仮説検証とは?サイクルを回すポイントや流れ、具体的な方法を紹介

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「新しい事業を立ち上げる」「既存事業の改善を行う」といった際に、さまざまな仮説が必要になり、複数の仮説のうちで正確そうなものを選択して、仮説検証を進めるでしょう。

しかし、仮説にもとづいて事業開発やアップデートを進めてしまうと仮説が外れた場合の損失が大きくなるおそれがあるため、適切に仮説検証を行うことが重要です。

そこで、この記事では仮説検証の概要や必要性から、適切に仮説検証を行うためのサイクル、具体的な方法をご紹介します。また、仮説検証の実例もご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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マーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人

株式会社クリエイティブバンクのマーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人。得意分野は、SEO全般・サイト分析・オウンドメディア・コンテンツマーケティング。バンソウはクライアント様のBtoBマーケティングをサポートするサービスです。詳しい内容はこちらをご覧ください。

仮説検証とは

仮説検証とは、仮説思考に基づいた仮説の検証です。低コストで部分的に新しい商材や新機能を開発して顧客に届けることで、学びを得ることができます。

そして、学びを得ることができれば、顧客の声を商品開発やサービス改善に生かすことで、さらに質の高い仮説を構築できます。

顧客満足度の高い商品・サービスを生み出すためには仮説検証が欠かせません。

仮説検証の必要性

仮説検証はビジネスを行う上で必要なりますが、その必要性を深く理解できていない方もいるかもしれません。ビジネスにおいて無駄な行動をなくそうとすると、戦略立案から商談まで全てのアクションに仮説が必要となります。ここでは、仮説検証の必要性をご紹介します。

仮説検証を行うと効率が上がる

仮説検証は、未来に何が起こるのか仮の結論(答え)をだして、それを検証するというあらかじめ対象を絞り込むため情報収集の時間と手間を最小限に押さえて素早く分析を行うことができます。

対象が絞れていない状態で、複雑であればあるほど分析に時間がかかります。マーケティング戦略立案の際に仮説があるのとないのでは、10倍程労力が変わることもあります。

仮説検証は分析精度が高い

前述でスピードがあがるとお伝えしましたが文精製度が落ちることはありません。仮説を立てれば、短期間で分析を終わらせることができるので、何度も分析を繰り返し行う子おtで分析精度を高めることができるのです。

人・モノ・金に限界があるため

人・モノ・金に限界がなく無限にある状態だと新事業の立ち上げなど好きに作ることができるでしょう。しかし、現実はそうではありません。リソースに限界があるからこそ、リスクを抑えて、より最小限のコストで事業推進のために仮説検証を行うことが求められます。

仮説検証に必要な「仮説思考」とは

仮説思考とは、限られた情報の中から問題解決や目標達成に向けて仮の結論(仮説)を持ち、その仮説にもづいて情報収集して、仮説の実行・検証・修正を行う思考方法です。

ですから、漠然と情報を集めて、でたらめに行動していれば効率的に作業を行うことができません。

仮説検証のステップ

仮説検証は大きく以下の3つのステップに分けることができます。

  1. 仮説立案…今ある情報で未来に何が起こるのかを予測します。
  2. 仮説検証の為の情報収集…何が起こったのかを認知します。
  3. 仮説検証…起こったことと予測したことを比較して分析します。

これを繰り返し行うことを「仮説検証サイクル」といいます。次に、仮説検証サイクルについてご紹介します。

仮説検証サイクルとは

仮説検証サイクルとは、前述したように仮説検証の3つのステップ(仮説立案・仮説検証の為の情報収集・仮説検証)を繰り返し行うことです。

仮説検証は3ステップを1サイクルとして何度も繰り返し行います。そうすれば、初期仮説から二次仮説、三次仮説というように徐々に仮説の精度が高まります。

仮説検証サイクルを回すポイント

仮説検証サイクルを効果的に回す際に抑えておきたいポイントがあります。ここでは、そのポイントについてご紹介します。

思考と行動のバランス

仮説検証サイクルを回す際には、思考と行動が大切になります。

深く考えることは重要ですが、行き当たりばったりで行動しないために動く前に深く考えて動かないのはいけません。

初期段階で深く考えることは重要ですが、サイクルを回す回数と仮説の精度は比例するので、より精度の高い仮説とするには、何度もサイクルを回す必要があります。

思考と行動のバランスが重要となります。思考に時間を取られすぎると仮説検証サイクルを素早く回すことができなくなります。完全にまとまっていなかったとしても初期仮説を立ててすぐに行動することでフィードバックを得て二次仮説に取り組むことが可能となります。

考えすぎず、ある程度フットワークを軽く保つと、仮説検証サイクルを回すスピードが早くなることを覚えておきましょう。

必ずしも正しくなくてもよい

仮説とは仮の結論ですから正しくなければいけないことはありません。間違っているかもしれない結論を出すことは心理的ハードルが高いですが、間違いをおそれないことが仮説検証サイクルを回すコツといえます。

「仮説は間違ってもよい。仮の結論なのだから。」ということを理解すれば、サイクルをスムーズに回すことができるでしょう。

仮説がない調査は行わない

仮説(仮の結論)がなければ、どこまで調査していいのかわからないので、作業にきりがありません。そのため、仮説がない調査によって時間を無駄にしてしまう可能性もあります。

また、精度の高い仮説が立てられないから調査を行わないのではなく、おおまかな仮説を立てて、おおまかな検証をたくさん行うことが必要です。

役に立つ情報と役に立たない情報の選択

仮説検証を行うには情報収集が不可欠となります。しかし、世の中には様々な調査資料が溢れていますが、参考になっても仮説を検証するのに役に立たない情報の方が多いです。検証で必要となってくるのは実際に動いて集めた正しい情報です。当たり障りのないありふれた調査資料は問題解決に十分な情報にはなりません。

とりあえず、検索して出てきた情報やとりあえず行ったアンケートの集計結果、単なる財務データなどは検証の役に立ちません。役立つ情報としては、顧客・パートナーヒアリングで得た情報や仮説に基づいた財務データなどです。自分の足で苦労して集めた情報を用いて仮説検証サイクルを回すと良いでしょう。

表現方法をあいまいにしない

仮説検証の精度をあげるには表現方法をはっきりさせると良いでしょう。表現方法が明確ではない場合、組織だと仮説の解釈が異なり、検証が困難となるおそれがあります。

自分の仮説を言葉にする際は、誰が読んでも解釈が変わらない、わかりやすく誤解がない表現を目指しましょう。

仮説検証の流れ

現状を分析し、課題を明確にする

初めに、目の前にある現状を冷静に見つめ、分析しましょう。そして、観察から得られた情報をもとに、現在直面している課題を明確にします。これらの課題の背後にある原因を深掘りすることで、仮説を立てる際に役立てられます。さらに、この段階で必要なデータがあれば、積極的に収集することも重要です。特に市場調査やターゲット分析は、商品開発や営業戦略において不可欠です。

仮説を立てる

課題を明確にした後は、仮説を立てます。この際、全体的な状況を理解し、一貫性のある論理で情報を整理することが求められます。仮説は実際に検証可能であることが必要であり、そのためには実験や観察が基づく必要があります。また、仮説は一度設定したらそれで終わりではなく、繰り返し検証を行う必要があります。検証作業が現実的に行えるかどうかも検討するとよいでしょう。

データを収集する

仮説を実証するため、必要なデータの収集に取り組みます。仮説の設定時に得た情報以上に、詳細で質の高いデータが必要です。質と量のバランスを取りながら、効率的なデータ収集を目指しましょう。

仮説を検証し、改善を行う

収集したデータを基に、仮説の検証を進めます。実際に試してみて初めて明らかになることも多いですから、実践的な検証が重要です。検証を通じて改善すべき点を見つけ、必要に応じて仮説を修正します。このときに前述した仮説検証サイクルを回すのが大切です。

検証結果を共有する

検証結果を社内で共有し、他の部門からもフィードバックを受け取ります。これにより、仮説に対する第三者の視点を得ることができ、さらなる改善点が見つかる可能性があります。特に、煮詰まった際や成果が出始めた時に意見を求めることが、成果を最大化するために効果的です。

仮説検証の具体的な方法

ここまでで、仮説検証の必要性やポイント、流れを理解できたと思いますが、実際に行うにはどのような手順で行うとよいのかわからない方もいるでしょう。そこで、ここでは仮説検証を行う方法を紹介します。

調査・分析

仮説を検証する為に関連性がある書籍や論文、競合調査をアナログ・デジタルで行います。役立つ情報が見つかる可能性は低いですが、インターネットだと手軽に調べることができるので時間・費用などほとんどかからないです。

インタビュー・観察・議論

想定される顧客へのインタビューや議論を行うことで精度の高い情報を得られます。新規事業の立ち上げや既存事業のアップデートを行う場合は、企業や商材に愛着を持って、継続的に購入・利用している顧客にインタビューすることをおすすめします。

MVP(Minimum Viable Product)の開発と検証

MVP(Minimum Viable Product)は顧客に必要最小限の価値を提供できるプロダクトのことで、商品サンプルやWebアプリなどのベータ版をさします。他の方法と比べると費用はかかりますが、MVPで顧客の反応を見ることで仮説検証の為の多くの情報を得ることができます。

仮説検証の実例

夫婦の課題についてを例に仮説検証を行います。

仮説(初期)

マッチングサービスで出会った男女の後をフォローするサービスは需要があるのではないかという仮説を立てました。詳細は以下となります。

近年、恋人を探すためのマッチングサービスが流行っており、スマホでも簡単に登録することができるマッチングアプリの利用者は増えています。マッチングアプリで出会った男女が結婚することは少なくありません。しかし、夫婦となった男女のその後を支援するサービスはほとんどありません。

これまで、日本では男性が外で働き、女性が家で家事をする文化がありましたが、今後は女性が外で働くことが多くなり、経済力がある女性が増えると離婚する夫婦が増える可能性があります。

普段から気軽に夫婦で相談事ができるカウンセリングサービスがあれば、夫婦仲を保ち、離婚の危機は生まれないかもしれないと考えられます。

情報収集

夫婦問題を解決するスペシャリスト(夫婦カウンセラー)にヒアリングしたところ、大部分の夫婦は離婚するという危機に直面するまで支援サービスを利用しないことがわかりました。

アメリカでは、夫婦でカウンセリングを受けることが一般的であり、カウンセリングにも保険が適用されていますが、日本でカウンセリングを受けることはハードルが高いといえます。

仮説検証

夫婦の為のカウンセリングサービスがあったとしても、多くの日本人は離婚の危機が訪れるまでサービスを利用しませんでした。ですから、夫婦専用のカウンセリングサービスを立ち上げたとしても需要はないといえます。

まとめ

今回は、仮説検証とは何かに始まり、繰り返し行う仮説検証サイクルについて、注意点やポイントなど解説しました。

仮説検証は一度で終わることはありませんし、仮説検証の結果事業が進み始めたとしても終わりではありません。顧客の思考は日々変化するものですし、いつ競合他社が現れるかもわかりません。ですから、常に顧客の声など最新情報にアンテナを張りながら仮説検証を繰り返すことが重要となります。

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