ペルソナの使い方とは?活用すべき理由や設定手順、注意点を解説

ペルソナの使い方がわからないとお悩みの方もいるのではないでしょうか。
そもそもペルソナとは、自社の商品やサービスを利用する理想の人物像のことを指します。
時間をかけてペルソナを設定しても、使い方がわからず活用できていないのは、効果的なマーケティング施策立案への機会損失につながっている可能性があります。
この記事では、ペルソナの使い方について詳しく解説します。
ペルソナを活用すべき理由のほか、設定手順や設定時の注意点についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
執筆者

マーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人
株式会社クリエイティブバンクのマーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人。得意分野は、SEO全般・サイト分析・オウンドメディア・コンテンツマーケティング。バンソウはクライアント様のBtoBマーケティングをサポートするサービスです。詳しい内容はこちらをご覧ください。
ペルソナの使い方とは
時間をかけてペルソナを設定しても、使い方がわからず、そのままにしておいてしまうと、活用すべき機会を逃してしまう可能性もあります。
まずはペルソナの使い方を知って、施策の立案に役立てましょう。
広告のプロモーション
ペルソナの使い方として有効な施策が、広告のプロモーションです。
例えば、ペルソナがオフィス街へ通勤するサラリーマンであれば、ターミナル駅を通る電車の車内広告を出すといったように、設定したペルソナの閲覧頻度の高いメディアや行動パターンに基づいたプロモーションを行うことで、広告効果を効果的に創出できる可能性が高まるでしょう。
コンテンツマーケティング
設定したペルソナは、コンテンツマーケティングにも活用できます。
コンテンツ制作を行う際には、読者を想定して行うことが一般的です。
ペルソナに基づいて、トーン&マナーを決定し、言葉遣いも変えることで、効果的なコンテンツが制作できるでしょう。
例えば、「スウェット」と「トレーナー」や「リビング」と「茶の間」など世代間で伝わりやすい単語が違うこともあります。
どちらの言葉がペルソナに伝わりやすいかを判断することで、より伝わりやすいコンテンツへと仕上げられるでしょう。
SNSマーケティング
SNSによっては、世代によって使用率に大きな違いが見られるものもあります。
総務省が2024年に発表した調査結果によると、10代のTikTokの利用率が70%であることに対し、60代は13%と、かなりの差がありました。
一方で、LINEの利用は全年代で85%以上であり、TikTokほどの差がないことがわかります。
参照:令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査 報告書|総務省
このように、ペルソナで設定した年代に合ったSNSを使用することで、効率よくマーケティング施策が行える可能性があります。
ペルソナの使い方として適した施策は、SNSマーケティングであるといえるでしょう。
Webサイトのリニューアル
Webサイトをリニューアルする際も、ペルソナが活用できます。
ペルソナによって、文字の大きさや色、フォント、ボタンサイズなどを変更することで、ターゲット層により好印象を持ってもらえる可能性が高まります。
例えば、シニア向けのWebサイトにするのなら、文字を大きく設定したり、ボタンをわかりやすくしたりといった工夫をすることで、ユーザビリティが向上するでしょう。
このように、ペルソナが好み、操作しやすいと感じるようなWebサイトを作る際には、ペルソナ設定が役立つのです。
CRM
CRMとは、「Customer Relationship Management」の頭文字を取った言葉で、顧客管理関係を意味します。
顧客管理関係とは、顧客とよい関係をつくり、それを維持する手法のことです。
ペルソナは、CRMにも役立ちます。
例えば、ひとくくりに30代女性といっても、「独身」「既婚者」に分けられ、さらに結婚願望の有無や子どもの有無など、細かく分けていくと、それぞれのペルソナで必要としている情報や閲覧するメディア、使用するSNSなどにも違いが出てくるものです。
例えば、結婚願望のない独身者に、頻繁にマッチングアプリや結婚相談所をおすすめするメールマガジンを送信しても、効果的とはいえず、むしろしつこさを感じられて信頼関係が築けない可能性があります。
ペルソナに合わせて、発信する媒体や内容を変更することで、このような事態を避けられ、CRMにも役立つでしょう。
ペルソナを活用すべき理由
ここまでご紹介したように、ペルソナの使い方としては、広告のプロモーションのほか、コンテンツマーケティングやWebサイトのリニューアルなどがあげられます。
それぞれに合った施策立案をするための判断材料のひとつとなるため、ペルソナは活用すべきだといえるでしょう。
ここからは、ペルソナを活用すべき理由をより詳しく解説します。
的確な施策を立案できる
多様なライフスタイルが当たり前となった現代では、性別、年齢、職業といった情報だけでは対象が広すぎてしまい、関心を抱かれないマーケティング施策を打ってしまうこともあります。
ペルソナを設定すれば、ターゲットへ自社の商品・サービスの魅力や優位性を的確に伝える施策が立案できるでしょう。
顧客目線で考えられる
マーケティング施策において、何らかの意思決定が必要になった際には、企業側の目線で判断してしまうことも少なくありません。
それが必ずしも悪いということではありませんが、時には顧客目線での判断も必要です。
ペルソナを設定していれば、意思決定の際に顧客の立場から見た考えがわかりやすくなります。
ターゲット像が齟齬(そご)なく伝わる
社内には、年代や価値観の違う人々がたくさんいます。
そのため、ペルソナを設定しない場合は人物像が分散してしまい、効果的なマーケティング施策が立案しづらくなってしまいます。
例えば、「40代男性」と聞いても、どのような人物像を思い描くかは人によって違うはずです。
ペルソナを設定していれば、このような認識のずれは起きず、社内で共通認識を持ったうえで業務を遂行できるようになります。
アイディアが思いつきやすい
ペルソナを活用すべき理由のひとつとして、アイデアが思いつきやすいことがあげられます。
例えば、「子どもを喜ばせてください」といわれるのと、「〇〇さんの4歳になる女の子のお子さんを喜ばせてください」といわれるのとでは、アイデアの思いつきやすさに違いがあるのではないでしょうか。
ペルソナを設定することで、人物像が明確になっていくため、どのようなことをどんな手法でアピールするのがよいのかなどのアイデアが思いつきやすくなります。
時間や予算などが効率化できる
マーケティング施策においては、時に広告制作などのクリエイティブディレクションが発生することがあります。
その際に、ペルソナを設定しておくことで先にあげたように共通の人物像を思い描けます。
クリエイティブ制作には予算と時間がかかるため、ペルソナを設定しておくことで失敗やイメージとの大幅なずれも防げるでしょう。
ペルソナを設定すべき理由について、より詳しく知りたい方は「ペルソナを心理学とマーケティングそれぞれの観点から解説」の記事をご覧ください。
ペルソナの設定手順
ここまで、ペルソナの使い方や活用すべき理由をご紹介しました。
ここからは、実際にペルソナを設定する手順をご紹介します。
属性情報を把握する
はじめに、属性情報を把握しましょう。
属性情報には、下記のような項目があります。
- 年齢
- 性別
- 居住地
- 職業
- 年収
- 人間関係
- 生活パターン
- 趣味
- 特技
- 流行への感度
- インターネットの利用状況 など
悩み・不安・課題など心理的要素を把握する
次に、悩みや不安、課題といった心理的な要素を把握しましょう。
属性情報を参考にしながら、そこに属する人がどのような悩みや不安を抱えているのかを抽出します。
よくある悩みや不安としては、以下のようなものがあります。
- 子どもの受験
- 夫婦関係
- 職場での人間関係
- 健康
- 仕事のスキル など
ペルソナを作成する
属性情報と心理的要素を合わせ、ペルソナを作成しましょう。
ただ合わせるだけではなく、アンケートやリサーチ結果なども掛け合わせることで、よりリアリティのあるペルソナが作成できます。
ペルソナ設定のより詳しい手順については「ペルソナ設定とは?重要性や手順、注意点を詳しく紹介」で記事でご紹介しております。
こちらでペルソナの例も公開していますので、ぜひご覧ください。
BtoB/BtoCマーケティングにおけるペルソナ設定の手順
BtoB(Business to Business)とは、企業間の取引のことを指す言葉です。
一方でBtoC(Business to Customer)とは、企業が一般消費者に対して行うビジネスモデルのことを指します。
BtoB/BtoCマーケティングでは、購入に至るまでのプロセスに差があるため、適したペルソナの作り方が異なります。
特にBtoBマーケティングの場合、ペルソナを明確にすることで、より効果的な訴求ができるようになります。
ここでは、BtoB/BtoCマーケティングにおけるそれぞれのペルソナの作り方を解説します。
BtoBの場合
BtoBの場合、意思決定は複数人で行うケースが多いでしょう。
そのため、意思決定者それぞれのペルソナに加え、企業のペルソナ設定も必要となります。
BtoBマーケティングにおけるペルソナ設定は、以下の手順で行います。
- 意思決定者のペルソナを設定する
- 組織のペルソナを設定する
- 属性ごとに分類する
- 代表的なペルソナを設定する
ここからは、それぞれの手順について詳しく解説します。
意思決定者のペルソナを設定する
はじめに、意思決定者のペルソナ設定をします。
「ペルソナの設定手順」の「属性情報を把握する」で紹介した項目のほか、以下の項目についても把握したうえでペルソナを設定しましょう。
- 役職
- 所属する部署
- 勤続年数
- 業務における責務、目標、課題 など
組織のペルソナを設定する
意思決定者のそれぞれのペルソナを設定できたら、続いて意思決定に関与する組織のペルソナ設定をします。
組織のペルソナ設定をする際には、以下の情報を収集できるのがベストです。
- 業種
- 事業内容
- 社員数
- 資本金
- 売上高
- 経営方針
- 決算期
組織の情報が集まったら、MA・CRM・SFAといったツールで下記の項目を確認し、スコアの優秀なモデリング企業をいくつか選びましょう。
- 既存顧客の業種
- 部署ごとの受注率、継続率、解約率
- 受注単価 など
モデリング企業がピックアップできたら、受注に至った理由や自社の顧客である理由などを営業担当者へヒアリングし、定性的な情報収集をしながら組織のペルソナを設定していきましょう。
属性ごとに分類する
意思決定者や意思決定に関与する組織のペルソナなどが設定できたら、業種、担当者の役職などの属性ごとに分類しましょう。
そのうえで、市場規模や競合性、顧客課題などを考慮しながら、受注したい分類を選びます。
代表的なペルソナを設定する
選択した分類の中で、共通する項目を抽出します。
抽出した項目にずれがないかどうかを、顧客と関わりのある関係者と確認し、問題がなければ組織のペルソナの完成となります。
BtoCの場合
BtoCマーケティングの場合、ペルソナは以下の手順で作成します。
- 自社の商品やサービスなどを分析する
- 属性情報や悩みなどを把握する
- 具体的なペルソナを作る
詳しい手順については「ペルソナを作成する」で紹介した記事をご覧ください。
ペルソナを設定する際の注意点
ここまで、一般的なペルソナ設定の手順のほか、BtoB/BtoCマーケティングにおけるペルソナ設定の手順について解説しました。
効果的なペルソナを設定するためにも、以下の点に注意しましょう。
データに基づいた設定をする
ペルソナを設定する際には、主観ではなくデータに基づいた設定をすることです。
主観的に設定されたペルソナには、設定した人の個人的な価値観や希望的観測が入り交じってしまうことも珍しくありません。
自社にとって都合のよいペルソナを設定してしまうこともあるため、必ずデータに基づいた設定をしましょう。
定期的に見直す
ペルソナは、ニーズや社会、環境が変われば同じように変化するものであるため、一度設定すればその後永続的に使用できるものではありません。
そのため、変化に合わせて柔軟に対応する姿勢が求められます。
数年前に作成したペルソナをそのまま使用し続けるのではなく、最新の市場データや顧客の声をもとに、定期的に見直して適宜修正しましょう。
2つ以上のペルソナを組み合わせて使う
ペルソナの使い方としておすすめなのが、2つ以上のペルソナを組み合わせて使うことです。
「BtoBの場合」でご紹介したように、購入に関する意思決定者が複数いる場合に有効です。
同見出しで説明した手順で複数のペルソナを準備することで、より具体的なペルソナ設定ができるでしょう。
視覚情報を共有する
ペルソナへの解像度を高めるために、視覚情報を共有するのがおすすめです。
近しい人物の写真やイラストのほか、住まいに関してもイメージ画像を準備することで、よりペルソナに対しての理解が深まり、メンバー間での認識のずれが起こりづらくなります。
まとめ
この記事では、ペルソナの使い方についてご紹介しました。
ペルソナの使い方としては、広告のプロモーションやコンテンツマーケティング、SNSマーケティングなどのシーンで活用するのがおすすめです。
ペルソナ設定は、BtoB/BtoCマーケティングによっても作り方が変化します。
それぞれに応じた手順で設定をして、マーケティング活動へ生かしましょう。