営業活動とは?種類や流れなどの基本から効率化のポイントまで紹介

企業の利益を生み出すのは、直接顧客に商品やサービスを提供する営業部門と提供する仕組みを構築するマーケティング部門があります。この2つの部門は企業の成長を支える重要な役割です。
新型コロナウィルスの影響で、営業活動のかたちが大きく変化し、オンライン商談やインサイドセールス、カスタマーサクセスなどの手法が頻繁に活用されるようになりました。新しく用いられ始めた営業手法と古い営業手法でも営業活動の基本は同じです。
この記事では、営業活動とは何かの概要や種類、流れなど営業の基本をご紹介します。また、効果的な営業に必要なことや効率化のポイントなどもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
執筆者

マーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人
株式会社クリエイティブバンクのマーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人。得意分野は、SEO全般・サイト分析・オウンドメディア・コンテンツマーケティング。バンソウはクライアント様のBtoBマーケティングをサポートするサービスです。詳しい内容はこちらをご覧ください。
営業活動とは
営業活動とは、自社の製品・サービスを顧客に提供して売上を高めるための活動です。一般的には、企業本体、もしくは代理店(パートナー企業)の営業部門の社員が営業活動を担当します。主な手法としては飛び込み営業や電話営業、そしてテレアポなどが挙げられます。
営業活動の本質は、企業の売上を高めることです。商品・サービスを提供して、利益を得ることが営業活動の目的といえます。営業活動を行う上では、無償でお得な情報を提供したり、相談を受け付けることがあります。
ダイレクトに商品やサービスを提供することができなくても、何かしらの繋がりができた顧客に対して、売り上げを高めることを目的に、対価に見合った責任感のある行動で顧客と向き合うことが求められます。
営業活動と営業行動の違い
営業活動と似た言葉に「営業行動」があります。
営業活動は組織や個人の意思にしたがって営業を行うことである一方、営業行動はこれらの意思とは関係なく自らが進んで行う行動のことをいいます。営業行動の例としては、顧客の何らかの変化を察知して状況の確認を行うことや、営業スキル向上のためにセミナーを受けることなどがあげられます。
営業活動の種類
営業活動には様々な手法が存在します。効率的に営業活動を行うために営業活動の種類を抑えておくことは重要です。
営業活動を大きく分類すると、新規開拓営業と既存顧客営業に分けることができます。どちらも営業活動ですが、行う内容は異なります。
新規開拓営業
新規開拓営業は、これまで接点がない顧客に営業する営業活動です。営業先を選定し、ダイレクトメールやテレマーケティング等を用いて、競合他社より先立ってアプローチを行います。
初めは興味・関心を示さなかった相手だとしても、人間関係を築き上げて成約に繋げる過程からハンター型営業や狩猟型営業と呼ばれることがあります。
そのため、新規開拓営業では、商品・サービスを求めている顧客を探し出すターゲティング能力と、まったく接点がなかった相手にメールや電話でアプローチする積極的な姿勢と強いメンタルが求められます。
また、短期間で成約につながることはまれで、時間がかかる営業スタイルです。短くても数か月、長ければ数年かかる場合もあり、インサイドセールス・フィールドセールスを活用して、一度接点を持った相手と何度もやり取りを続けることが必要になります。
これまでは、直接訪問して、対面で営業活動を行うフィールドセールスが一般的でしたが、新型コロナウィルスの影響で、電話やメール、チャットを活用した被対面の営業活動であるインサイドセールスもスタンダードな営業スタイルとなりました。
非対面の営業スタイルが確立されてきてはいますが、商品・サービスによっては、対面営業を行う必要がある場合もあるので、フィールドセールスとインサイドセールスの両方をこなすことができることが望ましいといえます。
既存営業
新規開拓営業とは異なり、これまでに取引が成立したことがある企業からクロスセル・アップセルで売り上げを高めるのが既存営業です。BtoBの場合は、取引期間が長期にわたることがおおいため、既存営業は、営業部門の売上を高める重要な役割があります。
0から信頼関係を築く必要はないので、一見簡単そうに考えられますが、関係性ができているがゆえに、求められる期待値は高くなります。顧客の抱えている業界のトレンドやポジション、経営方針といった課題に対して、提供する商品・サービスがどのように役立つのかを考え、顧客より顧客を詳しくなる努力が求められます。
営業活動の具体的な流れ
どのように営業活動を行っていくのか流れをまとめました。
提供する商品・サービスを明確にする
営業活動を行う際は、提供する商品・サービスを明確にすることが必要です。提供する商品・サービスを理解できずに営業活動を行っている営業担当は少なくありません。
自身が提供する商品・サービスはどういったものなのか明確にしましょう。
ターゲットを設定する
ターゲットは、性別や年齢、地域、職業などできるだけ具体的に設定しましょう。ターゲットを設定することはペルソナと呼ばれます。
ターゲットが一つに絞り込むことができない場合は、複数設定しても問題ありません。
メッセージを決める
設定したターゲットに対するメッセージを具体的に決めます。商品やサービスの概要だけでなく、使用することで得られるメリット等を記して、相手の求める気持ちを高める必要があります。
メッセージが決まれば、お問い合わせ先や商品・サービスの資料請求、サンプル請求などターゲットが次のアクションを起こしやすい工夫を忘れずに行いましょう。
アプローチ方法を選択する
ターゲットにアプローチする方法はいくつもあります。テレビや新聞などのメディアを活用したり、インターネット・ソーシャルメディア、ダイレクトメールや電話など扱う商品・サービスや予算、スケジュールを考慮して、最適なアプローチ手段を選択しましょう。
アプローチ手法は可能であれば、複数用いてください。結果を比較すれば、今後効率的にアプローチを行うことができます。
顧客と信頼関係を構築する
アプローチしたターゲットから反応があれば、信頼関係を構築する為に対話を開始しましょう。ヒアリングからニーズなどを把握して、課題に対する最適な商品・サービスを提供してください。
一見、成約に繋がらないようなお問い合わせの場合でも、どのような内容だったのか情報を記録しましょう。見積もりやサンプルを依頼された場合も同様です。
扱う商品やサービスに寄りますが、専門性が高いBtoB商材であればあるほど、商談開始から商談成立まで時間と手間がかかります。顧客との信頼関係を築き、コミュニケーションを維持する努力が必要になります。
PDCAを回す
簡単に売ることができない商品やサービスを扱う場合、ターゲットにアプローチしたとしても反応が芳しくないことが多くなります。
そのような状況が長く続く場合は、自身が扱う商品・サービスの理解からやり直しましょう。営業活動のプロセスは繰り返しPDCAサイクルを回すことで精度を高め、成果につながります。
効果的な営業活動に必要なこと
ここでは、効果的な営業活動に必要なことについて詳しくお伝えします。
営業体制の構築
ビジネス環境の変化を踏まえて、売上目標と社内営業担当の人数、成果が良い営業担当の行動パターンを分析して、効率よく売上を高められる営業体制を構築することは重要です。
スムーズに動けていない場合は、分業スタイルを用いることも必要です。
営業活動で苦手な点が把握できて、社内のリソースではスムーズに対応することができない、または不得意だと判断した場合は、その部分をアウトソーシングしたり、コンテンツマーケティングに力を入れる等対策を行うことで営業効率を高めることができます。
一方、取り扱っている商品・サービスによっては分業スタイルを用いてると営業効率が悪くなることもあるので注意が必要です。
営業プロセスの構築
営業活動のプロセスを営業担当全員が理解すれば、無駄な動きがなくなります。効率的に営業活動が行えれば、顧客との信頼関係を築いたり、新規開拓案件を発掘するために時間を使えますし、案件のフォローもれがなくなります。
基本的に営業担当は個人で動くので、何か問題が発生した時に誰にも相談・質問できないことがあります。
新卒や未経験で営業担当となると、どのタイミングで成約となるのか感覚がつかめず、早すぎるタイミングでクロージングするといったミスをしてしまうことがあります。
無駄に迷ったり、失敗をさせないためにも、基本的な営業プロセスは複数の事例を用いて、営業担当全員が理解できるようにしましょう。
営業活動の内容を文章に起こす
営業活動を言語化すれば、部門内の全員が成約までのプロセスを理解し、再現するために行動することができるので、営業活動を文章に起こすことは、営業部門の売上を高めるために効果的です。
普段の営業活動のプロセスに含まれていない突発的に発生したトラブルやクレーム対応のメールなどフォーマットを文章に起こしていれば、営業担当の誰もが迅速に判断・行動することができます。
営業部門のスキルを向上させたり、社員教育の為にも通常業務で言語化できるものは文章に起こしてマニュアル化しておくと良いでしょう。
営業スキルの向上
営業担当には、課題発見力・ヒアリング力・コミュニケーション能力・思考力・プレゼン力など幅広いスキルが求められます。
営業するためのスキルは実体験を通して身に付くものもありますが、役立ちそうだと思ったスキルは、社内のロールプレイングだけではなく、コーチングや研修を積極的に受けて身に着ける努力が必要となります。
営業活動を効率化するポイント
営業活動を効率化するポイントを3つ挙げます。
引き合いの数を増やす
新規開拓営業をする際には、検討確度の高いターゲットにアプローチすることがポイントとなります。引き合いの数を増やすには、多くのターゲットにアプローチしたり、既存顧客から紹介してもらう方法があります。
また、直接的な営業活動を行う以外にも、展示会や広告出稿などマーケティング活動を行うなど、興味・関心のあるターゲットからお問い合わせがくる状態を作ることができれば、ターゲットリストの作成・営業担当からのアプローチは不要となります。
ですから、マーケティング活動も効率的に顧客を獲得するには必要な施策といえます。
最適な営業方法を選ぶ
営業方法には、インバウンド営業とアウトバウンド営業の2種類があり、目標や方針に沿って最適な方法を選ぶ必要があります。
ターゲットからの行動がきっかけとなるインバウンド営業を行うには、ターゲットがお問い合わせや資料請求、サンプル請求するような仕組みを構築し、連絡がついた相手にアプローチします。
一度に、多くのターゲットにアプローチすることができるので、見込み顧客を増やしやすいメリットがあり、個人の営業担当の力に依存しない点がインバウンド営業の特徴です。
顧客ごとに適切な情報発信がしづらい場合は、アウトバウンド営業が有効となります。ターゲットとの設定を構築する営業方法といえます。
テレアポや商談のアポイントを獲得するため、テレコールは電話で成約まで獲得するため、ルート営業では既存顧客に対してクロスセル・アップセルを引き出すための目的で行われます。
優良顧客を見極める
決裁者である部長や社長は受注確度が高く顧客となる可能性が高いため優先度を高く設定しましょう。
個人の営業力・提案力・トーク力により受注確度を高めることは可能ですが、ターゲットが決裁者である場合はより受注確度が高くなります。
また、案件単価が高い商談を優先することで営業の効率を高めることができます。
ターゲットによっては、課題意識や予算など明確ではないことがあるため、検討期間が長くなり、受注するタイミングが読めないことがあります。
よほどのことがない場合は、何度も訪問したり連絡することは避けましょう。
商品やサービスの単価や難易度にもよりますが、2、3回アプローチして受注するのが理想です。
営業部門と協力関係の部門
企業の売り上げを高めるためには、営業部門が営業活動するだけでは限界があります。効率的な営業活動を行うためには、別の部門からのフォロー・サポートが必要です。
マーケティング部門
前述で、マーケティング部門は売れる仕組みを構築する部門だとお伝えしました。企業において、プロモーションや商品企画、広告宣伝等を担当するマーケティング部門は営業活動を後方で支えるポジションといえます。
マーケティングの目的は営業を不要にすることだと言われるように、商品・サービスによっては、営業活動無しで売上を高めることも可能です。
日本の企業においてはマーケティング部門は小人数であることが多く、中小企業では1人のマーケッターが担当していることも珍しくありません。
本来であれば、見込み客のターゲットの選定はマーケティング部門の仕事と言えますが、営業部門が行っているなど、現在多くの企業では、マーケティングに携わる仕事がマーケティング部門だけでなく、いくつかの部門に点在しています。
しかし、近年は、様々なビジネスのデジタル化に伴い、オンライン上で顧客を獲得する必要性が高まっており、これまで通り、別の部門ではカバーできない領域の仕事も増えるので、マーケティングに携わる人材がこれまで以上に求められるでしょう。
カスタマー部門
カスタマー部門では、商品・サービスを提供した後のフォローを担当する部門で、主に不具合やトラブルが発生した時に対応します。
カスタマー部門は、取引が成立した顧客に対して、商品・サービスを利用した時の満足度を維持する・高めることが求められます。
効果的な活用方法を教えたり、新商品・新サービスの案内をするなど、定期的に顧客をフォローするこおで、売上を高める役割といえます。
商品・サービスは提供して終わりではありません。カスタマー部門は、顧客との信頼関係を継続するために丁寧にフォローすることで、また別の成約につながる手助けをする重要なポジションです。
営業活動で重要な管理
営業活動を行う上で重要な管理業務は3つあげられます。
案件管理
案件管理は、案件ごとに営業プロセスの進捗状況を把握する為のものです。
顧客との初回コンタクト、ヒアリング、ニーズの把握、商談などプロセスが順調に進んでいるか把握することで、今後の数字の予測が可能になります。また、進捗が停滞している案件については、何かしらの対策を検討することができます。
営業担当は多数の案件を抱えているので、営業活動に集中する為にも案件管理は重要です。もし、担当者が変わる場合でも、スムーズに引き継ぎ作業を行えます。
長期的に顧客と信頼関係を築き、長期的につながりを維持するために案件管理はとても重要だといえます。
目標管理
営業活動を行う上で、目標管理は基本です。企業と営業部門の目標から逆案して、個別の最適な目標を設定する必要があります。
一般的に、営業部門の目標は、前年対比で降りてくるので、個人の営業担当に対しては、担当顧客の前年対比で100~120%程度の目標設定となる企業が多いです。
目標管理を適切に行えているかどうかは、営業担当のモチベーションに影響します。
営業活動が上手くいっていないと感じるのであれば、無理な目標ではなく、納得できる目標を立てられているのか確認するとよいでしょう。
行動管理
行動管理は、コール数や営業メール数、アポイント数や商談数など営業に関わる行動の管理をいいます。営業担当は、成果で評価されるため、成果を出せばOKの感覚を持っていることが多く、商談成立までのプロセスを詳細に報告することをおろそかにしている場合が多いです。
行動管理をしっかりと行っていると、比較した際にいくつもの気づきを得られます。普段より、コール数が足りない、成約率が低下している、決裁権者との商談率が上昇している、通話時間が長いなど、各営業担当の行動量の差や商談率など明確化できるので、的確なアドバイスも可能となります。
また、目指すべき営業マンのイメージを数値で設定すれば、営業担当の理想の行動パターンとして参考にできます。
まとめ
営業活動とは何かの基本から、課題として挙げられること・課題解決のポイント、具体的な営業活動と効率的に行うポイントを網羅的に解説しました。
営業活動は根気と強いメンタルが必要となります。個人で仕事をすることが多いですが、部門内で情報共有したり、意見を出し合い全員が結果を出せるようになる取り組みが重要です。
なかなか成果がでなくても、小さな積み重ねが実り、結果を出すことがあるので、決してあきらめずに努力を続けるとよいでしょう。