ターゲット選定とは?おすすめのフレームワークや行うメリット・注意点も
ターゲット選定(ターゲティング)とは、フレームワークの一環です。
Webマーケティング用語のひとつですが、ターゲット選定とは具体的にどのような作業をするのでしょうか。
どのようなフレームワークを行えばターゲット選定ができるのかも気になるところです。
この記事では、ターゲット選定について焦点を当て、ペルソナ設定との違いや、ターゲット選定が必須である理由や行うメリットなどを詳しくご紹介します。
ターゲット選定をする際におすすめのフレームワークであるSTP分析、3C分析、SWOT分析、PEST分析についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
ターゲット選定はフレームワークの一環
ターゲット選定は、ターゲティングとも呼ばれているWebマーケティング用語です。
はじめに、ターゲット選定がどういったものなのか、ペルソナ設定との違いもあわせてご紹介します。
ターゲット選定とは
ターゲット選定とは、自社のサービスや商品を販売する顧客層を絞り込むことを指し、フレームワークの一環として行われています。
ターゲット選定を適切に行うことで、市場を明らかにできるほか、消費者のニーズについても把握できるようになります。
ペルソナ設定との違いについて
ペルソナ設定とは、ターゲットとする顧客の人物像を細かく作り込むことです。
ターゲット選定の場合、「顧客層」という集団を選び、ペルソナ設定では「人物像」を作り込むという点に違いがあります。
ターゲット選定では顧客層を決定し、ペルソナ設定ではその顧客層を深掘り、より詳細な人物像を作り上げていくことになります。
以下は、「美肌エステサロンへの集客」を例に作成した、ターゲット選定とペルソナ設定のサンプルです。
ターゲット選定 | ペルソナ設定 |
20代から30代 女性 独身 都内在住 |
33歳、女性、独身 23区在住、会社員 美容に興味があるが、仕事が忙しく不規則な生活をしている。 忙しさ故に、コスパとタイパを求めている。 月に美容代として5万円以上使用している お酒はたしなむ程度で、たばこは吸わない |
ターゲット選定が必要である理由
ターゲット選定は、どのような層や市場へ向けてどのようなアプローチをするのかを決定するうえで重要な役割を果たします。
ターゲット層や市場を決定することは、マーケティング施策の始点にもなることから、ターゲット選定は必須であるともいえるでしょう。
ここでは、その理由を2つご紹介します。
顧客のニーズに応えるため
売りたい商品や、利用してほしいサービスが、どのような層に求められているのかを把握し、その層へとアプローチすることが大切です。
極端な例でいうと、10代の女性に向けてアンチエイジングの商品をアプローチするよりも、ニキビケアといった商品をアプローチしたほうが売り上げが見込める可能性があることがあげられるでしょう。
また、顧客層を絞り込むことで、SNSなどで、ターゲット層がどのような悩みや問題を抱えているケースが多いのかといった情報収集がしやすくなります。
悩みや問題への解決策が顧客ニーズでもあるため、顧客層のニーズに的確に応えていくためにも、ターゲット選定が必要なのです。
予算内で効果の最大化を図るため
やみくもに宣伝をしたり販促をしたりしても、効果の最大化を図ることは難しいでしょう。
広告を掲載するとしても、目的を達成するために、どの層に向けてどのような内容で作成するのかを考える必要があります。
ターゲット層が明らかになっていれば、どういった手法が一番効果的にアプローチできるのかも考えやすくなるでしょう。
美容商品を売るのであれば、美容に対する意識が高い女性が情報収集に使用しているSNSに絞って広告を出稿するといったこともできるようになることから、予算内での効果の最大化にも貢献するといえます。
ターゲットを明確にすることで、自社の商品やサービスが適切な層に届きやすくなり、マーケティングの費用対効果が高まり、効果を最大化しやすくなるといえるでしょう。
ターゲット選定を行うメリット
先述のとおり、ターゲット選定を行う理由は、「顧客のニーズに応えるため」と「予算内で効果最大化を図るため」です。
では、ターゲット選定を行うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、ターゲット選定を行うことで得られるメリットを4つご紹介します。
ブランドイメージに一貫性が出せる
ターゲット選定を行うメリットの1つは、ブランドイメージに一貫性が出やすく、信頼の向上に貢献するからです。
同じ商品やサービスを異なる層に対してアプローチしてしまうと、ブランドイメージがぶれてしまう可能性があります。
例えば美容液を販売する場合、20代へは「さっぱり感」をアピールしているのに、40代へは「保湿効果が高い」としていたら、同じ美容液であるにもかかわず効果も違い、肌年齢が考慮されていないのではと不信感を持たれてしまう可能性があります。
このような事態はターゲット選定を行うことで避けられるでしょう。
信頼が高まる理由は、ターゲットを絞ることで、顧客が自分に関連した情報や解決策を受け取っていると感じるようになるからです。
明確なターゲットに向けたメッセージは、その顧客のニーズや課題に具体的に応える内容になるため、共感を得やすく、信頼を築きやすくなる傾向にあります。
ブランドの発信内容が一貫していると、顧客はそのブランドに対して「信頼できる」「安定した価値を提供している」と感じるようになるのです。
新規顧客獲得への助けとなる
新規顧客の獲得に伸び悩みを感じている際、ターゲット選定を行うことでアプローチすべき層がぶれていたり広すぎたりしていたことに気がつくこともあります。
再度ターゲット選定をして、その層へ向けたアプローチをすることで、自社の商品やサービスが自分に合っているものだと感じてもらえる可能性が高まります。
自分の悩みや問題を解決する手段になるかもしれないと考えると、おのずと興味が湧くのは自然のことといえるでしょう。
このように、ターゲット選定を行うことで新規顧客獲得への助けとなる可能性がある点もメリットといえるでしょう。
客単価の向上に寄与する
ターゲット選定を行うことで、顧客のニーズを正確に把握できるようになります。
加えてどのような付加価値を提供すれば購買意欲を高められるかを考慮することで、客単価の向上に寄与するでしょう。
例えば、百貨店に出店している高級ブランドのコスメカウンターでは、〇〇万円以上の購入でポーチのプレゼントや、1カ月以内の再来店で新作のミニリップのプレゼントを行うなどの施策を講じています。
ターゲット選定を行うことで、「ブランドロゴ入りのポーチ」や「新作のミニリップ」などの付加価値が特定の層に需要があると判断した可能性も考えられるでしょう。
このようにターゲットとする層に効果的なアプローチができれば、客単価の向上に寄与する点もターゲット選定を行うメリットです。
PDCAサイクルを回しやすくなる
ターゲット層を絞り込むことで、施策の効果検証がしやすくなります。
例えばターゲット層を20代から30代に設定するとしましょう。
そこから、20代前半、20代後半、30代前半、30代後半とさらに細分化し、広告のクリック率や販売数の伸びなどをセグメントごとに数値化すれば、どの年代にどのようなアプローチが効果的なのかわかりやすくなります。
その結果として、PDCAサイクルも回しやすくなり、よりターゲット層に合致した広告やコンテンツが作成できるようになるでしょう。
ターゲット選定におすすめのフレームワーク
ここまで、ターゲット選定が必要な理由やメリットをご紹介しました。
先述のとおり、ターゲット選定はフレームワークの一環です。
フレームワークとは、ビジネス上の意思決定や分析といった物事を考えるうえでの骨組みのことを指します。
次は、ターゲット選定に役立つおすすめのフレームワークについて詳しく解説します。
STP分析
STP分析とは、「Segmentation(セグメンテーション)」「Targeting(ターゲティング)」「Positioning(ポジショニング)」の頭文字を取ったものです。
ターゲット選定をする際にもよく用いられるフレームワークのひとつです。
市場や顧客層にどのようなニーズがあるのかを把握し、自社の商品やサービスを売り込む際に狙うべき市場だけではなく、効果的なアプローチの方法や競合との差別化できるポイントなどがわかります。
3C分析
3C分析とは、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの頭文字である「C」を取ったものです。
自社の市場や競合との関係性を分析する際に使用されるフレームワークで、市場における自社の商品やサービスの成功要因であるKFS(Key Factor for Success)を導き出すことを目的として行います。
SWOT分析
SWOT分析とは、「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threat(脅威)」の頭文字を取ったものです。
競合やブランド力、商品やサービスの価格・質などを内部環境と外部環境、プラス要因とマイナス要因に分類して分析する方法です。
効果的なマーケティング戦略や経営戦略を考案することを目的として行われるフレームワークとなっています。
SWOT分析を行うことで、客観的なデータを作成できるため、より適切なターゲット選定が可能となります。
PEST分析
PEST分析とは、「Politics(政治的観点)」「Economy(経済的観点)」「Society(社会的観点)」「Technology(技術的観点)」の頭文字を取ったものです。
これらの外的観点を分析することで、自社の置かれている状況や業界の現状把握に役立ちます。
PEST分析を行うことで、ターゲット層や市場に影響を与える可能性のある外部的な要因を把握しやすくなるため、特定の環境変化が顧客のニーズや行動にどのような影響を与えるかを理解し、適切なターゲット層を見つけやすくなるでしょう。
また、政治経済や社会全体、技術的な部分といった会社でコントロールが不可能な部分を指す「マクロ環境」の変化と、市場への影響も予測できます。
ターゲット選定をする際の注意点
ターゲット選定を行うことには、先述のとおり、新規顧客獲得や客単価の向上に寄与するなどのメリットがあります。
そのため、ターゲット選定を行いたいと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
最後に、ターゲット選定をする際の注意点をご紹介します。
自社の理念やブランドイメージと矛盾しないようにする
自社の理念やブランドイメージに反するターゲット層を選んでしまうと、今まで築き上げてきたイメージが崩れてしまったり、定着しづらくなったりする恐れがあります。
そのため、ターゲット層を選定するときには自社の理念やブランドイメージと矛盾がないようにしましょう。
ターゲット層の幅を広げすぎない
ペルソナ設定ほど細かくする必要はないものの、ターゲット選定でもある程度の絞り込みは必要です。
ターゲット層の幅を広くしすぎてしまうと、社内でターゲットに対するイメージを統一しづらくなるほか、適切な施策を行うのが困難になる可能性があります。
例えば、「20代から50代の男性」というターゲット層から、「20代から30代前半までの独身男性」といったようなかたちで絞り込みを行いましょう。
まとめ
この記事では、フレームワークの一環であるターゲット選定についてご紹介しました。
ターゲット選定は、自社の商品やサービスをどの層に向けてアプローチしていくかを決定づける重要なものです。
もしターゲット選定をせずにマーケティング施策を行ってしまうと、適切な層へと届かず、失敗してしまう可能性もあります。
顧客のニーズに的確に応え、予算内でマーケティング効果を最大化する足がかりとなるためにも、ターゲット選定は必須といえます。
また、適切な層に対してマーケティング施策を行うことにより、ブランドイメージに一貫性を持たせ、新規顧客の獲得や客単価の向上に役立てられるでしょう。
ターゲット選定をする際には、STP分析、3C分析、SWOT分析、PEST分析の4つのフレームワークがおすすめです。
適切な分析・ターゲット選定を行い、マーケティング施策を成功させましょう。