特定電子メール法とは?法律に沿ったメールの作成方法をわかりやすく紹介
特定電子メール法とは、2002年に施行された法律です。特定電子メール法には、あらかじめ受信者からの同意を得たうえで広告・宣伝メールを送信できる「オプトイン方式」や、送信者情報の明記が必要である「表示義務」などが定められており、これらを遵守することで、受信者が迷惑メールを受け取ることを防ぎ、必要なメールのみを受信できる環境を整えられます。
この記事では、特定電子メール法の概要や、法律内で定められているオプトイン方式・表示義務に沿った営業メールの作成方法、法律に違反した際の罰則、実際にメールマガジンを作成する際に役立つ作成例やチェックリストなどをわかりやすくご紹介します。
特定電子メール法とは
特定電子メール法とは、2002年より施行された迷惑メールを規制するための法律で、正式な名称は「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」です。
特定電子メール法では、広告や宣伝に関するメールは、基本的にあらかじめ同意(オプトイン)が得られた者にのみ送信が認められることを定めています。また、メールマガジンなどの広告メールを送信する際は、送信者の情報や問い合わせ先を明示すること、メールの配信停止を可能にすることなどが義務づけられており、違反した場合は罰金をはじめとした罰則が科される可能性もあるため、注意が必要です。
このような特定電子メール法を遵守したメールを送信することで、受信者は送信元が不明なメールに不信感を覚えたり、不要なメールが大量に届くことへの不快感を覚えたりすることなく、必要なメールのみを受け取れるようになります。
なお、電子メール法について、本記事の内容を簡単にまとめた資料も無料で配布しています。ざっくり要点を知りたい方は、ぜひこちらの資料をご覧ください。
総務省・消費者庁が定める特定電子メール法の要点
特定電子メール法は、総務省・消費者庁の「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」や、総務省の「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」にて要点がわかりやすくまとめられています。以下の表では、上記の資料をもとに、特に重要となるポイントを記載しています。
ポイント | 内容 | |
オプトイン方式 |
受信の事前承諾の取得 | 広告・宣伝メールを送信する際はあらかじめ受信者の許可を得る |
受信者の同意を証する記録の保存 | 受信者から得られた受信の同意を記録し、保存する | |
表示義務 | 送信元アドレスの明示 | なりすましメールを避け、送信元のアドレスを明示する |
送信者の氏名や名称の明示 | 送信者の氏名や企業名などを記載する | |
配信停止フォームの設置 | 受信者がいつでも配信停止できるようフォームや問い合わせ先を設置する | |
問い合わせフォームや連絡先の設置 | 苦情や問い合わせが行えるフォームやメールアドレス、送信者の住所などの連絡先を記載する | |
違反時の罰則 | 送信者情報を偽ったメールの送信 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
同意の記録義務違反 | 総務大臣および内閣総理大臣による命令 命令に従わない場合、100万円以下の罰金 |
|
架空の電子メール宛ての送信、受信拒否者への送信、同意のない者への送信、表示義務違反 | 総務大臣および内閣総理大臣による命令 命令に従わない場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
参照:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント|総務省
上記の内容について詳しくは、後述の『「オプトイン方式」に基づくメールの作成方法』『「表示義務」に基づくメールの作成方法』「特定電子メール法に違反した際の罰則」にて解説します。
主に法律が適用されるメールの種類
特定電子メール法は、広告や宣伝のために送信されるメールに対して適用されます。主に法律が適用されるメールの種類は、以下のとおりです。
- 営利団体(企業)または営利を目的とした活動を行う個人(自営業者、フリーランスなど)が提供する商品やサービスの広告・宣伝を目的として送信するメール
- 海外の営利団体(企業)または営利を目的とした活動を行う個人(自営業者、フリーランスなど)が提供する商品やサービスの広告・宣伝を目的として送信するメール
- 営利団体(企業)または営利を目的とした活動を行う個人(自営業者、フリーランスなど)が、ほかの企業や個人が提供する商品やサービスの広告・宣伝を目的として送信するメール
- 営利団体(企業)または営利を目的とした活動を行う個人(自営業者、フリーランスなど)が提供する商品やサービスの広告・宣伝を目的として送信するSMS
- キャンペーンや懸賞に当選した際に、該当の受信者を自社のWebサイトへ誘導するメール
- 自社の商品やサービスのリンクを設置し、自社のWebサイトへ誘導するメール
上記のように、営利目的で自社の商品やサービスを宣伝する内容のメールや、自社のWebサイトへ誘導するメールなどには特定電子メール法が適用されます。
このとき、海外から送信されたメールや、電話番号を通して送信されるSMSにも法律が適用されるため、ご注意ください。
参照:法律の義務づけなどの対象となる電子メール|特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント|総務省
参照:①「特定電子メール」の範囲 |特定電子メールの送信等に関するガイドライン|総務省・消費者庁
法律の適用外となるメールの種類
ここまでご紹介したように、送信者が営利目的で送信する広告・宣伝に関するメールやSMSには、特定電子メール法が適用されます。反対に、法律の適用外となるメールは、以下のとおりです。
- 時候のあいさつや日常的なやりとりのメール
- 申し込み内容、購入内容の確認メール
- Webサイトへログインする際の認証コードが記載されたメール
- クレジットカードの利用額など、請求金額の確認メール
- 非営利団体(宗教団体、NPO法人、政治団体、労働組合など)から送信されたメール
上記のような、広告や宣伝を意図していない内容かつ自社のWebサイトへの誘導が行われていないメールやSMSには、特定電子メール法は適用されません。
「オプトイン方式」に基づくメールの送信方法
ここまで、特定電子メール法の概要や適用されるメールの種類についてご紹介しました。ここからは、特定電子メール法に沿ってどのようにメールを送信すればよいのかを具体的にお伝えするので、ぜひご参考にしてください。
まずは、特定電子メール法で採用されている「オプトイン方式」に沿ったメールの送信方法についてご紹介します。
受信者からメールの受信に関する同意を得る
企業などから営利目的の広告・宣伝メールを送信する際は、あらかじめ受信者がメールを受け取ることに同意(オプトイン)していなければ送信ができません。
そのため、同意を得るためには自社のWebサイトに「メールマガジンの配信を希望する」などの申し込みフォームを設置したり、会員登録時に「メールマガジンの配信に同意する」といったチェックボックスを設置したりすることで、受信者に自ら選択してもらう必要があります。
【バンソウの例】
同意を得る際の注意点
受信者からメール受信の同意を得る際には、受信者が誤って同意してしまわないよう、登録時に広告・宣伝に関するメールを送信する旨をわかりやすく示すことが大切です。
例えば、会員登録時にあわせてメールマガジンの配信も許可する旨を利用規約に記載する場合は、文字を目立たせたり、受信者が膨大なスクロールをせずとも見つけやすい位置に記載したりするといった工夫を行いましょう。
また、広告・宣伝メールを送信する頻度が高い場合は、メールを受信し始めてから受信者が負担を感じないよう、あらかじめ送信頻度が高い旨を説明しておくことが推奨されます。
なお、受信者からの配信希望の意思を二重で確認する「ダブルオプトイン方式」を用いるのもおすすめです。ダブルオプトイン方式では、受信者がメールアドレスを入力したあと、確認メールを送信することで配信希望の意思を再確認できます。これにより、受信者から確実に同意を得たうえでメールを送信できるだけでなく、受信者のメールアドレスの入力間違いによってメールが届かないといったリスクも防げます。
ただし、ダブルオプトイン方式は受信者の負担をかえって増やしてしまう恐れもあるため、会員登録時にのみ導入するなど、状況によって使い分けるとよいでしょう。
受信者の同意なしで広告・宣伝メールを送信できるケース
先述のとおり、広告・宣伝に関するメールを送信する際は、あらかじめ受信者からの同意を得る必要がありますが、例外もあります。
例えば、以下のようなケースでは、受信者からの同意なしでメールを送信できます。
- 現在取引関係にあたる企業の担当者に広告・宣伝メールを送信する場合
- 名刺交換などでメールアドレスを取得した者に広告・宣伝メールを送信する場合
- 取引や契約に関するメールで、付随的に広告・宣伝を行う場合
- フリーメールサービス(メールサービス提供事業者が、広告掲載を条件として無料で提供しているメールサービス)を用いたメールで、付随的に広告・宣伝を行う場合
- 自身のメールアドレスをインターネット上で公表している者(個人の場合は、自営業者に限る)に広告・宣伝メールを送信する場合
- 受信の同意を得る際に確認のメールを送信する場合
なお、上記のように取引関係にあたる者や、名刺交換によってメールアドレスを取得した者には、基本的に同意を得ずとも広告・宣伝メールを送信できますが、通信販売などに関するメールを送信する場合は、特定商取引法が適用され、受信者からの同意が必要となるためご注意ください。
メールアドレスが公表されていても同意なしで送信できないケース
先述のとおり、WebサイトやSNSなどのインターネット上で自身のメールアドレスを公表している者に対しては、同意を得ずに広告・宣伝メールを送信しても問題ありません。ただし、「広告メールの配信はお断りします」などのように、広告・宣伝メールの受信を拒否する旨がメールアドレスとあわせて記載されている場合は、受信者からの同意なしに広告・宣伝メールを送信できないため、メールの送信前に慎重に確認しておきましょう。
受信に同意した記録を保存する
オプトイン方式によって受信者からの同意を得られた場合は、「受信者が同意した」という記録を保存する必要があります。
保存する記録の内容
受信者からの同意を得た際に保存する記録の内容は、以下のいずれかとされています。
- 該当のメールアドレスに関して、同意を受けた際の時期や方法などの状況が把握できる記録
- 同意の取得時に使用した方法(書面の提示、Webサイトからの通信文の伝達、メールの送信)別の必要事項
- 書面(FAX含む)の提示の場合、書面に記載した定型的な事項
- Webサイトからの通信文の伝達の場合、通信文に含まれる定型的な事項
- メールの送信の場合、メールの通信文に含まれる定型的な事項
記録の保存期間
メールアドレスなどの記録は、該当のメールアドレス等に広告・宣伝メールを送信しないこととなり、最後に広告・宣伝メールを送信した日から1カ月間保存するよう定められています。
受信者から同意を得ていながらも、一度も広告・宣伝メールを送信しなかった場合は、メールを送信しないこととした日まで保存が必要です。
出典:特定電子メールの送信等に関するガイドライン|総務省・消費者庁
また、特定電子メール法の規定に違反し、第7条に基づいて改善に関する措置命令が出された場合は、最後に広告・宣伝メールを送信した日がいつかによって保存期間が異なります。
例えば、命令を受けた日から1年が経過するまでに広告・宣伝メールを送信していた場合は、最後にメールを送信した日から1年間保存しなければなりません。一方で、命令を受けた日から1年を経過した後に広告・宣伝メールを送信していた場合は、最後にメールを送信した日から1カ月間の保存が求められます。
出典:特定電子メールの送信等に関するガイドライン|総務省・消費者庁
なお、命令を受けた日から数えて1カ月前までに広告・宣伝メールを送信していた場合は、最後にメールを送信した日から1年間の保存が必要です。
出典:特定電子メールの送信等に関するガイドライン|総務省・消費者庁
「表示義務」に基づくメールの作成方法
次に、「表示義務」に基づくメールの作成方法をご紹介します。広告・宣伝メールを送信する際は、以下でご紹介する項目を受信者にとってわかりやすく示すことが義務づけられています。
送信元のメールアドレスを明示する
広告・宣伝メールを送信する際は、送信元のメールアドレスを明示します。これは、電子メール法の第5条に基づいており、他者へなりすました状態でのメール送信など、送信者の情報を偽って広告・宣伝メールを送信することを禁止しています。
(送信者情報を偽った送信の禁止)
第五条 送信者は、電子メールの送受信のために用いられる情報のうち送信者に関するものであって次に掲げるもの(以下「送信者情報」という。)を偽って特定電子メールの送信をしてはならない。
一 当該電子メールの送信に用いた電子メールアドレス
二 当該電子メールの送信に用いた電気通信設備を識別するための文字、番号、記号その他の符号
引用:特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成十四年法律第二十六号)
また、ツールなどを用いて送信元のメールアドレスを非表示にすることも違法となるため、ご注意ください。
送信者の氏名や企業名を記載する
広告・宣伝メールには、誰がメールを送信しているのか、送信者の氏名や企業名などがメール本文の最初または最後など、メールを読む受信者にとって認識しやすい位置に明示されている必要があります。このとき、商品名やサービス名、ブランド名、企業名の略称などでは表示義務を果たしたことにはならないため、正式名称を記載するようご注意ください。
なお、広告・宣伝メールの送信を委託している場合は、委託者または送信者のうち、メールの送信に関する責任を持つ人物の氏名または企業名を記載しましょう。
受信拒否できる旨を示し、専用フォーム(オプトアウト)を設置する
広告・宣伝メールの本文中には、メールの受信者が任意のタイミングで受信の拒否(オプトアウト)が行えるよう、オプトアウトが行える旨を示したうえで、配信停止フォームや配信停止の申し込みが可能なリンクまたはメールアドレスなどを設置することが義務づけられています。
オプトアウトは、メールの送信者の氏名や企業名と同様に、受信者にとって認識しやすい位置に配置することが重要です。設置の際は、「配信停止はこちら」「配信停止の申し込み」などのテキストも添えたり、テキストにリンクを設定したりするなど、目立たせる工夫を行いましょう。
送信者の住所や問い合わせ先を記載する
送信者の住所とあわせて、クレーム、問い合わせを受け付けられる電話番号やメールアドレス、問い合わせフォームのURLなどを記載します。送信者の住所は、直接本文中に記載せず、URLで企業のWebサイトなどにつなげることも可能です。
URLを記載する際は、「送信者の住所はこちら」「問い合わせはこちら」などのテキストをURLの前に添えたり、テキストにリンクを設定したりするなど、受信者にとってわかりやすく示すことが大切です。
特定電子メール法に違反した際の罰則
ここまで、広告・宣伝メールを送信する際にメール内に記載する必要がある情報などをご紹介しました。
上記で説明したオプトイン方式に基づくメールの送信や、表示義務に基づくメールの作成を行わず、特定電子メール法に違反していると見なされた際は、総務大臣および内閣総理大臣から改善の命令(措置命令)が出されます。措置命令に従わなかった場合は以下のような罰則が科されるため、ご注意ください。
送信者情報を偽ってメールを送信した場合
先述のとおり、広告・宣伝メールを送信する際は、送信元のメールアドレスや送信者の氏名・企業名などの情報を明示することが義務づけられています。
このとき、なりすましメールなど送信者情報を偽って広告・宣伝メールを送信した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
なお、法人が違反した場合は、行った者が罰されるほか、法人に対して3,000万円以下の罰金が科されるため、法人でメールを送信する際は必要な情報が記載されているか慎重に確認しましょう。
また、送信者情報を偽ってメールを送信した場合は、これらの罰則に加えて、総務大臣および内閣総理大臣からの措置命令の対象にもなります。
同意の記録義務に違反した場合
広告・宣伝メールを送信する際は、あらかじめメールを受信する受信者からの同意とあわせて、同意の記録の保存が必要です。
このような記録の保存を行わなかった場合、総務大臣および内閣総理大臣から措置命令が出され、命令に従わなかった際は、100万円以下の罰金が科されます。なお、法人が違反した場合は、行った者が罰されるほか、法人に対して100万円以下の罰金が科されます。
なお、通信販売などに関する広告・宣伝を行っていた事業者が同意の記録義務に反した場合は、特定商取引法の違反にも該当し、100万円以下の罰金も科されるため、特にご注意ください。
表示義務違反や受信拒否者への送信などを行った場合
先述した表示義務に含まれる項目を明示しなかった場合や、受信拒否者および同意が得られなかった者へメールを送信した場合、架空のメールアドレス宛てに広告・宣伝メールを送信した場合においては、総務大臣および内閣総理大臣からの措置命令が出されます(架空のメールアドレス宛ての送信に関しては、総務大臣からの措置命令)。
措置命令に従わなかった際は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科され、法人が違反した場合においては、行った者が罰されるほか、法人に対して3,000万円以下の罰金が科されるため、ご注意ください。
なお、通信販売などに関する広告・宣伝を行っていた事業者が、請求事項や同意のない者、拒否者に対して広告・宣伝メールを送信した場合は、100万円以下の罰金となり、あわせて同意のない者へ送信した広告・宣伝メールが虚偽・誇大広告に該当したり、表示義務に違反したりしていた場合、1年以下の懲役または200万円以下の罰金、またはこれらの罰則が同時に科されます。
ここまでご紹介した違反行為は、すべて業務停止命令が出されるなど行政処分の対象となるため、違反と見なされないよう、メールの送信前には必ず宛先や本文の確認を徹底しましょう。
特定電子メール法に関する措置命令の例や判例
ここまで、特定電子メール法に違反した際の罰則についてご紹介しました。罰則とあわせて、実際に特定電子メール法に違反し、措置命令が出された例や罰則が科された例についてご紹介します。
措置命令が出された例
2017年10月から2018年1月にかけて、自社で運営していたWebサイトに関する広告・宣伝メールを約400人に向けて、1300通ほど送信していたとして、送信元の企業に措置命令が出されました。
この企業では、送信したメールが特定電子メールに該当するにもかかわらず、受信者からの同意を得ていなかった点や、受信者からの同意の記録を保存していなかった点、メールの本文中に、法律で表示が義務づけられている事項を記載していなかった点において違反していると見なされています。
上記事例の詳細については、総務省の報道資料をご確認ください。
判例
2013年、広告代理業を行う企業が、不正に入手したメールアドレスを用いて、送信者情報を偽りながら、業務委託企業の営業目的で特定電子メールに該当する広告・宣伝メールを送信しました。
この行為が、当時施行されていた特定電子メール法の37条1号、34条1号、5条1号にそれぞれ違反しており、これらは刑法45条前段の併合罪であることから、同法48条2項における各罪所定の罰金の多額を合計した金額の範囲内で、500万円の罰金を科す判決が出されました。
参照:裁判例結果詳細|裁判所
メールマガジンの送信時に役立つ作成例とチェックリスト
先述のとおり、広告・宣伝メールを送信する際に特定電子メール法に違反してしまうと、総務大臣および内閣総理大臣からの措置命令が出されたり、罰金といった罰則が科されてしまうため、メールを送信する前に違反事項がないかを慎重に確認する必要があります。
ここでは、特定電子メール法に沿ったメールマガジンの作成例や、送信前の確認で活用できるチェックリストをご紹介するので、メールマガジンを送信する際はぜひお目通しください。
特定電子メール法に沿ったメールマガジンの作成例
初めに、特定電子メール法に沿ったメールマガジンの作成例をご紹介します。赤文字で示した箇所が、特定電子メール法で規定されている項目です。
差出人:bansou@example.xx
送信日時:20XX/XX/XX
To:■■■■(user@example.xx)
件名:【受注率30%アップ】お役立ち資料を公開中!
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※このメールは、メールマガジンの配信を希望した方にお送りしています。
こんにちは、株式会社〇〇です。
今回は、受注率が伸び悩んでいるという方に向けて、
顧客の確度を高める方法や確度の高い顧客を見極める方法、
クロージングのコツなどをまとめたお役立ち資料をご紹介します!
【受注率30%アップ】顧客を確実に受注へつなげるポイント
https://~~~~~
~~~~~~
~~~~~~
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【このメールの送信者】
株式会社〇〇
東京都〇〇区△△~~
Tel:XX-XXXX-XXXX
FAX:XX-XXXX-XXXX
【配信停止はこちら】
https://~~~~~
【お問い合わせはこちら】
https://~~~~~
メールマガジンの送信時に確認すべきチェックリスト
上記の作成例は、以下のチェックリストを参考に作成しています。広告・宣伝メールを送信する際は、以下のポイントが押さえられているか確認しましょう。
▢ 受信者からの同意を得ている
▢ 送信者のメールアドレスに偽りがなく、受信者に明示されるよう設定できている
▢ メール送信者の氏名または企業名が正式名称で記載されている
▢ 送信者の住所が記載されている
▢ 苦情や問い合わせなどを受け付ける連絡先(電話番号、メールアドレス、問い合わせフォームへのリンクなど)が記載されている
▢ メールの配信停止が可能な旨を示し、配信停止フォームや停止の手続きが行えるメールアドレスなどが記載されている
受信者からの同意を得ている
メールマガジンのように、広告・宣伝メールを送信する際は、あらかじめ受信者が広告・宣伝メールを受信することに同意している必要があります。
特定電子メール法においては必須ではありませんが、作成例に記載したように「※このメールは、メールマガジンの配信を希望した方にお送りしています」などの文章を添えることで、同意を得た人にのみ送信していることをわかりやすく伝えられるでしょう。
送信者のメールアドレスに偽りがなく、受信者に明示されるよう設定できている
送信者のメールアドレスは、なりすましメールとならないよう偽らず、正確なものを使用しましょう。
また、ツールを用いて受信者に送信者のメールアドレスが認識できなくなるよう設定することは避け、どのようなメールアドレスから送信しているのかを明示することが大切です。
メール送信者の氏名または企業名が正式名称で記載されている
メールの最初または最後など、受信者がメールを読んだ際に認識しやすい位置に、送信者の氏名や企業名を正式名称で記載します。サービス名やブランド名などでは送信者名を示したことにはならないため、ご注意ください。
なお、作成例のように、送信者の氏名や企業名とあわせて、送信者の住所や電話番号といった情報を記載すると、連絡先を簡潔にまとめられるためおすすめです。
送信者の住所が記載されている
表示義務の中には、送信者の住所の記載も含まれています。「住所が長くメールの文字数を増やしたくない」「企業のWebサイトに住所が記載されているため、受信者にはWebサイトを確認してほしい」といった場合は、住所を本文中に直接記載せず、リンクを設置して住所が書かれたページに誘導することも可能です。
リンクを設置する際は、「住所はこちら」など住所が記載されていることが認識できるよう説明を添える必要があります。
苦情や問い合わせなどを受け付ける連絡先(電話番号、メールアドレス、問い合わせフォームへのリンクなど)が記載されている
住所とあわせて、苦情や問い合わせを受け付けるための電話番号やメールアドレス、問い合わせフォームのリンクといった連絡先を設置します。
住所と同様に、「各種問い合わせはこちら」「問い合わせフォームはこちら」のように、テキストを添えたうえでリンクを設置することも可能です。
メールの配信停止が可能な旨を示し、配信停止フォームや停止の手続きが行えるメールアドレスなどが記載されている
広告・宣伝メールを送信する際は、受信者が任意のタイミングでメールの受け取りを拒否できるよう、配信停止フォームや配信停止の手続きが行えるメールアドレスなどの連絡先を設置する必要があります。
このようなフォームや連絡先を設置する際は、「配信停止はこちら」「メールの配信を停止する」など配信停止が行えることを示したうえで、リンクやメールアドレスなどを設置することが義務づけられています。
特定電子メール法の改正履歴
特定電子メール法は、2002年の制定時から複数回にわたり改正が重ねられています。
最後に、特定電子メール法が制定された2002年からどのように改正されてきたのか、主な改正履歴をご紹介します。
2002年 特定電子メール法の制定
2002年に制定された特定電子メール法では、メールマガジンなどの広告・宣伝メールにあたる特定電子メールを、「営利目的の団体・営業を営む個人が広告・宣伝の手段として、個人が私的に利用しているメールアドレス宛に送信する電子メール」と定め、規制を行いました。
また、制定時はオプトアウト式を採用しており、あらかじめメールの受信を拒否した者に対して広告・宣伝メールを送らないよう義務づけています。
2005年 送信者情報を偽った送信を禁止(第一次改正)
2005年の第一次改正では、送信者情報を偽った広告・宣伝メールの送信を措置命令の対象と定めました。また、自身や他人の営業目的で、多数のメールを架空のメールアドレスに送信することも禁止事項に含めています。
なお、2005年の改正により、これまでは個人のメールアドレスに送信される広告・宣伝メールのみを特定電子メールとしていましたが、改正後は企業などで用いる事業用のメールアドレスに送信される広告・宣伝メールも特定電子メールと見なされるようになりました。
2008年 オプトイン方式の採用(第二次改正)
2008年の第二次改正では、これまでのオプトアウト方式を廃止し、現在の方式であるオプトイン方式を採用しました。これにより、受信拒否者へメールを送信しないのではなく、メールの受信を許可した者にのみ広告・宣伝メールを送信できるように変更されました。
また、これまでは受信拒否者への送信や表示義務に違反し、かつ総務大臣および内閣総理大臣からの措置命令にも従わなかった場合は、100万円以下の罰金が科されていましたが、改正後は法人への罰金額が100万円以下から3,000万円以下に引き上げられるなど、現行の罰金額に変更されました。
まとめ
この記事では、特定電子メール法の概要や、法律内で定められている「オプトイン方式」「表示義務」に沿ったメールの作成方法、実際にメールマガジンを送信する際に役立つチェックリストなどをご紹介しました。
広告・宣伝メールを送信する際は、送信者の情報や問い合わせ先、メールの配信停止の申込先などを示すことが義務づけられていますが、受信者がメールを読んでいてすぐに認識できる位置に記載したり、文字を目立たせてわかりやすく示したりするといった工夫も大切です。記事内でご紹介したメールマガジンの作成例や、チェックリストもぜひご活用ください。
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