GA4でIPアドレスを取得する手順や法的な注意点を詳しく紹介

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GA4(Google Analytics 4)では、IPアドレスの取得が技術的には可能ですが、プライバシー保護の観点から慎重な対応が求められます。

特に現在は、データの扱いに対する社会的な意識や法的規制も強まっており、「どこまで取得してよいのか?」「取得した情報をどう活かせるのか?」といった疑問を抱える方も多いのではないでしょうか。

また、GA4を導入してはみたものの、「データを取って終わり」「具体的な改善にどうつなげるかが分からない」というお悩みもよく聞かれます。

この記事では、GA4でIPアドレスの取得や確認を行う手順をわかりやすくご紹介しながら、取得したデータをWeb集客にどう活用していくかの考え方や、注意すべき法的ポイントについても解説します。

執筆者

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マーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人

株式会社クリエイティブバンクのマーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人。得意分野は、SEO全般・サイト分析・オウンドメディア・コンテンツマーケティング。バンソウはクライアント様のBtoBマーケティングをサポートするサービスです。詳しい内容はこちらをご覧ください。

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GA4でIPアドレスを取得する手順

ステップ

GA4でIPアドレスの取得と確認を行う手順は以下のとおりです。

  1. 1. カスタムディメンションの作成
  2. 2. IPアドレスの取得
  3. 3. トラッキングコードの修正

ここでは、それぞれの手順について詳しくご紹介します。

1. カスタムディメンションの作成

  1. 1. GA4の画面左下にある「管理」の歯車マークをクリックし、「データの表示」の中にある「カスタム定義」を選択する

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  1. 2. 「カスタムディメンションを作成」をクリックすると、「新しいカスタム ディメンション」の画面が表示されるため、以下の項目を入力し、IPアドレスのカスタムディメンションを作成する
  • 「ディメンション名」 →IPアドレス(IPアドレスのことだとわかる名称)
  • 「範囲」 → 「イベント」
  • 「説明」→ 任意で説明を入力する(ディメンションの作成順に「dimension1」のように説明を入れるのがおすすめ)
  • 「イベント パラメータ」→ip_address(IPアドレスのことだとわかる変数名)

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  1. 3. アクセスの日時のカスタムディメンションを作成する
  • 「ディメンション名」 → アクセス日時(アクセス日時のことだとわかる名称)
  • 「範囲」 → 「イベント」
  • 「説明」→任意で説明を入力する(ディメンションの作成順に「dimension1」のように説明を入れるのがおすすめ)
  • 「イベント パラメータ」→ access_date(アクセス日時のことだとわかる変数名

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 IPアドレスやアクセス日時は、ユーザーがページに訪れたときに取得するイベント情報であるため、「範囲」では、「イベント」を選択しています。

「説明」は任意で入力しても問題ないですが、ディメンションは作成した順にdimension1、dimension2と連続した番号が割り当てられる仕様となっているため、説明にはdimension1、dimension2のように記載するのがおすすめです。

この順番は後述するトラッキングコードにディメンションを追加する際に使用するため、説明に記載することでこれまで作成したディメンションの中で何番目かを数える手間をなくせます。

ここで作成したIPアドレスのディメンションが初めて作成したものであれば、割り当てられるのは「dimension1」になり、アクセス日時のディメンションは「dimension2」となります。

2. IPアドレスの取得

GA4では、IPアドレスをPHPで取得し、JavaScriptでGA4に値を送るためにJavaScriptのコードを作成します。 IPアドレスとアクセス日時を取得するコードは以下のとおりです。

<?php

$ipaddress  = $_SERVER["REMOTE_ADDR"];
$accessdate = date("Y/m/d H:i:s");

?>

getIPAddress = function() {
  return '<?php echo $ipaddress; ?>';
}

getAccessDate = function() {
  return '<?php echo $accessdate; ?>';
}

上記のコードをPHPファイル(.php)として保存し、サーバーのサイトフォルダ内にアップロードします。

3. トラッキングコードの修正

PHPをサーバーにアップロードした後は、GA4のトラッキングコードを修正し、サイトに反映する作業を行います。

トラッキングコードを修正する際は、サイト内にある既存のコードを直接編集するか、GA4から再取得して編集したものを既存のものと入れ替えましょう。

GA4でトラッキングコードを再取得するには、画面左下の「管理」から「データの収集と修正」の中にある「データ ストリーム」を選択し、対象のサイトをクリックします。

次に、「Google タグ」の中の「タグ設定を行う」を選択し、「管理」タブの「この Google タグを設定」をクリックします。そこで、「手動でインストールする」のタブを選択するとトラッキングコードが表示されます。

修正したトラッキングコードは以下のとおりです。

<!-- GET IPAddress Accessdate -->
<script type="text/javascript" src="https://○○(ドメイン名)/○○(PHPファイルの保存場所へのパス)></script>

<!-- Google tag (gtag.js) -->
<script async src="https://www.googletagmanager.com/gtag/js?id=G-XXXXXXXXXX(GA4のタグID)"></script>
<script>
  window.dataLayer = window.dataLayer || [];
  function gtag(){dataLayer.push(arguments);}
  gtag('js', new Date());

  gtag('config', 'G-XXXXXXXXXX(GA4のタグID)', 
  {
    'custom_map': {
    'dimension1': 'ip_address',
    'dimension2': 'access_date',
    },
    'ip_address': getIPAddress(),
    'access_date': getAccessDate(),
  });
</script>

PHPファイルを指定するコードでは、PHPファイルをJavaScriptで開けるようにするために、スクリプトタイプをjavascriptにしています。

また、以下の部分もトラッキングコードに追記したコードですが、ここでは前述したディメンションに割り当てられる番号が使われています。

gtag('config', 'G-XXXXXXXXXX', 
  {
    'custom_map': {
    'dimension1': 'ip_address',
    'dimension2': 'access_date',
    },
    'ip_address': getIPAddress(),
    'access_date': getAccessDate(),
  });

カスタムディメンションを作成した際に説明で「dimension1」のように記載していると、ここに記載するディメンションの番号がすぐに把握できるでしょう。

次に、ここで取得したIPアドレスを確認する手順をご紹介します。

取得したIPアドレスを確認する手順

ポイント

GA4でIPアドレスが取得できているかを確認する手順は以下のとおりです。

  1. 1. GA4を開いて、画面左のメニューバーにある「探索」をクリックし、「空白」を選択します。
  2.  
  3.  
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  1. 2. 「ディメンション」の「+」ボタンをクリックし、「カスタム」の中から「IPアドレス」と「アクセス日時」にチェックを入れて「確定」をクリックします。

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  1. 3. 「指標」の「+」ボタンをクリックし、「ユーザー」の中から「アクティブ ユーザー」にチェックを入れて「確定」をクリックします。
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  1. 4. ディメンションの「IPアドレス」と「アクセス日時」を右側の「行」にドラッグ&ドロップし、指標の「アクティブ ユーザー」を右側の「値」にドラッグ&ドロップします。

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次に取得したIPアドレスの活用方法をご紹介します。

取得したIPアドレスを活用する方法

取得したIPアドレスは、マーケティングに生かすことが大切です。アクセスの日付や場所などを分類したり、ターゲットユーザーを獲得できているか確認したりするなどで活用できますので、詳しい活用方法を確認しましょう。

アクセスの日付や場所などを分類する

IPアドレスを活用するには、はじめにアクセスされた日付や場所(国・市区町村など)、企業名で分類します。この際に、アクセスの分析に使うデータの精度を高めるために、自身のIPアドレスは除外設定しておきましょう。

IPアドレスの分類を行うには、GA4の「レポート」にあるIPアドレスのレポートをダウンロードします。すると、IPアドレスとサイトに訪れた日付を把握できるため、それをトリガーに設定するとよいでしょう。

ターゲットユーザーを獲得できているか確認する

先述した分類を行うと、サイトを訪れたユーザーがどのような属性なのかを確認できるようになります。例えば、ターゲット・既存・新規のどのユーザーなのかを把握できます。この結果から、ターゲットをサイトに集客できているのか、新規のユーザーが増えているのかを判断でき、ターゲットに対して正しいアプローチを行えているかの見直しも可能になります。

見込みユーザーを割り出す

IPアドレスの分類によって得られたデータはMAツールやIP解析ツールにも活用できます。これらのツールとデータを連携することで、自社の商品やサービスに興味や関心がある見込みユーザーを割り出すことが可能になり、ユーザーへのアプローチ方法や適したマーケティング手法を選定する際にも活用できるでしょう。

サイト課題を洗い出して改善につなげる

IPアドレスを分析することで、ユーザーがサイト内でどのような行動をしていたのか、どこから流入したのか、コンバージョンまでつながったのかなどを把握できます。この結果からサイトの課題を洗い出したり、マーケティング施策の効果検証を行ったりすることが可能になり、よりコンバージョンを獲得するための改善につなげられます。

次に、IPアドレスを確認する際の注意点についてご紹介します。

取得したIPアドレスを確認する際の注意点

注意

IPアドレスを確認する際は、IPアドレスが表示されなかったり、変更されたりすることがあります。マーケティングに活用するためには、ここでご紹介する注意点を認識しておくことが大切です。

IPアドレスが表示されないことがある

IPアドレスは必ずしも表示されるとは限りません。例えば、クライアントとサーバーの通信を中継する役割を担う「プロキシサーバー」を通してユーザーが訪れても、ユーザーのIPアドレスではなくプロキシサーバーのIPアドレスが送信されるため、IPアドレスが表示されなくなります。

また、IPアドレスを隠して匿名性を確保しながらWebサイトを閲覧できるブラウザの「Tor Browser」を利用したり、VPNを使用してアクセスしたりした場合でもIPアドレスは表示されなくなるでしょう。

IPアドレスが変更される可能性がある

IPアドレスは変更される可能性がある点にも注意が必要です。IPアドレスには動的IPアドレスと静的IPアドレスが存在し、動的なIPアドレスは専用サーバーやルーターなどを介したり、一定の期間がたったりするとIPアドレスが自動で変更されます。

ただし、ネットワーク環境の変更によっては静的なIPアドレスでも変わることがあるため、1人のユーザーでも複数のIPアドレスが使われている可能性があることも認識しておくとよいでしょう。

自分や社内デバイスのIPアドレスが含まれることがある

自分や社内デバイスのIPアドレスがデータに含まれていると、データの精度が落ちてしまうため、これらのIPアドレスからデータを取得しないようにGA4で除外設定をしておくのがおすすめです。除外設定を行っても、除外されたデバイス以外のものからアクセスをしてしまうとデータに記録されてしまうため、どこまで除外設定するのか範囲を決めて設定するのもよいでしょう。

また、除外設定を行ってからレポートに反映されるまでには時間がかかります。設定直後に除外されているかテストを行ってもデータが記録されてしまうため、変更後は数時間から数日ほど期間を空けてから確認することが大切です。

次に、IPアドレスを取得する際の法的な注意点をご紹介します。

IPアドレスを取得する際の法的な注意点

注意点

ここまで、IPアドレスを確認する際の注意点をご紹介しましたが、IPアドレスを取得する際にも法的な観点から注意すべきことがあります。IPアドレスの取得などに厳しい規制を行っている国もありますので、取得の際はここでご紹介する注意点を事前に確認しておきましょう。

海外では日本よりも厳しく規制している国がある

海外では、日本よりも個人情報の取得について厳しい規制を行っている国があり、オーストリアやフランスでは、GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)に違反しているとしてGoogle Analyticsの使用禁止を推進しています。そのため、これらの国をターゲットに商品やサービスを展開している場合はGDPRに準拠する必要があるでしょう。

参考:EUではGoogleアナリティクスは違法なのか?|Tuta

また、米カリフォルニア州のCCPAやブラジルのLGPDといった個人情報を保護する法律も制定されており、データを取得する際は日本と同様に目的と方法を明示し、事前に同意を得る必要があります。

IPアドレスだけでは個人を特定できない

インターネット上では、接続の際にIPアドレスがWebサイトの管理者に把握されるため、個人情報の漏えいなどを心配する方もいるかもしれません。しかし、IPアドレスだけでは、個人を特定するのは困難といえます。

IPアドレスでは、市区町村といった地域単位の情報であれば特定は可能ですが、より詳細な位置情報などはプロバイダーに開示請求をする必要があるため、一般的にIPアドレスだけで住所や氏名などの個人を特定する情報を得るのは不可能でしょう。

参照:個人情報の保護に関する法律|e-Gov 法令検索

まとめ

この記事では、GA4でIPアドレスを取得・確認する手順や活用する方法などをご紹介しました。GA4でIPアドレスを取得するには、カスタムディメンションの作成からIPアドレスの取得、トラッキングコードの修正までを行います。

ただし、IPアドレスを確認する際は、IPアドレスが表示されなかったり、変更されたりすることがあるため注意が必要です。また、海外では日本よりも個人情報の取得について厳しい規制を行っている国があるため、海外をターゲットに商品やサービスを展開している場合はその国の法律も確認しておきましょう。

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