潜在ニーズとは?見つけ方や引き出すためのポイント、質問の具体例を紹介

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ビジネスにおいて潜在ニーズを見つけることは成約につなげるために不可欠といえます。ニーズには「潜在ニーズ」と「顕在ニーズ」の2種類が存在し、ニーズに似た言葉には「ウォンツ」が存在します。

これらの意味や違いを理解し、潜在ニーズを適切に見つけられるようになることで商談を有利に進められるでしょう。

この記事では、潜在ニーズ・顕在ニーズの意味やウォンツとの違い、潜在ニーズを見つける際に有効な手段や引き出すためのポイントをご紹介します。また、潜在ニーズを見つけるための質問例や引き出した具体例もご紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

執筆者

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マーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人

株式会社クリエイティブバンクのマーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人。得意分野は、SEO全般・サイト分析・オウンドメディア・コンテンツマーケティング。バンソウはクライアント様のBtoBマーケティングをサポートするサービスです。詳しい内容はこちらをご覧ください。

目次

  1. 潜在ニーズとは?
    1. 潜在ニーズと顕在ニーズの違い
    2. 潜在ニーズとインサイトの違い
  2. ニーズとウォンツの違い
    1. ニーズは目的であり、ウォンツは手段
  3. 潜在ニーズの理解が必要な理由
    1. 新しい顧客層を開拓できる
    2. 顧客のリピート購入を促す
  4. 潜在ニーズを理解することで商談が有利に進められる理由
    1. 顧客はニーズよりウォンツを話すことが多い
    2. 潜在ニーズを引き出した営業から顧客が購入する
    3. 商談受注率が高まる
  5. 潜在ニーズを理解するメリット
    1. 自社への信頼を抱いてもらえる
    2. 新しいビジネスの機会創出につながる
    3. 顧客の課題解決に真摯に向き合える
  6. 潜在ニーズを見つける際に重要な要素
    1. 選択基準
    2. 行動
    3. 深掘りに対する答え
    4. 矛盾点
  7. 潜在ニーズを見つける際に有効な手段
    1. インタビュー
    2. エスノグラフィー
    3. アンケート
    4. SNS
    5. Webコンテンツ
  8. 潜在ニーズを見つけるための質問例
    1. ウォンツを選んだ理由を聞く
    2. ウォンツを選択したメリットを聞く
  9. 潜在ニーズを引き出すためのポイント
    1. いくつものパターンの質問を用意する
    2. 質問相手の言葉をそのまま受け取らない
  10. 潜在ニーズを引き出した具体例
    1. 具体例①「ランニングマシンが欲しい」
    2. 具体例②「Nintendo Switchが欲しい」
    3. 具体例③「車が欲しい」
    4. 具体例④「事務作業の効率化をしたい」
    5. 具体例⑤「〇〇業務のマニュアルを改訂したい」
  11. まとめ

潜在ニーズとは?

潜在ニーズは、顧客自身が求めているモノ・コト(商品やサービスなど)が何かを明確化していないにもかかわらず、何かしらの欲求がある状態をいいます。

この状態は何を求めているのか本人もわかっていないため、購買に至ることはありません。顧客に購買行動を起こさせるためにはニーズを顕在化させる必要があります。

顧客ニーズは畑の大根で例えるとわかりやすく、地面に埋まっている大根部分が潜在ニーズとなります。地面の中にあり、求めているものが明確に可視化できていない状態です。

生活の中での偶然の気づき、企業や店舗などが行うSNSなどのキャンペーン、展示会のイベントのようなさまざまなマーケティング活動などから、顧客の潜在ニーズが顕在化することがあります。

潜在ニーズと顕在ニーズの違い

顕在ニーズとは、ターゲットとなる顧客が自身の欲しいモノ・コト(商品やサービスなど)が何かを自覚している状態をいいます。この状態になれば、自分が欲しいモノ・コトが何なのか、なぜ欲しいのかを説明できます。

潜在ニーズは、大根の地面に埋まっている部分だとお伝えしましたが、地面から出ている大根の葉っぱ部分が顕在ニーズとなります。

地面から外に出ており、求めているものが明確に可視化できている状態です。この状態の顧客は、自身の需要が何かを理解しているので、ニーズを満たすために購買行動を起こす可能性が高いです。自分の欲求を満たすための解決手段を意識して探し、見つかったモノ・コトの費用対効果がよければ購買に至ります。

潜在ニーズとインサイトの違い

潜在ニーズと似た意味を持つ言葉には「インサイト」があり、マーケティングにおいてよく使われます。

潜在ニーズは、顧客が自覚していないものの、何らかの欲求を抱いている状態を指しますが、インサイトは顧客本人が欲求を抱いていることに気づいていない深層心理を指し、潜在ニーズよりもより深い部分に位置しています。

潜在ニーズはインタビューやアンケートなどを行うことで顧客のニーズを引き出せますが、顧客のインサイトに対してアプローチするためには、顧客自身に問いかけるのではなく、広告などのコンテンツを用いて、「私にはこの商品が必要だったんだ」と気づきを与えることが必要となります。

ニーズとウォンツの違い

ここまで、潜在ニーズの意味や顕在ニーズ、インサイトとの違いをご紹介しました。これらとあわせて、「ニーズ」と似た言葉である「ウォンツ」との違いについても知っておくとよいでしょう。

ニーズは、人の欲求が満たされていない欠乏状態をいいます。例えるなら「のどが渇いているので飲み物が欲しい」ときの「のどが渇いている」がニーズとなります。

一方、ウォンツはニーズを満たすための具体的な要望なので、「のどが渇いているので飲み物が欲しい」ときの「飲み物が欲しい」がウォンツとなります。

ニーズは目的であり、ウォンツは手段

「のどが渇いているので飲み物が欲しい」の例で、簡単にニーズとウォンツの違いを説明しました。このニーズとウォンツの関係は一対一に限ったものではなく、一対複数や複数回連鎖することもあります。

従って、ニーズは「目的」でウォンツは「手段」と考えると、整理するのが簡単になります。ニーズ(目的)は手段(ウォンツ)によって実現したいことであり、ウォンツ(手段)は目的(ニーズ)を実現するための、モノ・コトと覚えましょう。

潜在ニーズの理解が必要な理由

ここまで、潜在ニーズの概要をご紹介しました。「潜在ニーズを理解するのは顕在ニーズよりも難しいから、顕在ニーズを抱える顧客を中心にアプローチすればよいのではないか?」と考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、近年のマーケティングにおいては、以下のような理由から、顕在ニーズを抱える顧客だけでなく、潜在ニーズを抱える顧客に対してもアプローチをすることが重要とされています。

新しい顧客層を開拓できる

潜在ニーズを理解することで、これまでターゲットとして狙っていた顧客層とはまったく異なる新たな顧客層を開拓できる可能性があります。

例えば、これまでは30代の女性向けに販売していた商品が、20代の男性に対しても需要があることが潜在ニーズによって把握できた場合、女性のターゲットを意識したコンテンツを提供していた場合、男性にはあまり響きません。

女性向けのコンテンツとは別に、男性をターゲットにした写真やキャッチコピーなどを含んだコンテンツを提供したり、男性が好みそうなパッケージデザインを新たに作成したりすることで、新たな顧客層の開拓が狙えます。

顧客のリピート購入を促す

提供する商品やサービスによっては、競合他社が増加しレッドオーシャン化しているものや、顧客の購買プロセスが変化し、アプローチがしづらくなったものなどもあるでしょう。

このように新規顧客の獲得が難しい場合は、既存顧客におけるリピーターの獲得や、アップセル、クロスセルを狙うことが大切です。

アップセルとは、同一の製品の上位プランや追加オプションを購入してもらうことを指し、クロスセルは自社の別商品やサービスを購入してもらうことを指します。

顧客の潜在ニーズを把握することで、「現在は〇〇という課題を解決するためにA商品を利用しているが、△△のニーズを満たすためにはB商品が有効」などを発見でき、上記のような既存顧客へのアプローチでの効果が期待できます。

潜在ニーズを理解することで商談が有利に進められる理由

ここまで、潜在ニーズを理解することの必要性についてご紹介しました。潜在ニーズを理解し、うまく引き出すことで、顧客との商談を有利に進め、受注につなげられる可能性を高められます。その理由は次のとおりです。

顧客はニーズよりウォンツを話すことが多い

先述のとおり、ニーズは目的でウォンツは手段だとお伝えしましたが、目的であるニーズは抽象的な概念であり、手段であるウォンツは具体的です。具体的なものは頭に浮かべやすいこともあり、ヒアリングすると顧客はニーズよりウォンツのほうを話すことが多くなりがちです。それを理解したうえで、潜在ニーズを引き出す努力が必要といえます。

潜在ニーズを引き出した営業から顧客が購入する

ニーズが顕在化している状態であれば、顧客は課題解決に必要なモノ・コト、サービスを自身で探します。探す段階でこだわりなど特別な条件が存在しない場合は、幅広く情報を集め、いくつかの企業を比較して費用対効果が高いものを選択します。

しかし、顧客が自身のニーズを理解していない、意識していない潜在的なものである場合は、購買行動を取る可能性は低いです。その際に、営業は顧客の潜在ニーズを引き出すサポートをすることで、顧客が購入に至る可能性を高められます。

ニーズの顕在化ができる営業は競合が増えたとしても、顧客理解度を高め、本質的な解決策まで提案できれば競争優位性が得られます。

商談受注率が高まる

潜在ニーズを引き出すことができれば商談受注率が高まります。

顧客自身が気づいていなかった課題や気づいていても解決する方法がわからない潜在ニーズを、顕在化することができる営業がいれば、顧客が困ったときに最初に相談されるでしょう。

しかし、顕在化したニーズに対して顧客が指定するモノ・コト、サービスを渡すだけでは下請け業者と見なされるので注意が必要です。

課題解決型の営業は、顧客と対等なパートナーの関係性で成り立ちます。同じ目的を共有して一緒に課題を解決します。

潜在ニーズを理解するメリット

ここまで、潜在ニーズを理解することで商談が有利に進められる理由についてご紹介しました。このような商談におけるメリットをはじめ、潜在ニーズの理解は、次のように企業での事業拡大を目指すうえでも大いに役立ちます。

自社への信頼を抱いてもらえる

顧客に対して潜在ニーズを理解したアプローチを行うことで、自社への信頼度を高められる可能性があります。

潜在ニーズは、顧客自身も気づいていなかった欲求であるため、顧客はこのような潜在的な感情を気づかせてくれた存在に対して強い信頼感や親近感を抱く傾向があります。

顧客の潜在ニーズに応じたアプローチや、欲求を満たす商品やサービスを提供することによって、顧客から自社への信頼度を高められ、新規顧客だけでなく、リピーターやファンの育成にもつながるでしょう。

新しいビジネスの機会創出につながる

顧客の潜在ニーズを理解することで、新たな市場の開拓や、ビジネスの機会創出につながります。

競合が多い業種や業界では、競合との差別化を図りつつ、かつ顧客が関心を抱く商品やサービスを提供する必要があります。しかし、顧客の「〇〇したい」「〇〇が欲しい」といった具体的な顕在ニーズを網羅した商品やサービスはすでに競合もカバーしており、競争率が高まっていることが多いでしょう。

このとき、顧客の潜在ニーズを見つけ出し、顧客自身も気づいていない欲求を満たす商品やサービスを提供することで、競合との差別化を実現できるでしょう。

このような潜在ニーズから新たなアイデアを得ることで、現在の事業の拡大だけでなく、新たな市場の開拓といったビジネスの機会創出が可能になります。

顧客の課題解決に真摯に向き合える

顧客の潜在ニーズを探り、理解することで、顧客の課題解決に真摯に向き合えるでしょう。顧客の潜在ニーズは顧客が明確に意識を持っているわけではなく、「なんとなく不満に感じる」といった感情として顕在ニーズに影響します。

例えば、「ジムに行きたい」というニーズが「ダイエットしたい」「健康になりたい」「なんとなく現在の体形に満足していない」という背景から生じたものであったとしても、潜在的には「痩せて美しくなりたい」「周りから褒められたい」といったニーズが潜んでいる可能性があります。そのため、このようなニーズを抱えている顧客は、ただジムに行ってダイエットに成功しただけでは、完全に満たされないでしょう。

根底にある「痩せて美しくなりたい」「周りから褒められたい」といったニーズに向き合い、美容面も意識したサービスを取り入れるなどの施策を行うことで、顧客の課題解決に対して真摯に向き合ったアプローチが可能になります。

潜在ニーズを見つける際に重要な要素

ここまで、潜在ニーズを理解するメリットについてご紹介しました。実際に顧客とのコミュニケーションを経て潜在ニーズを探る際は、以下の要素が重要となります。

選択基準

顧客の潜在ニーズを探る際は、顧客がどのような基準で選択しているかを意識すると見つけやすくなります。例えば、いくつかの選択肢から顧客に選んでもらう際にそれぞれの選択肢の良し悪しから選ぶのではなく、顧客自身の好き嫌いによって選んでもらうことで、選択した内容からニーズを読み取りやすくなります。

潜在ニーズは「好き」や「嫌い」といった感覚に表れやすいため、顧客が好んで選択したものは何か、反対に何を避けているのかを探ることで、潜在的に何を求めているのかを分析しやすくなるでしょう。

行動

顧客の普段の生活や、行動パターンからも、潜在ニーズは読み取りやすいです。例えば、通勤中にスマートフォンで何気なく見ているものや、買い物中に思わず買ったもの、家で過ごしているときにいつもやっていることなどを掘り下げることで、自身では気づいていないけれど、潜在的に欲しがっているものを見つけやすくなるでしょう。

また、このような行動以外にも、無意識のうちに取るしぐさや表情からも潜在ニーズを見つけられることがあります。商談やインタビューなど、顧客と直接会って話しているときは、顧客がどのような表情をしているのか、どのような動きをしているのかにも注目してみることをおすすめします。

深掘りに対する答え

顧客への質問をする際に、顧客から得た回答に対して「なぜ?」とさらに深掘りすることによって、潜在ニーズを引き出せる可能性があります。

例えば、「ジムに行きたい」というニーズに対して、以下のように質問を繰り返して回答を掘り下げていくことで、潜在ニーズを見つけられるでしょう。

なぜジムに行きたいのか?
→体を引き締めたいから

なぜ体を引き締めたいのか?
→もっと美しい見た目になりたいから

なぜもっと美しい見た目になりたいのか?
→友達や家族から褒められたいから

このように、「なぜ?」を繰り返すことで、顧客が「ジムに行きたい」と考える際の根底にあるニーズを引き出せるようになります。上記のように「美しい見た目になって周囲から褒められたい」といった顧客をターゲットに、ジムでのトレーニングと同時に行えるエステや美容サービスを提供するなどのアイデアが得られます。

矛盾点

人間の脳は、自身の考えと行動に矛盾が生じないよう、思考に応じた行動を取る傾向があります。しかし、顧客本人も自覚していない潜在ニーズがある場合、行動に反映されず、思考に反した行動を取ることがあり、このような矛盾点から潜在ニーズを探れる場合があります。

例えば、「ジムに行って体を引き締めたい」というニーズを持ちながらも、ジムには契約せず化粧品やアクセサリーに貯金を費やしている顧客の場合、体を引き締めることよりも、化粧品などを使って自身をより美しく見せたいのではないか?といった潜在ニーズが推測できます。

このように、顧客が口に出すニーズと実際の行動を照らし合わせて、矛盾する点がある場合は重点的に探ることで、潜在ニーズのヒントを見つけられるでしょう。

潜在ニーズを見つける際に有効な手段

ここまで、潜在ニーズを探る際に重要となる要素についてご紹介しました。潜在ニーズを探る際は、実際に顧客と対面で行うインタビューやエスノグラフィーだけでなく、SNSやアンケートなどを用いてデータを収集し、隠れたニーズを探る方法もあげられます。

このような、潜在ニーズを見つける際に有効な手段は、次のとおりです。

インタビュー

顧客に直接質問する手段がインタビューとなります。顧客のウォンツをヒントに、なぜそのウォンツが生まれたのかを繰り返し質問することで、顧客本人が普段意識していなかったことに気づくことがあります。

インタビューは一対一で行われるデプスインタビューと、複数人で行うグループインタビューがあります。インタビューをする際にはラダリング法と呼ばれる深層心理を明らかにする対話方法が用いられます。

エスノグラフィー

エスノグラフィーとは、顧客の自宅やオフィスに出向き、普段生活する空間に調査員が身を置いて行動観察することです。

モノ・コト、サービスの利用状況を確認するための定性調査のひとつであり、対象の行動・環境・コミュニティから価値観や意識を明らかにすることを目的に行われる手段で、潜在ニーズを探る方法としても適しているといえます。

アンケート

インタビューやエスノグラフィーを実施する際は、顧客とのスケジュール調整などが難しかったり、一度に多くの顧客から情報を集められなかったりするといったデメリットがあります。このようなときは、インタビューやエスノグラフィーと並行してアンケートを行うのがおすすめです。

アンケートは、一度に多くの顧客から回答を集められるだけでなく、指定した期間内であれば顧客がいつでも回答できるという点が特長です。アンケートから顧客の傾向を分析し、同じようなニーズを抱えている顧客に共通する点は何か、自社でどのようにアプローチできるか、といった仮説立てを行いましょう。

SNS

SNSは、ユーザーが匿名で気軽に投稿を行えることから顧客のリアルな声を聞きやすいため、潜在ニーズを探る際にも役立ちます。

SNS上には、「〇〇が気になる」「〇〇が欲しい」「〇〇に行きたい」といった内容も数多く投稿されています。また、投稿はそれぞれコメントを寄せたり、拡散したりできるため、これらの反応も見ながら顧客が興味を持ちそうなコンテンツや、潜在的に抱えている悩みや課題などを探るとよいでしょう。

なお、SNSにはXやInstagram、TikTokなどさまざまな種類があり、性別や年代によっても利用者数の多い媒体は異なります。各SNSの特徴なども把握したうえでSNSでのリサーチを行うことで、より自社のターゲット像に適した顧客に対する調査が行えます。

Webコンテンツ

記事や動画などを用いたコンテンツも、潜在ニーズを探る際に有効です。アクセス数が多いコンテンツや、現在運用しているコンテンツの流入キーワードなどを調べることによって、潜在ニーズを知るヒントが得られる可能性があります。特に流入キーワードでは、本来狙っていたキーワードと異なるものから流入していた場合、潜在ニーズの発見や新たなビジネスの機会創出が期待できるでしょう。

記事や動画以外にも、診断コンテンツのように、顧客に対してシステムが質問を行い、回答に沿って適切なコンテンツを自動で提供するといった手法も最近では注目を集めています。このような診断コンテンツでは、ニーズを探る質問の前に顧客の性別や年代といった個人情報もあわせて集められるため、ユーザー属性とニーズを同時に分析する際に役立ちます。

潜在ニーズを見つけるための質問例

顧客にインタビューする際に潜在ニーズを見つけるために、どんな質問をすればよいのかわからない方のために具体的な質問例をまとめました。ウォンツをヒントにオープンクエスチョンを使用して背景を探ることがポイントとなります。

ウォンツを選んだ理由を聞く

例えば、ウォンツ「青汁を飲みたい」は、「健康になりたい」というニーズから生まれたひとつの手段です。なぜ、青汁を飲みたいのか顧客に質問すれば、健康になりたいからと返答されるでしょう。

この答えに対して、さらに質問として「健康になるための商品は青汁のほかにもあると思いますが、なぜ青汁を選んだのでしょう?」と尋ねると「青汁なら粉末を水に溶かして5分もかからずに飲むことができる」などと答えが返ってきたとします。

結果として「健康になりたいけど時間をかけたくない」といった、青汁を飲むという決断に至った理由(潜在ニーズ)を引き出すことができます。

ウォンツを選択したメリットを聞く

ウォンツの向こう側に何があるのか、ウォンツを手に入れた先にどのようなすてきな世界が広がるのかを確認することで、顧客が真に目指している状態(ニーズ)を確認できます。

「青汁を飲んで健康になる」の先に顧客が考えていた未来が「犬と公園を走り回りたい」だとします。実は「青汁を飲む」というウォンツ以外の手段でもよいと気づくことがあるかもしれません。

その結果、異なるウォンツも選択肢に加えられ、より多くの潜在ニーズを引き出すきっかけとなる場合もあります。

潜在ニーズを引き出すためのポイント

潜在ニーズを引き出す際に大切なポイントは次のとおりです。

いくつものパターンの質問を用意する

ウォンツを深掘りするためには何度も質問を繰り返すことが大事です。同じような質問ばかりだとインタビュー相手に不信感を持たれてしまう恐れがあるので、質問にはバリエーションを持たせることがポイントとなります。

会話の中で潜在ニーズを引き出すので、以下のような質問パターンを覚えておくとよいでしょう。

  • ○○をすることでどんなメリットがありますか?
  • もし、○○をすればどうなりますか?
  • ○○がよいと感じる理由を教えてもらえますか?
  • ○○をする目的は何ですか?

質問相手の言葉をそのまま受け取らない

顧客に質問することでいくつもの答えが見つかりますが、その答えをそのまま受け取る(うのみにする)と潜在ニーズを引き出すことはできません。

インターネットで求人サイトを検索する人の潜在ニーズは何か考えてみましょう。顕在ニーズとしては「転職したい」となり、さらに深掘りすると「給料アップ、キャリアアップ」などが考えられます。もし、自身が転職エージェントとして、このような顧客のサポートを行う場合、顕在ニーズしかわからない場合は「今より給料が高く、キャリアアップとなる仕事」を紹介することしかできません。

もし、顧客満足度を高めたいのであれば、潜在ニーズを引き出す必要があります。

なぜ、「転職エージェントを頼ったのか」を考えると「在職中で転職先を探す時間がない」や「1人で転職するのが心細いから誰かに相談したい」という顧客の思いが見えてきます。

質問相手の言葉(ウォンツ)だけ受け止めてしまうと深掘りできずに、潜在ニーズが引き出せないことが多いです。なぜそれ(ウォンツ)を求めたのかを相手の立場になって考えることが大切です。

潜在ニーズを引き出した具体例

潜在ニーズを引き出した具体例を紹介します。

具体例①「ランニングマシンが欲しい」

  1. 「ランニングマシンが欲しい」←「なぜランニングマシンが欲しいのか?」
  2. 「足を細くしたい」←「なぜ足を細くしたいのか?」
  3. 「きれいに見られたい」←「なぜきれいに見られたいのか?」
  4. 「周りからモテたい」← 潜在ニーズ

潜在ニーズを満たす手段(ウォンツ例)

  • ダイエット食品
  • 化粧品
  • 合コンのセッティング

上記から、潜在ニーズを満たすための手段がランニングマシンのほかにも考えられることがわかりました。「きれいに見られたい」「周りからモテたい」といったニーズを抱えるユーザーに対しては、化粧品やダイエット食品で美容へのアプローチを行う以外にも、合コンのセッティングなど出会いの場を広げる手段もおすすめです。

具体例②「Nintendo Switchが欲しい」

  1. 「Nintendo Switchが欲しい」←「なぜNintendo Switchが欲しいのか?」
  2. 「現実逃避するくらいゲームに没頭したい」←「なぜ現実逃避するくらいゲームに没頭したいのか?」
  3. 「仕事のストレスを解消したい」← 潜在ニーズ

潜在ニーズを満たす手段(ウォンツ例)

  • カラオケ
  • 体を動かす
  • おいしい食事を取る

上記の顧客は、ストレス解消のためにゲーム機を求めていました。そのため、ゲーム機以外にも体を動かしてストレス発散できる施設やカラオケといった娯楽施設、疲れを癒やせる食事が楽しめる飲食店や食品ギフトといったサービスなどがあげられます。

具体例③「車が欲しい」

  1. 「車が欲しい」←「なぜ車が欲しいのか?」
  2. 「早朝に家を出て電車で通勤したくない」←「なぜ早朝に家を出て電車で通勤したくないのか?」
  3. 「起きる時間を遅くしたい」←「なぜ起きる時間を遅くしたいのか?」
  4. 「寝る時間を増やしたい、質のよい睡眠を取りたい」← 潜在ニーズ

潜在ニーズを満たす手段(ウォンツ例)

  • 睡眠改善薬
  • 快眠グッズ(ベッド・枕)
  • 夜遅くまでスマホを触る習慣の見直し

上記の顧客は、「早朝に電車で通勤したくないから車が欲しい」というニーズの裏に、「さらに寝る時間を増やして、質のよい睡眠を取りたい」という潜在ニーズがありました。そのため、通勤の時間が短縮できる手段である車の購入以外にも、快眠を促すグッズや、短い時間でも質のよい睡眠が取れるアドバイスといったコンテンツを提供するのもよいでしょう。

具体例④「事務作業の効率化をしたい」

  1. 「事務作業の効率化をしたい」←「なぜ事務作業を効率化したいのか?」
  2. 「事務作業に関わる社員を減らしたい」←「なぜ事務作業に関わる社員を減らしたいのか?」
  3. 「事務作業に関わる社員には営業活動に力を入れてもらいたい」←「なぜ営業活動に力を入れてもらいたいのか?」
  4. 「営業人数を増やして営業力を強化したい」← 潜在ニーズ

潜在ニーズを満たす手段(ウォンツ例)

  • 社員教育
  • 営業サポートツール
  • Webサイトの強化

上記の顧客は、「事務作業を効率化させたい」というニーズの裏に、営業活動を行う社員の人数を増やし、自社の営業力をより強化したいという潜在ニーズがありました。そのため、現在営業活動をメインに行っている社員の営業力を底上げするために社員教育を行ったり、少ない人数でも営業活動をより効率よく行えるようサポートツールを導入したりするなどの方法もあげられます。

また、社員が営業活動を行う以外にも、Webサイトからの問い合わせといった流入経路を増やすためにWebサイトを強化するのもおすすめです。

「Webサイトからの流入を増やしたい」「Webサイトの作成後はどのように動くべきかアドバイスが欲しい」といった場合は、ぜひバンソウのWeb集客コンサルティングをご利用ください。

具体例⑤「〇〇業務のマニュアルを改訂したい」

  1. 「〇〇業務のマニュアルを改訂したい」←「なぜ〇〇業務のマニュアルを改訂したいのか?」
  2. 「〇〇業務に関わる社員を減らしたい」←「なぜ〇〇業務に関わる社員を減らしたいのか?」
  3. 「全社目標の業務効率化を実現したい」← 潜在ニーズ

潜在ニーズを満たす手段(ウォンツ例)

  • 業務のシステム化
  • 社員教育
  • 無駄な業務をなくす

上記の顧客は、特定の業務のマニュアルを改訂したいというニーズの裏に、全社目標である業務効率化を実現したいというニーズがありました。そのため、マニュアルを改訂し、業務効率化が狙える内容にするほかにも、システムによって自動化できる作業はすべて専用のツールを導入したり、より効率よく業務を行えるよう社員教育に力を入れたりするといった方法があげられます。

なお、日頃から不要な業務を廃止したり、先述したようにツールを用いて自動化したりするよう意識することによって、業務効率化につながるでしょう。

まとめ

この記事では、潜在ニーズとは何かの概要やニーズとウォンツの違い、潜在ニーズを見つける際に有効な手段や質問例などをご紹介しました。質問を繰り返し行い、顧客がウォンツを求めるに至った背景を解明できれば、潜在ニーズを理解できるでしょうし、そのうえで本質的な解決策が提案できるようになれば、商談を有利に進められます。

慣れないうちは尋問のような質問で深掘りすることになる恐れがあるので、事前にどのような質問をするのかまとめておくとよいでしょう。潜在ニーズを引き出すことはマーケティングの成功にもつながるので、ぜひこの記事を日々の業務にお役立てください。

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