンツを提供することで、コンバージョンにつながりやすい広告です。そのため、ユーザーの検索意図に沿った広告を適切に配信することで高い費用対効果を得られるでしょう。ただし、リスティング広告では、キーワード選定や広告文の作成、入札価格の設定、アカウント構造など運用スキルが求められる場面があります。広告運用初心者には専門的な用語や複雑なツールの構造が難しく感じる場合もあるため、広告代理店などに依頼するのもひとつの手です。
動画広告
動画広告では、「1,000回動画が表示されるごとに◯円」「動画からリンクがクリックされるごとに◯円」「1回再生されるごとに◯円」などの形式で課金されるため、低コストでも始めやすい点が特長です。また、動画広告は商品やサービスをユーザーに認知してもらいやすい手法のため、動画を経由してコンバージョンに至らなかったとしても、認知度向上やブランディングの面で効果を得やすいでしょう。ただし、動画制作を外部に委託する場合は制作費が別途必要となるため、コストが高額になる場合があります。
SNS広告
SNS広告では、先述したように広告が多くのユーザーに拡散されるバズが成功することで、かけたコストに対して大きな効果を得られるでしょう。また、ユーザーが普段のSNS利用時に反応する投稿の興味関心に合わせた広告配信も可能なため、自社の商品やサービスを利用してくれそうなユーザーに向けてアプローチできます。ただし、投稿内容によって炎上しやすいことがSNSの注意点でもあるため、バズを狙うあまりユーザーから批判を受ける広告を配信しないよう、テキストや画像、動画を作成する際は慎重に行いましょう。
費用対効果の高いWeb広告手法の選び方
費用対効果が高いWeb広告手法として、先述のとおりリスティング広告などがあげられますが、実際は企業の事業内容や配信規模、ターゲットとするユーザーの属性によっても適切な広告手法は異なります。
最後に、費用対効果の高いWeb広告手法を検討する際に、どのような観点から適切なものを選ぶべきか、選び方をご紹介します。
ターゲットから選ぶ
「検索してすぐに問い合わせたいユーザーに向けてリスティング広告を配信する」「自社のサービスを知らないユーザーに向けて動画広告を配信する」など、ターゲットの属性や興味関心の度合いから広告手法を選ぶとよいでしょう。特にSNS広告の場合はユーザーによって使用するSNSが分かれるため、メインとなるターゲット層が最も利用している媒体を選びましょう。
目的から選ぶ
「資料ダウンロード数を増やしたい」「認知度を上げたい」「購入数を増やしたい」「問い合わせ数を増やしたい」など、目的に合わせて広告手法を選ぶのもおすすめです。
認知度を上げたい場合は、視覚的に訴えかけやすいディスプレイ広告や動画広告、資料ダウンロードや商品購入などを増やしたい場合は、ユーザーの興味関心に合わせてアプローチできるSNS広告など、ゴールに沿って適切な広告手法を選択するとよいでしょう。
広告の特長から選ぶ
広告手法はそれぞれに強みや弱みがあります。例えば、アフィリエイト広告はコンバージョンと同時に広告費が発生するため低コストで行えますが、広告を運用するアフィリエイターによって誇大表現された広告が配信されたり、アフィリエイターから自社の案件が選ばれず広告を掲載してもらえなかったりするリスクがあります。そのため、各広告手法のメリット・デメリットを加味したうえで自社にとって適切な手法を選びましょう。
まとめ
この記事では、Web広告の費用対効果の計算方法や広告別の特長、実施する広告の選び方などをご紹介しました。Web広告を配信することで、検索結果やSNS、Webサイトや動画サイトなどを通して多くのユーザーにアプローチができ、売上や認知度の向上、ブランディングなどさまざまな効果が期待できます。
広告を配信する際は、広告手法ごとにメリット・デメリットがあるため、記事内でご紹介した内容を参考に、自社の商品やサービスにあったものをお選びください。