誤字脱字チェックの方法、おすすめの校正ツールを詳しく紹介
誤字脱字はささいな問題のように思えるかもしれませんが、それが大きな悪影響を及ぼすことがあることを忘れてはいけません。周りからの信用を失うことや、ビジネスにおける重大な損失を招く可能性があります。
しかし、誤字脱字を見つけるのは簡単ではありません。文章を何度も読み返しても見落としてしまうことも珍しくありませんし、校正ツールを使っても100%の確実性があるわけではありません。
そこで、この記事では誤字脱字を見つける方法についてご紹介します。普段行っているチェック作業にほんの少しの一手間を加えるだけで、誤字脱字を減少させることができます。
誤字脱字を見逃してしまう原因
誤字脱字を見逃さないために、作業を分けて行うことが大切です。ながら作業はミスを誘発する原因となります。これは誤字脱字に限ったことではなく、さまざまな作業で同様の問題が起こります。
人間は同時に複数のことを行う際、何かしらの要素を見落とすことが避けられません。文章のチェックでもこの問題が浮上します。
タイポグリセミア現象
タイポグリセミア現象というものをご存じでしょうか? これは、文章中の単語の最初と最後の文字が正しい場合、誤字脱字があっても勝手に補正して読んでしまう現象を指します。
以下の文章を例にあげてみましょう。
「こんちには みさなん おんげき ですか? わしたは げんき です」
この文章を読むと、実際には意味が通じないおかしな日本語になっていますが、我々の頭脳は文字の流れに従って誤字脱字を勝手に修正しようとします。
誤字脱字チェックのミスを減らす方法
意味合いのチェックと誤字脱字のチェックは別々に行う
意味合いのチェックと誤字脱字のチェックは別々に行うことが大切です。この方法を用いれば、タイポグリセミア現象の影響を最小限に抑えることができます。
例えば、チラシや制作物を確認する際に、文章の意味合いを最初に確認し、その後に誤字脱字のチェックに切り替えることが大切です。意味合いに集中している間は誤字脱字に気を取られず、逆も同様です。
手間がかかるかもしれませんが、この方法を実践することで、確実に誤字脱字を見つけることができ、信頼性のある文章を提供できるでしょう。
文をまとめずに一文字ずつ確認する
誤字脱字を見つける際には、文をまとめずに一文字ずつ確認することが非常に効果的です。
文章をスラっと読んでしまうと、誤字脱字に気づくのが難しいことがあります。そのため、文節やまとまりごとに区切り、一文字ずつ注意深く確認していくのがポイントです。
この方法を実践することで、誤字脱字を見逃す確率が大幅に低下し、より正確な文章を作成できます。文章の質を向上させ、信頼性を高めるために、ぜひこのコツを試してみてください。
数字は一文字ずつ電話番号のように読む
数字の誤りは非常に厄介ですし、商品の価格や期限の日付などで誤りが発生すると、その後の問題が大きくなることがあります。
数字の間違いに気づくために、数字を一文字ずつ電話番号のように読むという方法は非常に有効です。例えば、19,880円という数字を以下のように読み替えることで、誤りに気づくことができます。
「いち きゅー かんま はち ぜろ ぜろ えん」
そして、数字「8」が出てくるときに「ヒヤリ!」と気づくことができます。
さらに、価格表示の際にカンマ(,)も読むことが大切です。カンマの位置がズレたり抜けていたりすることもあるため、こうした細かな注意が誤字脱字を防ぐのに役立ちます。
この方法を活用することで、数字の誤りを見逃さず、正確な情報を提供できるようになります。商品の価格や期限、電話番号などの重要な情報には特に気を配りましょう。
チェックに集中する
誤字脱字を見落としてしまう最も単純な理由のひとつは、誤字脱字を見落としてしまうことです。チェックをしたつもりでも、実際には不完全なチェックが行われることはよく起こります。
なぜ、このようなチェック漏れが生じるのかについて考えると、いくつかの理由が挙げられます。例えば、チェック中に電話がかかってきたり、ほかの人から声をかけられたり、体調が悪かったりすることがあります。また、チェック中にほかのことに気を取られ、本来のチェック対象から気がそれることもあります。
人間は集中力を保つことが難しく、思考がさまざまな方向に飛んでしまうことがあります。特に、誤字脱字を見逃す可能性が高い状況では、できるだけチェックに集中することが重要です。
誤字脱字を防ぐためには、チェック作業に専念し、外部からの干渉を最小限に抑えることが大切です。また、こまめに休憩を取ることで、集中力を維持しやすくなります。チェック作業を完了させるために、効果的な方法を見つけて実践しましょう。
蛍光マーカーを使って「見える化」
蛍光マーカーを使って「見える化」する方法は、誤字脱字を見逃さないために非常に便利です。使い方は簡単で、チェックが終わった箇所を蛍光マーカーで塗りつぶすだけです。
この方法によって、どこまでチェックしたかが一目でわかります。鉛筆でレ点や斜線を入れる方法もありますが、読んだ箇所を即座に塗りつぶすことが最も確実な方法です。
校正者にとっては、蛍光マーカーは必需品のひとつといえるでしょう。一般的には赤ペンを校正のシンボルと考えることが多いかもしれませんが、実際に消費される量を考えると、蛍光マーカーのほうが圧倒的に多いです。
蛍光マーカーを使用する際には、紙を出力する必要があります。この点が面倒に感じるかもしれませんが、実際に紙で読むことで、誤りに気づきやすくなるメリットがあります。パソコンのディスプレイで文章を見るよりも、紙媒体のほうが情報を理解しやすいという調査結果も示されています。
同じ情報であっても紙媒体(反射光)とディスプレー(透過光)では脳は全く違う反応を示し、特に脳内の情報を理解しようとする箇所(前頭前皮質)の反応は紙媒体の方が強く、ディスプレーよりも紙媒体の方が情報を理解させるのに優れていることや、DMは連続的に同じテーマで送った方が深く理解してもらえることなどが確認されました。
引用:トッパン・フォームズ株式会社 2013年7月23日 ニュースリリース
同じ箇所は、まとめて一気に見る
同じ箇所を、まとめて一気に見るという方法も、誤字脱字を見逃すリスクを減らすために有効な対策です。
記事や文書を作成する際に、章や見出しごとに分けてチェックを行うことで、同じ箇所を一気にチェックできます。これにより、同じテキストを何度も繰り返し読むことなく、誤字脱字を見つけることができます。
特に長文や詳細な文書の場合、同じ箇所を何度もチェックするのは大変ですが、章や見出しごとにまとめてチェックすることで、見落としを減らすことができます。この方法を蛍光マーカーやほかのチェック方法と組み合わせることで、より効果的な誤字脱字の防止が可能となります。
要点を見逃さず、文章の品質を向上させるために、適切なチェック方法を選びましょう。
同音異義語に注意
同音異義語は誤字脱字の中でも特に注意が必要な部分です。同じ音で異なる意味の単語が存在することから、見落としやすい要素となります。
例えば、「内蔵」と「内臓」は音が同じですが、意味が異なります。このような誤字脱字は文章の理解に影響を及ぼす可能性が高く、特にプロの校正者にとっては敏感に感じられるものです。しかし、一般の文書を作成する際にも同音異義語の誤りは発生しやすいため、注意が必要です。
同音異義語に対する意識を高め、常にチェックするように心がけることは、文章の品質向上に影響します。誤字脱字を見逃さないために、特に同音異義語に注意を払い、プロのような感覚を身につけることが大切です。
校正ツールを使用する
校正ツールと人間の目を併用するアプローチは、誤字脱字を見逃さないために非常に効果的な方法です。完璧な校正ツールは存在しないため、人間の目が依然として重要な役割を果たします。
校正ツールは便利なツールであり、Microsoft Wordの校閲機能なども有用ですが、それでも完全ではありません。特に同音異義語や文脈による意味の違いを捉えるのは難しい場合があります。
従って、校正ツールと人間の目を組み合わせることは、誤字脱字を最小限に抑えるのに役立ちます。特に重要な文書やコンテンツにおいて、時間をかけてでも確実性を高めるためにこのアプローチを選ぶことは賢明です。
手間がかかるかもしれませんが、その手間は品質向上につながり、最終的に読者や受け手に信頼性のある情報を提供することができます。校正ツールと人間の目でのチェックを組み合わせて、誤字脱字からくるミスを最小限にしましょう。
おすすめの校正ツール(無料)
PRUV
PRUVは、文章の品質向上に役立つ優れたツールです。文字数制限があるものの、無料登録を行うことで十分に使い勝手が向上し、有料会員になることでさらに高度なチェックが可能になるのは魅力的です。
PRUVのチェック項目の充実度も素晴らしく、助詞やら抜き言葉、二重敬語など、よく見られるうっかりミスを指摘してくれる点は頼りになります。また、自分専用のユーザー辞書を作成できるというのは、特に個人の癖や文体に合わせてカスタマイズするうえで便利です。
ただし、校正ツールは完璧ではなく、明らかな誤字脱字を指摘しきれない場合もあることを理解しておく必要があります。従って、過信せずに校正ツールを補完的に使い、最終的には人間の目で文章を確認することが大切です。PRUVのようなツールは、文章の品質向上に役立つ一方で、最終的なチェックの一部として活用しましょう。
また、広報や論文、一般に公開される文書などのチェックをする際に、無料の校正ツールは役立ちますが、仕事で使用する場合は、情報漏洩などの問題が起きない有料の校正ツールを使用することをおすすめします。無料の校正ツールを使用する前には、利用規約や使い方を必ず確認しましょう。
Enno
Ennoは、登録やログインが不要で手軽に使える校正ツールのひとつです。英語のスペルチェック機能などを備えており、理工系の文書にも対応している点が特徴的です。
Ennoのミスの指摘範囲は、スペースの誤入力や日本語表記の誤りなど「日本語のあからさまなミス」に焦点を当てています。誤字脱字にも対応してはいますが、ほかの校正ツールと比較して精度が高いとはいえないかもしれません。
そのため、Ennoを使用する際にはほかの校正ツールと組み合わせて利用することがおすすめです。Ennoの特長を生かしながら、文章の品質を向上させるためにほかのツールと連携して使うことで、より確実な校正が可能となります。
so-zou.jp
so-zou.jpは、10,000字までの文章をチェックできる、便利な校正ツールのひとつです。特に、漢字表記やひらがな表記、不快語の使用回避、冗長な表現のチェック項目が役立ちます。これらのチェック項目を利用することで、自分自身では気づきにくい日本語表現の癖や誤りを見つけられます。
例えば、「様々」を「さまざま」に修正したり、「〜することができる」を「できる」に簡潔に修正したりすることは、文章の明確さや読みやすさを向上させる助けになります。こうした表現の癖を改善することで、より洗練された文章を作成できます。
自分の文章のクオリティを高めたい方にとって、so-zou.jpのような校正ツールは価値があるでしょう。自分の文章に磨きをかけたい場合に、一度試してみることをおすすめします。
Tomarigi
Tomarigiは青山学院大学の日本語表現法開発プロジェクトが独自に開発した校正ツールで、ホームページから無料でダウンロードできます。一度に40,000字ものテキストをチェックできるため、ボリュームのある文章も効率よく見直せます。
Tomarigiのチェック項目は若者言葉、指示語(こそあど言葉)、漢字表記やひらがな表記、冗長表現など多岐にわたり、さらにプラグイン形式でカスタマイズ可能というのは大変便利な特長です。このようなカスタマイズ性により、自分のライティングスタイルや特定の要件に合わせてチェックを行えます。
ただし、Tomarigiの難点は動作環境がWindowsのみであることです。Macユーザーは利用できないため、その点を考慮する必要があります。それでもWindowsユーザーにとっては、充実した機能を備えたTomarigiは価値のある校正ツールといえるでしょう。
チョイミテーナ
チョイミテーナは、校正結果を「入力ミス・誤用・わかりにくい表記」という3つの項目に分類し、それぞれ色別で一覧表示する機能を提供している校正ツールです。この機能は、自分の文章を分析し、どこでミスしやすいのかを把握するのに役立ちます。特に入力ミスや誤用、わかりにくい表記を色別で表示することで、問題の箇所を素早く特定できるでしょう。
チョイミテーナはYahoo! JAPANが提供している「テキスト解析WebAPI」を使用しており、so-zou.jpと同様の校正結果が得られるとのことです。従って、ほかの無料ツールと同様に、チェックを補完するために利用したり、ミスしやすい部分をカバーしたりするために使うことがおすすめです。
また、有料サービスとして音声読み上げ機能が提供されており、30日間で580円から利用できる点も特徴的です。この機能を活用することで、文章のリズム感や違和感をチェックする際に便利です。文章の音読によって表現の正確性や響きを確認できるでしょう。
おすすめの校正ツール(有料)
Microsoft Word
Microsoft Wordは広く普及している文書作成ソフトウェアで、標準で校正機能が備わっています。Wordをすでに使用している場合、追加費用をかけずに校正機能を利用できるため、一度機能を試してみる価値があります。
Wordの校正機能は、誤字脱字、表記揺れ、助詞の連続など、執筆時の基本的なミスをチェックしてくれます。ただし、有料の校正ツールと比較して指摘の精度は高くありません。従って、Wordをあまり使っていない場合や、高度な校正が必要な場合には、ほかの有料ツールを検討しましょう。 Wordの校正機能は簡易なチェックには適していますが、専門的な要件には対応しきれない場合もあるため、用途に合わせて選択肢を検討することが大切です。
Microsoft 365 Personal 年間費用:14,900円(税込)/月額費用:1,490円(税込)
JustRight!7 Pro
JustRight!7 Proは、誤字脱字や表記揺れに強い校正ツールとしておすすめされています。チェック項目が豊富で、誤字脱字、慣用表現、ら抜き表現など、12項目をカバーしています。さらに、オプションで『記者ハンドブック 第14版』(共同通信社)に基づいたチェックも追加できるのは便利です。
特にMicrosoft WordやExcelとの連携が可能で、Wordを使って文章を執筆している場合には使い勝手がよいでしょう。買い切り型のダウンロード版という点で、初期費用はかかりますが、長期間にわたって使用する場合はサブスクリプション型よりも費用対効果が優れているかもしれません。
ただし、JustRight!7 ProもWindowsのみで動作し、Macユーザーは利用できないことに注意が必要です。価格も一定の初期費用がかかりますが、その性能や連携機能を考えると、専門的な校正作業を行う場合には価値があるツールといえるでしょう。
ダウンロード版:51,700円(税込)
法人向けのみ体験版があり30日間無料お試しが可能
Press Term®
Press Term®は、買い切りのインストール型でシンプルな校正ツールを求めている人におすすめされています。このツールは、基本辞書、『記者ハンドブック』(共同通信社)、ユーザー辞書の3つの辞書を活用し、文章を形態素(文章を区切った際の最小単位)でチェックします。
Press Term®は指摘箇所を赤(使用禁止)、黄(要注意)、青(同音異語注意)、緑(未知語)などの段階で分けて表示し、誤字脱字だけでなく、コンプライアンスに反しない表現にも注意を払いたい人におすすめです。
ただし、動作環境がWindowsのみであり、Macユーザーは利用できない点が難点です。しかし、Microsoft Wordと連携が可能であるため、多くのWindowsユーザーにとって非常に便利なツールといえます。 Press Term®を使用することで、文章の品質向上や表現のチェックを簡単に行うことができます。
ダウンロード版:価格は販売先にお問い合わせください
無料のお試し版あり
文賢
文賢は、サブスクリプション型の文章校正ツールとしておすすめされています。文賢の特徴は多彩な機能を備えており、校正、校閲、推敲支援などの幅広い機能が提供されています。さらに、読者にわかりにくい表現や文章の問題点を指摘することができ、文章の品質向上に寄与します。
文賢は単にミスを減らすだけでなく、読者に適切な情報を伝える表現を学ぶのに役立つツールです。また、リスクヘッジを目的とした「トラブルを防ぐためのチェックリスト」や、読み手を考慮した「わかりやすい文章を書くためのチェックリスト」なども利用できます。
文賢は多くの企業で利用されており、プロのライターやビジネス文書を作成する方に向いています。
初期費用:11,880円(税込)/更新費用:2,178円(税込)
ATOKクラウドチェッカー
ATOKクラウドチェッカーは、ATOK Passport[プレミアム]に加入することで使用できる校正ツールです。ATOK Passportは日本語入力システムで、タイプミスや変換ミス、敬語表現の誤用などを補正してくれる機能を備えており、誤字脱字が多いと感じている人にとって役立つでしょう。
ATOKクラウドチェッカー自体はシンプルな校正ツールで、チェック基準は高い精度であることが強調されています。また、ブラウザ上で動作するため、Macユーザーでも利用可能です。無料体験期間が30日間提供されているため、自分に合ったツールを見つけるために試してみる価値があるでしょう。ATOKクラウドチェッカーを使用することで、文章の誤りやミスを効果的にチェックし、品質を向上させることができます。
年間費用:7,920円(税込)/月額費用:660円(税込)
ATOK Passport[プレミアム]の加入が必須
Shodo
Shodoは、導入コストを抑えつつ有料の校正ツールを試してみたい人におすすめされています。無料登録するだけでAI校正ツールを利用でき(制限あり)、さらに有料版も月額1,000円から利用可能で、14日間無料で試すことができます。
Shodoの魅力は、高価な有料ツールを導入するハードルが高いと感じている人にとって、気軽にお試しできる点です。有料版では一度に校正できる文字数が42,000文字に増え、そのほかにも校正ルールの設定、記事の文章分析、単語の出現率分析など多彩な機能が提供されています。これらの機能を考慮すると、月額1,000円という価格は非常に費用対効果の高いツールであるといえます。 Shodoを利用することで、文章の品質向上や誤字脱字のチェックを効率的に行うことができます。
月額費用(プレミアム):1,000円(税込)
14日間無料お試しあり ※2024年2月現在
まとめ
今回は、誤字脱字が起こる原因からチェック方法のポイント、誤字脱字チェックに活用できる校正ツールを紹介しました。
誤字脱字や日本語の誤用などのミスは、どのような執筆者にも起こり得るものです。文章を書く際には注意が必要であり、見逃しやすいミスを防ぐためにも、この記事で紹介した校正ツールやチェック方法をぜひご活用ください。