クロスSWOT分析とは?具体的な手順や効果を高めるポイントを紹介

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SWOT分析を組み合わせて行うクロスSWOT分析は、事業やマーケティングなどの戦略を策定する際に活用できます。しかし、そもそもクロスSWOT分析やSWOT分析がわからない、具体的なやり方がイメージできないという方もいるでしょう。

そこで、この記事ではSWOT分析の説明を踏まえたクロスSWOT分析の概要やメリット、具体的な手順、効果を高めるポイントなどをご紹介します。

執筆者

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マーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人

株式会社クリエイティブバンクのマーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人。得意分野は、SEO全般・サイト分析・オウンドメディア・コンテンツマーケティング。バンソウはクライアント様のBtoBマーケティングをサポートするサービスです。詳しい内容はこちらをご覧ください。

クロスSWOT分析とは

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クロスSWOT分析とは、内部環境と外部環境、プラス要因とマイナス要因に分類して分析するSWOT分析によって導き出された「強み(Strengths)」「弱み(Weaknesses)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの要素を組み合わせて自社や他社、商材などを分析し、事業戦略やマーケティング施策に役立てる手法のことです。

SWOT分析で導き出される4つの要素を環境と要因で整理すると以下の表になります。

 

プラス要因

マイナス要因

内部環境

強み(Strengths)

弱み(Weaknesses)

外部環境

機会(Opportunity)

脅威(Threat)

自社の事業やマーケティングの戦略を策定する際は、多面的に分析を行う必要があります。市場分析で事業の現状を把握しようとすると、市場でどのように強みを発揮しているのかという点にばかり着目してしまいがちですが、SWOT分析を行うことで多面的に現状の分析を行えるため、現状を把握しやすくなります。

これを組み合わせて事業戦略やマーケティング施策を決めるクロスSWOT分析は、事業の方向性を定めるために最適な分析方法のひとつといえるでしょう。

次に、クロスSWOT分析における4要素の組み合わせについてご紹介します。

クロスSWOT分析における4要素の組み合わせ

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クロスSWOT分析における4要素の組み合わせには以下があげられます。

  • 「強み」×「機会」
  • 「強み」×「脅威」
  • 「弱み」×「機会」
  • 「弱み」×「脅威」

ここでは、それぞれの組み合わせについて詳しくご紹介します。

「強み」×「機会」

「強み」×「機会」の組み合わせでは、強みを生かしてビジネスチャンスをつかむための戦略を考えます。方向性としては、市場への参入やシェアの拡大を図るための「進出」が適しています。

例えば、AI技術の研究開発を強みとしている企業が、年々AIの需要が高まっているという機会を生かして、AI技術を応用した新製品やサービスを市場に展開すると、ビジネスチャンスをつかみやすくなるでしょう。

「強み」×「脅威」

「強み」×「脅威」の組み合わせでは、脅威の影響を抑える、または克服するために自社の強みを活用する戦略を考えます。売り上げやリピーターの継続的な確保、差別化を図るなどで脅威から「防衛」することが方向性として適しているでしょう。

例えば、自社独自で物流のネットワークを持っていることが強みである企業の場合、他社が物流のコストを自社よりも安くすると価格競争に負けてしまう可能性があるため、自社の物流ネットワークを見直してコスト削減を図ることで価格競争に対抗できます。

「弱み」×「機会」

「弱み」×「機会」の組み合わせでは、弱みによって機会を逃さないようにするための戦略を考えます。方向性としては、新規顧客を獲得したり、弱点を克服するための事業投資を増やしたりするといった「強化」が適しています。

例えば、現代ではデジタル化が進んでいますが、デジタルへの対応が遅れている業界でデジタルマーケティングを活用できていない場合、他社より先にデジタルマーケティングを活用することで、オンライン上での新規顧客獲得といった機会を得られるようになります。

「弱み」×「脅威」

「弱み」×「脅威」の組み合わせでは、弱みの部分に脅威が迫ることによってもたらされるリスクをできる限り回避するための戦略を考えます。事業の縮小や撤退、リソースを割く事業の転換といった「後退」が方向性として適しているでしょう。

例えば、資金力に乏しいという弱点がある中で、時代やトレンドによるニーズの変化、大手企業の参入、市場の不況などで採算が取れなくなった事業は、縮小や撤退を行って損失をできるだけ減らします。また、資産の売却などで企業の存続を図ることも戦略としてあげられます。

ここまでで、クロスSWOT分析の概要や組み合わせをお伝えしましたが、この分析を行うことで具体的にどのようなメリットが得られるかわからない方もいるでしょう。そこで、次ではクロスSWOT分析を行うメリットについて詳しくご紹介します。

クロスSWOT分析を行うメリット

メリット

クロスSWOT分析を行うことで、弱み・強み・機会・脅威の4つの観点から事業やマーケティングを多面的かつ客観的に分析できます。他社にはあって自社にはない要素を把握したり、各要素について議論したりするなどで事業やマーケティングの戦略策定に役立てることが可能です。

また、自社の製品や商材などの強みと弱みを明確にできます。今現在は売り上げが好調だったとしても、自社の強みと弱みを明確にすることで今後伸ばしていく部分や克服すべき弱点を把握できるため、市場戦略の策定や商材のアップデートに生かせるでしょう。

クロスSWOT分析でこれらのメリットを得るには、正しい手順で行うことが大切です。次に、クロスSWOT分析の手順についてご紹介します。

クロスSWOT分析の手順

ステップ

クロスSWOT分析を行う際の手順は以下のとおりです。

  1. 1. 明確な目標を設定する
  2. 2. SWOT分析を行う
  3. 3. SWOT分析の要素を組み合わせてクロスSWOT分析を行う
  4. 4. 分析結果から戦略を立案する

ここでは、これらの手順について詳しくご紹介します。

1. 明確な目標を設定する

クロスSWOT分析を行う際は、明確にしたい要素や分析したい課題は何かといった目的を明確にする必要があります。例えば、売り上げを向上させるために必要な要素の抽出や売り上げ低下の原因分析などがあげられます。

目的が明確でないと不要な要素を多くピックアップしてしまい、分析の際に必要な要素が足りないといった事態に陥り、時間やリソースにも無駄が発生するリスクがあります。目的を明確にすることで、このようなリスクを軽減して効率的な分析を行えるでしょう。

2. SWOT分析を行う

目的を明確にした後は、SWOT分析に必要な強み・弱み・機会・脅威をそれぞれできるだけ多く洗い出します。内部環境である強みと弱みは外部環境の影響を受ける可能性があるため、まずは外部環境である機会と脅威を洗い出し、その次に内部環境の強みと弱みを洗い出しましょう。

強みと弱みは主観で洗い出すのではなく、売り上げに貢献している部分や、顧客満足度が高い部分など、客観的に評価できる要素を洗い出すことが大切です。

3. SWOT分析の要素を組み合わせてクロスSWOT分析を行う

SWOT分析で要素を洗い出したら、それらの要素を組み合わせてクロスSWOT分析を行います。強み・弱み・機会・脅威の要素を「クロスSWOT分析における4要素の組み合わせ」でご紹介したように組み合わせることで、事業の進退ややるべき取り組みを把握できるため、事業やマーケティング戦略の策定が可能になります。

4. 分析結果から戦略を立案する

クロスSWOT分析により、事業の進退ややるべき取り組みなどが把握できたら、その内容に基づいて具体的な戦略を立案します。立案した戦略の数が多くなった場合、すべてを並行して行うことは難しいため、実行可能かなどの視点で戦略を絞り込み、優先度の高いものから順に取り組むように計画を立てましょう。

クロスSWOT分析を行う際は、効果を高めるためのポイントもありますので、次ではそのポイントをご紹介します。

クロスSWOT分析の効果を高めるためのポイント

ポイント

クロスSWOT分析の効果を高めるには、幅広い視点で行うことや、時間軸を変えることなどがあげられます。ここでは、これらのポイントについて詳しくご紹介します。

幅広い視点で行う

クロスSWOT分析を行う際は、SWOT分析で各要素を洗い出す段階から幅広い視点をもつことが大切です。少人数や1つのチーム内だけでクロスSWOT分析までやろうとすると、どうしても視点が偏ったり、広げられる視野の幅が狭くなったりします。

幅広い視点で客観的にクロスSWOT分析を行うには、別のチームや部署などさまざまなメンバーの協力のもとで分析を進めるとよいでしょう。

時間軸を変えて分析する

クロスSWOT分析の効果を高めるには、時間軸を変えて分析するのがおすすめです。一般的にクロスSWOT分析は現状の内部・外部環境に基づいて行われますが、過去と未来の時間軸も意識することで、過去と比較した場合の変化や今後の展開についても深く理解しやすくなるでしょう。

この方法では、必ずしも過去から未来までのすべての時間軸で分析を行う必要はなく、過去から現在、そして未来までの中で大きな変化が予測されるポイントに注意して分析を行うことが重要です。

例えば、環境意識の高まりによって需要が増しているエコグッズの市場をターゲットとする場合、過去と現在の市場規模や拡大状況を比較したり、将来的な環境に関する規制強化の影響を予測したりすることで、機会や脅威がどのような影響を受けるのかを予想できるようになります。

このような分析により、外部環境の変化に対応するための戦略を立てられるでしょう。

まとめ

この記事ではSWOT分析の説明を踏まえたクロスSWOT分析の概要やメリット、具体的な手順、効果を高めるポイントなどをご紹介しました。

クロスSWOT分析では、SWOT分析で用いられる強み・弱み・機会・脅威の4要素をそれぞれ組み合わせて自社や他社、商材などの分析を行います。幅広い視点で行うことで多面的かつ客観的に分析できるため、事業やマーケティングなどの戦略策定に役立てられるでしょう。

ただし、少人数や1つのチーム内だけで分析を行うと視野が偏りがちであるため、別のチームや部署にも協力してもらい、過去から現在、そして未来までの大きな変化が予測されるポイントで内部・外部環境がどのように変化するのかを意識して分析することが大切です。

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