CDNとは?仕組みやSEO対策にもたらす効果などをわかりやすく紹介

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マーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人
株式会社クリエイティブバンクのマーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人。得意分野は、SEO全般・サイト分析・オウンドメディア・コンテンツマーケティング。バンソウはクライアント様のBtoBマーケティングをサポートするサービスです。詳しい内容はこちらをご覧ください。
CDNによる表示速度の向上はSEO対策にも効果的
Webサイトやページにおいて表示速度は重要で、表示速度が遅くなるとユーザーが不便に感じ、ページ内容が表示される前に別のサイトに移ってしまう可能性があります。表示速度を向上させる方法としてはCDNの利用があげられますが、SEO対策にも効果があるとして注目度が高まっています。
表示速度が速いとユーザーがスムーズにページ内容を閲覧できるため、自サイトに滞在する時間が増えてしっかりとユーザーにアプローチできるようになります。
Googleは、ユーザーの利便性を第一に評価基準を設定しており、Webサイトやページの表示速度を向上させることも評価項目のひとつとされています。特に、現代ではスマートフォンからの閲覧が増えているため、モバイル端末での表示速度も重要視されるようになりました。
実際に、Googleでは下記の内容が公表されています。
読み込み速度はこれまでもランキング シグナルとして使用されていましたが、デスクトップ検索を対象としていました。そこで 2018 年 7 月より、ページの読み込み速度をモバイル検索のランキング要素として使用することになりました。
引用:ページの読み込み速度をモバイル検索のランキング要素に使用します|Google 検索セントラル
このようにSEO対策に有効な表示速度を向上させるために、CDNを活用することが注目されています。次では、CDNとは何かをご紹介します。
CDNとは
CDN(Content Delivery Network)とは、世界中に分散して配置されたキャッシュサーバーにページのキャッシュを作成し、オリジンサーバーの代わりにキャッシュしたページをユーザーに届ける仕組みのことです。CDNを利用すると、ユーザーの最寄りにあるキャッシュサーバーにキャッシュされた情報が表示されるため、表示速度の向上やサーバーの負荷軽減が可能になります。
次に、どのような場面でCDNが利用されるのかをご紹介します。
CDNが利用される場面
CDNは主に大規模なサイトで利用されることが多いです。例えば、天気・ニュースなどを配信している公共サイトなどがあげられます。緊急ニュースや災害の速報などを配信した際に、CDNであればこれらの情報を迅速に届けられ、サイトへのアクセス急増によるサーバーの遅延や停止を防げます。
また、ユーザー数が多いサイトを安定稼働させるために利用されることもあります。この場合は、元々大規模なオリジンサーバーが取り入れられていますが、それに加えイベントやセールなどで一時的にアクセスが増加する時期に合わせて、必要な分だけCDNを利用するといった対策が取られます。
このように、主に大規模なサイトで利用されるため、個人や小規模のサイトではCDNを利用することはほとんどないといえるでしょう。
次に、CDNの仕組みについてご紹介します。
CDNの仕組み
先述では、CDNによる表示速度の向上やサーバーの負荷軽減について触れましたが、なぜこれらが可能になるのか疑問に思う方もいるでしょう。そこで、ここからは表示速度が向上する仕組みとサーバーの負荷が軽減される仕組みをご紹介します。
表示速度が向上する仕組み
CDNで高速表示が可能になるのは、ユーザーの最寄りにあるキャッシュサーバーからページの内容を配信できるようになるためです。
例えば、海外のサイトにアクセスした際、そのサイトでCDNが利用されていない場合は、その国のサーバーからページ情報がユーザーに届けられるまでに複数のルーターを経由する必要があります。ルーターはユーザーの元まで直線的に配置されているわけではないため、複雑な経路をたどってから届けることになるでしょう。
一方で、CDNが利用されていると、ユーザーから最も近いキャッシュサーバーにページのキャッシュが作成されている状態になります。そのため、ユーザーがアクセスした際に複雑なルーターの経路をたどることなく、キャッシュサーバーからユーザーに直接情報が届けられるため、表示速度が向上します。
サーバーの負荷が軽減される仕組み
CDNでは、先述したように分散して配置されているキャッシュサーバーからページの情報が届けられます。各ユーザーは、それぞれで最も近いキャッシュサーバーにアクセスして情報を得るため、アクセスが分散されるでしょう。これにより、オリジンサーバーにアクセスが急増して高負荷になってしまうのを抑えられます。
負荷を軽減する方法として、アクセスを複数のサーバーに分散するロードバランサーが使われることがあります。これはサーバーの負荷を軽減するのには適していますが、表示速度が向上するわけではないため、ロードバランサーより広域でサーバーの負荷軽減と表示速度の向上が可能なCDNのほうが優れているといえます。
ここまでで、CDNの仕組みをお伝えしましたが、これを踏まえたメリットやCDNを利用する前に知っておくべきデメリットがあります。次では、それらについて詳しくご紹介します。
CDNを利用するメリット・デメリット
CDNを利用する前に、どのようなメリットが得られるのか、デメリットはあるのかを知っておくことで、利用後に期待する効果とは違っていたなどのトラブルが発生するのを軽減できます。ここでは、メリットとデメリットについてそれぞれご紹介します。
メリット
CDNを利用することで、サーバーの負荷軽減やページの表示速度向上といったメリットが得られます。ここでは、それらのメリットについてご紹介します。
サーバーの負荷が軽減する
先述したように、CDNによってサーバーの負荷を軽減させられます。CDNでは、キャッシュサーバーにページ情報のキャッシュを保存しておく時間を設定でき、その時間内であればキャッシュサーバーから情報が届けられます。ページ情報がキャッシュサーバーに保存される具体的な順序は以下のとおりです。
- 1. キャッシュサーバーからオリジンサーバーにアクセスし、ページ情報を取得する
- 2. 設定した時間分、ページ情報をキャッシュとして保存しておく
- 3. 設定した時間が経過したらキャッシュが失われるため、再度オリジンサーバーからページ情報を取得する
設定した時間が1分間であれば、1分ごとにオリジンサーバーのページ情報を取得するため、ページ情報を更新するとこのタイミングでキャッシュサーバーの情報も更新されます。
オリジンサーバーにかかる負荷は、キャッシュサーバーがページ情報の取得を行うときだけで、ユーザーはさまざまな場所に分散しているキャッシュサーバーから最も近いサーバーの情報を取得するため、オリジンサーバーの負荷が軽減されます。これにより、アクセスが急増してもサイトがダウンしてしまうのも防げるでしょう。
ページの表示速度が向上する
オリジンサーバーではなく、ユーザーから最も近いキャッシュサーバーから情報が届けられるようになると、データを転送する距離が短くなり、表示の遅延が防げます。また、キャッシュとして保存されたデータを提供するため、表示速度を向上できるでしょう。
Webサイトでは、表示速度に時間がかかるほど離脱率が増えていくため、表示の遅延はコンバージョンにつなげる機会を損失しているといえます。特に、モバイル端末は移動して使用することが多いため、モバイルでの表示速度を向上するには広域で表示速度を向上できるCDNの利用がおすすめです。
ここまでで、メリットについてお伝えしました。次に、デメリットについてご紹介します。
デメリット
CDNの利用開始後にトラブルが起きないようにするには、利用前にデメリットを確認しておくことが大切です。デメリットとしては、誤ったキャッシュ設定によりトラブルが起こる恐れがあったり、キャッシュの時間によって情報が更新されなくなったりすることがあげられます。ここからは、それらのデメリットについてご紹介します。
誤ったキャッシュ設定によりトラブルが起こる恐れがある
個人情報を取り扱っているサイトがCDNを利用している場合、キャッシュの設定を間違えると情報漏えいや重大なトラブルにつながる恐れがあります。
例えば、ECサイトでは商品ページなどのユーザー全員に見られるページをキャッシュで保存し、個人情報が含まれる会員ページなどはキャッシュを防いで毎回オリジンサーバーから直接取得するように設定します。これにより、会員ページはユーザー自身のページが表示されるようになります。
しかし、会員ページまでキャッシュが設定されていると、キャッシュが残っている間はユーザー全員がキャッシュに保存された特定の会員ページを閲覧できるようになってしまいます。これにより個人情報が流出するといったトラブルが起こるため、キャッシュするページ設定は慎重に行う必要があるでしょう。
キャッシュの設定時間によって情報が更新されなくなる
先ほどもお伝えしたとおり、CDNではキャッシュの時間を設定できます。しかし、設定した時間が経過しないと、キャッシュサーバーがオリジンサーバーの情報を取得しないため、誤った情報が含まれていた場合でもその情報が一定時間残り続けてしまいます。
例えば、キャッシュを保存する時間が10分で設定されていた場合、情報が更新されるのは10分置きとなります。そこで、もし誤った情報が含まれているページのキャッシュを保存してしまった場合、すぐに情報を修正したとしても更新されるのは10分後となるでしょう。
重大な情報を誤って公開してしまうと大きなトラブルに発展する恐れがありますが、キャッシュの設定時間内は修正が反映されないことを認識しておくと、キャッシュファイルを削除するなどで対処できるようになり、誤った情報を一定時間公開し続けてしまうリスクを軽減できます。
ここまでで、CDNのメリットとデメリットについてご紹介しましたが、CDNによってSEO対策にどのような効果が期待できるのかが気になる方もいるでしょう。次では、その効果についてご紹介します。
CDNがSEO対策にもたらす効果
CDNを利用することで、表示速度向上によってページ評価を上げられたり、サーバーの安定稼働によりクロールがされやすくなったりするといった効果を得られます。ここでは、これらの効果について詳しくご紹介します。
表示速度向上によりページの評価を上げられる
先述したように、ページの表示速度を向上させることは、SEO対策としても有効です。Googleでは、PCとモバイル端末のどちらにも評価基準として表示速度を含めているため、ページの内容がよくても表示速度が著しく遅いと、検索上位に表示される可能性は大幅に下がります。大規模なサイトやユーザー数が多いサイトなどで検索上位に入らないという課題を抱えている場合は、CDNを利用して表示速度を改善することで、ページの評価が上がって上位にランクインするページの増加が期待できます。
サーバーの安定稼働によりクロールがされやすくなる
Googleでは、クロールについて以下のように公表しています。
サーバーに大きな負荷をかけることなく、1 回のアクセスでサイト内のページをできるだけ多くクロールすることを目標にしています。
引用:Googlebot がサイトにアクセスする方法|Google 検索セントラル
このように、Googleはサーバーに負荷をかけずにクロールすることを目標としているため、サーバーに高い負荷がかかっているなどで表示速度が遅くなると、クローラーはサーバーに負荷がかかるのを避けるため巡回してもらえない、またはエラーとなる可能性があります。
CDNによってサーバーを安定させることでクロールがしやすくなり、インデックスされて検索結果に表示されるまでの速度が向上するため、情報の鮮度が求められるサイトであれば特にメリットを得られるでしょう。
ここまでで、CDNがSEO対策にもたらす効果についてご紹介しましたが、利用時には注意すべきポイントもあります。次では、そのポイントについてご紹介します。
CDNを利用する際に注意すべきポイント
CDNを利用する際は、キャッシュ対象のページや範囲を慎重に設定する必要があったり、古い世代の端末は非対応になったりするといった注意点があげられます。ここでは、これらについて詳しくご紹介します。
キャッシュ対象のページや範囲は慎重に設定する必要がある
デメリットでもお伝えしたとおり、誤ったキャッシュ設定により大きなトラブルへと発展する恐れがあります。
実際にトラブルが起きた事例としては、2017年にメルカリで発生した個人情報の流出があげられます。これは、本来キャッシュされるべきではないページがキャッシュされたことにより、一部顧客の個人情報が他者から閲覧できる状態になっていたと公表されています。
参照:CDN切り替え作業における、Web版メルカリの個人情報流出の原因につきまして|メルカリエンジニアリング
このような事態を防ぐためにも、キャッシュするページや範囲の設定は慎重に行うことが大切です。
古い世代の端末は非対応になる
ガラパゴス携帯(ガラケー)や古い世代のスマートフォンでは、TLSやSNIなどのセキュリティに関する必須機能が備わっていないことがあり、この場合はCDNによるキャッシュサーバーからの情報が見られなくなります。
現代では、これらの端末には対応していないサイトが多くなっていますが、ユーザーの年齢層やターゲットなどの特性から自サイトでは対応する必要があるかどうかを判断することが重要です。CDNの利用でこれらの端末が非対応になる場合は、事前の告知も必要になるでしょう。
まとめ
この記事では、CDNの概要からメリット・デメリット、SEO対策にもたらす効果などをご紹介しました。CDNとは、分散配置されたキャッシュサーバーにページのキャッシュを作成し、そのページをユーザーに届ける仕組みのことです。主に大規模なサイトで利用され、情報の鮮度が求められる場合や一時的にアクセスが増加する場合などで活用されます。
CDNの利用で、表示速度が向上することでページ評価を上げられたり、サーバーの安定稼働によりクロールがされやすくなったりするといった効果を得られるため、SEO対策にも有効といえるでしょう。
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