GA4のしきい値とは?適用される条件や回避方法を解説

GA4(Google Analytics 4)には、「しきい値(閾値)」と呼ばれるものがあります。
しきい値が適用されると、正しい数値が集計されず、データの乖離が起きてしまうので、できれば回避したいところです。
この記事では、GA4でのしきい値の意味や適用条件、適用されているかの確認方法、回避方法を解説します。
執筆者

マーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人
株式会社クリエイティブバンクのマーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人。得意分野は、SEO全般・サイト分析・オウンドメディア・コンテンツマーケティング。バンソウはクライアント様のBtoBマーケティングをサポートするサービスです。詳しい内容はこちらをご覧ください。
GA4のしきい値とは?
GA4の「しきい値」とは、取得した具体的な情報からユーザーの個人が特定できそうな場合、身元の特定を防ぐためにデータを一部除外する仕組みのことを指します。
しきい値が必要な理由は、ユーザーのプライバシーを保護するためです。
特に集計されたデータの数が少ない場合、一部の情報だけでも個人を特定できてしまう恐れがあります。
そうした事態を避けるために、プライバシー保護の一環としてしきい値というシステムが採用されているのです。
GA4におけるしきい値の適用条件
GA4では、どのようなケースでしきい値が適用されるのでしょうか。
ここでは、しきい値が適用される条件をご紹介します。
Google シグナルが有効でユーザー数が少ない
Google シグナルとは、複数のデバイスからアクセスしていたとしても、同一のGoogle アカウントでログインをしていれば同一人物として集計されるようにする機能のことです。
デバイスごとのユーザー行動が追跡できるようになり、正確なデータを取得しやすい一方で、人数が少なければ個人を特定されかねない情報が含まれる場合もあります。
こうしたケースの場合は、しきい値の適用対象となります。
ユーザー属性情報が含まれていてユーザー数が少ない
性別や年齢などのユーザー属性が含まれる情報かつ、対象となるユーザー数が少ない場合もしきい値が適用されます。
ユーザー属性は個人を特定しやすい情報が含まれることが多いため、主に以下のようなケースでしきい値が使用されています。
- ユーザー属性の項目(ディメンション)を生年月日や会員番号などを指定して使用している
- ユーザー数やユーザー属性などの指標がレポートに含まれている
- ユーザーの識別方法でデバイスIDを使用している
レポートに検索したキーワードの情報が含まれている
ユーザーがどんなキーワードを用いて検索をしたのかがレポートに含まれる場合、ユーザーの検索意図やニーズから個人が特定される恐れがあるため、しきい値が適用されます。
しかし、ユーザー数が多い場合はこの限りではありません。
一定数の人数がいる場合は、適用対象外となる場合も多くあります。
データにばらつきがある
データにばらつきがある場合、特定のユーザー行動が目立ってしまうことで、ユーザーが特定されやすくなるというリスクがあります。
特にユーザー属性も取得していると、ユーザー行動とユーザー属性から個人を割り出せる可能性もより高まることから、しきい値が適用されるケースが多いのです。
GA4でしきい値の適用を確認する方法
ここでは、しきい値が適用されているかを確認する方法をご紹介します。
GA4には、「標準レポート」と「探索レポート」の2つのレポートがありますが、確認方法はそれぞれ同じです。
しきい値が適用されているかどうかは、各レポートの右上に表示されているアイコンをチェックすることで確認できます。
しきい値が適用されている場合、右上のアイコンが「!」に変化します。
しきい値が適用されている場合
しきい値が適用されていない場合
しきい値が適用されている場合、アイコンをクリックすると「しきい値を適用しました」と表示されます。
一方適応されていない場合の、アイコンは「✓」です。
しきい値の適用を回避する方法
しきい値の適用は、ユーザーのプライバシー保護を目的として自動的に行われるため、しきい値を適用しないように設定することはできません。
しかし、データの正確性に欠けてしまう点を踏まえるとできる限り回避したいところです。
ここでは、しきい値の適用を回避する方法をお伝えします。
Google シグナルを無効にする
先述したように、しきい値の適用条件のひとつが、Google シグナルを有効にしているかつユーザーの人数が少ないことです。
そのため、Google シグナルを無効にすることで、しきい値の適用を回避できる可能性があります。
ただしGoogle シグナルを無効にすると、同一人物が複数端末でアクセスを繰り返しても、別人物としてカウントされてしまうため注意が必要です。
ユーザー属性データを含めないようにする
ユーザー属性データが含まれていて分析対象となるユーザー数が少ない場合も、しきい値の適用対象だとお伝えしました。
そのため、レポートを作成するときにユーザー属性を含めずに分析をすることも、しきい値の回避に有効です。
必要がない場合は、市区町村や年齢、性別といったユーザー属性は省くようにしましょう。
計測期間を長めに設定する
計測期間が短い場合、対象となるユーザー数が少なくなってしまい、しきい値が適用されてしまう場合もあります。
作成したレポートにしきい値が適用されてしまっていたら、計測期間を長めに設定して分析を行いましょう。
セグメントの範囲を広げる
セグメントとは、特定の条件でユーザーの行動を絞り込む機能のことです。
条件に合うデータが少ない場合、しきい値が適用されてしまいます。
これを回避するために、条件は絞りすぎずにセグメントの範囲を広げてみましょう。
BigQueryを利用する
BigQueryとは、ビッグデータを解析できるサービスのことです。
GA4と連携してデータをエクスポートすることで、しきい値が適用されていない純粋なデータが確認できます。
ただし、Google シグナルに関連するデータは対象外となるので注意が必要です。
まとめ
この記事では、GA4でレポートを作成したときに適用される「しきい値」についてご紹介しました。
しきい値は、ユーザーのプライバシーを保護するうえで必要なシステムです。
対象となるユーザーが少ない場合に適用されることが多いので、計測期間を長めに設定したり、セグメントの範囲を広げたりすると、しきい値の適用を回避できることもあります。
作成したレポートにしきい値が適用されていたら、適用条件がどんなものだったのかを考えながら回避方法を試してみましょう。