GA4でDirectが計測される原因や対処法を詳しく解説
GA4(Google Analytics 4)の「Direct(ダイレクト)」は、Webサイトの流入経路を調査する際に見られる表示のひとつです。Directは流入経路がわからない場合にカウントされることが多いためネガティブな印象を抱きがちですが、自社のWebサイトをブックマークし定期的に訪れている人からのアクセスもDirectに当てはまるため、必ずしも悪いものというわけではありません。
この記事では、GA4でDirectが表示される原因や対処法をご紹介します。
GA4のDirectとは
GA4のDirectはユーザーがWebサイトを訪れた際の流入経路のひとつで、流入元がわからない場合に振り分けられます。例えば、URLをブラウザのアドレスバーへ直接入力したときや、ブックマークからアクセスしたときなどがDirectに分類されます。なお、GA4の前身であるユニバーサル アナリティクス(UA)では、Directは「Direct/none」と表されます。
GA4では、Direct以外の流入経路として「Organic Search」や「Referral」などがあります。Organic Searchは広告などを通さずに、検索結果からWebサイトを訪れる自然検索からの流入を指し、Referralは外部サイトに張られた自社のWebサイトのリンクからの流入を指します。
Directでの流入が増えている
スマートフォンの普及により、インストールされているアプリケーションや、ブラウザのブックマーク、検索時のサジェストからアクセスするユーザーも増え、Directでの流入も増加傾向にあります。
また、現在はセキュリティ対策としてSSL化を行うWebサイトも多いでしょう。しかし、自社のWebサイトがSSL化していない場合は、SSL化されたWebサイトからの訪問はDirectでの流入として計測されてしまいます。このような背景から、現在のGA4ではDirectでカウントされる流入が増加しつつあります。
Directが多いとどうなる?
Directが多いと、自社のWebサイトがどのような流入経路でユーザーに訪れてもらっているのかを把握しづらくなります。そのため、適切な集客施策やユーザーのアプローチができなくなるでしょう。
ほかにも、Direct内にリファラースパムの数値を含んでしまう可能性も懸念されます。
GA4では、ユーザーが自社のWebサイトを訪れた際にどのページから流入したのか、参照元を確認できます。リファラースパムとは悪質なWebサイトをリファラー(参照元)として表示し、GA4上からのユーザーのアクセスを誘う迷惑行為です。リファラースパムは正確なアクセス数の計測ができなくなるだけでなく、クリックしてしまうとウイルスに感染するなどのリスクもあります。
Directはどのくらいの数が適切?
一般的に、Directの数はWebサイト全体のトラフィック数(ユーザーがWebサイトに訪問した数)の5~20%ほどが基準値とされています。しかし、Webサイトの内容や業種によってもDirectの数は変動し、ユーザーにスマートフォン利用者が多い場合は25~30%などより高い数値になることもあります。
Directが表示される原因一覧
ここでは、GA4でDirectが表示される主な原因をご紹介します。
ブラウザのアドレスバーに直接URLを入力している
ブラウザの上部にあるアドレスバーにURLを直接入力した場合、Directとしてカウントされます。なお、URLを途中まで入力した際にサジェストで候補となるWebサイトが表示されることがありますが、サジェストで表示されたWebサイトをクリックして遷移した際もDirectとしてカウントされます。
QRコードからアクセスしている
QRコードをスマートフォンなどで読み取り、Webサイトにアクセスした際も、先述したURLを直接入力してアクセスする方法と同じ流入経路と見なされ、Directとしてカウントされます。なお、QRコードからの流入は専用のパラメータを付与することでQRコードからアクセスしたユーザーの参照元を確認できるようになります。パラメータについては後ほど詳しく解説します。
ブックマークやお気に入りからアクセスしている
ブラウザに保存したブックマークやお気に入りからアクセスしている場合、参照元がないと見なされるため、Directとしてカウントされます。このようにブックマークからの流入が多い場合はDirect表示が増えてしまうものの、繰り返し同じユーザーが自社のWebサイトに興味を持ち、頻繁に訪れてくれていると解釈することもできます。
アプリケーションからアクセスしている
スマートフォンなどにインストールされているアプリケーションからWebサイトに遷移した場合も、Directとしてカウントされます。このとき、先述したパラメータをリンクに設定することで参照元を確認できます。
メールに記載したリンクからアクセスしている
メールマガジンなどのメールに記載したリンクをクリックしてWebサイトを訪れた場合も、参照元がないためDirectとしてカウントされます。この場合も、パラメータを付与することで、どのメールからリンクをクリックしたかなどの参照元を把握できるようになります。
トラッキングコードが設置されていない
トラッキングコードとは、Google アナリティクスが発行する計測コードのことで、ユーザーがどこから流入したのか、滞在時間はどのくらいかなどを把握できるようになります。トラッキングコードが設置されていないページから別のページに遷移することで、Directとしてカウントされます。
アクセスが途切れてしまった
ユーザーがWebサイトへアクセスを試みているとき、途中でブラウザバックでページを戻ったり、途中で通信が切断されたりした場合は参照元が不明となり、Directとしてカウントされます。
WebサイトがSSL化されていない
SSL化とは、ユーザーがWebサイトを訪れる際の通信データを暗号化することを指します。SSL化したWebサイトはURLが「http://~」から「https://~」になり、ユーザーの個人情報やクレジットカード番号などの機密情報を保護できます。
SSLに対応したhttpsのWebサイトからSSLに対応していないhttpのWebサイトに訪れた場合、セキュリティの観点からユーザーの情報が引き継がれないため、参照元が不明となりDirectとしてカウントされます。
ユーザーが特別な設定やセキュリティソフトを導入している
ユーザーがブラウザで参照元を送信しないよう設定していたり、セキュリティソフトによって参照元を送信しない仕組みになっていたりする場合は、GA4が参照元情報を得られないためDirectとしてカウントされます。
GA4でDirectを確認する方法
GA4でDirectを確認する方法は、次のとおりです。
1.GA4のメニューから「レポート」をクリックし、「集客」内の「トラフィック獲得」をクリックする
2.「Direct」を確認する
Directでの流入が多いページを特定する方法
Directでの流入が多いページの特定は、次の手順で行います。
1.GA4のメニューから「レポート」をクリックし、「エンゲージメント」内の「ランディング ページ」をクリックする
2.「すべてのユーザー」横の「比較対象を追加+」をクリックする
3.「+新規作成」をクリックする
4.「ディメンション」で「最初のユーザーのデフォルト チャネルグループ」を選択し、「マッチタイプ」を「完全一致」、「値」の一覧から「Direct」を選択する
5.「適用」をクリックする
6.「すべてのユーザー」は「×」をクリックして削除する
一覧に表示されたURLから、Directでの流入が多いページを確認します。なお、「(no set)」と表示されているページはドメイン以降が何もないページのため、Webサイトのトップページを指しています。つまり、(no set)の流入が最も多かった場合は、トップページの流入が最も多いことを表しています。
Directを減らすための対策
ここでは、Direct表示をできるだけ減らすためにできる対策をご紹介します。なお、先述のとおりユーザー側の設定によってはDirectとしてカウントされてしまうことがあり、完全にゼロにはできないためご注意ください。
URLにキャンペーンパラメータを設置する
キャンペーンパラメータを広告で使用するURLや、メールマガジンに記載するURLにそれぞれ設置することで、ユーザーが何を経由してWebサイトを訪れたのかをGA4で確認できるようになります。
パラメータを作成する際は、以下の5種類の情報が必要になります。
パラメータ | 必要性 | 役割 | 入力例 |
utm_source | 必須 | 参照元を識別する | google、yahooなど |
utm_medium | 必須 | 流入元の媒体を識別する | email、social、cpcなど |
utm_campaign | 必須 | キャンペーンの名称 | 任意の文字列 |
utm_team | 任意 | 広告の流入キーワードを指定する | 指定のキーワード |
utm_content | 任意 | 広告の種類を識別する | banner1,bannerAなど |
なお、パラメータの作成には、「Campaign URL Builder」などのパラメータ生成ツールを使用するのがおすすめです。例に沿って上記の項目を入力することでキャンペーンパラメータを作成できます。
自社のWebサイトをSSL化する
先述のとおり、自社のWebサイトがSSL化されていない場合、SSL化されたWebサイトからユーザーが訪れた場合、ユーザーの情報が削除されてしまいます。SEO(検索エンジン最適化)の観点からも、検索結果の上位に自社のWebサイトを表示する際にはSSL化の対応の有無が大きく影響するため、未対応の場合は早急に対応しましょう。
Google は過去数か月にわたり、暗号化された安全な接続をサイトで使用していることを検索のランキング アルゴリズムのシグナルとして考慮するテストを実施してきました。このテストで十分な結果が得られたため、Google はランキング シグナルとして HTTPS を使用することにしました。
参照:ランキング シグナルとしての HTTPS(Google)
内部トラフィックを除外する
内部トラフィックとは、自社の従業員や関係者が自社のWebサイトを訪れた際のアクセスのことを指します。これらの内部トラフィックはブックマークなどに登録していることが多くDirectが増えるだけでなく、正確なアクセス数の把握がしづらくなるため、内部トラフィックの除外を行っていない場合は必ず対応しましょう。
内部トラフィックは以下の手順で除外できます。
1.GA4管理画面の左下の歯車マーク「管理」をクリックする
2.「データ ストリーム」をクリックする
3.管理しているWebサイトをクリックする
4.「Google タグ」内の「タグ設定を行う」をクリックする
5.「設定」内の「内部トラフィックの定義」をクリックする
6.「作成」をクリックし、会社や自宅のIPアドレスを登録する
リファラースパムを除外する
リファラースパムは、先述のとおりGA4上から悪質なWebサイトへの誘導を狙う迷惑行為です。リファラーは、Directを確認する方法と同じく、「レポート」から「集客」→「トラフィック獲得」の「Referral」から確認できます。
リファラースパムが疑われるときの特徴は、「セッション時間や直帰率がほかの数値とは明らかに異なる」「アクセス数がほかの数値と比べて明らかに多い」「自社のWebサイトとは関連性が低い国のドメイン」などがあげられます。
このようにリファラースパムが疑われる場合は、GA4では参照元を除外することで対処できます。
参照元を除外する方法は、以下のとおりです。
1.GA4管理画面の左下の歯車マーク「管理」をクリックする
2.「データストリーム」をクリックする
3.管理しているWebサイトをクリックする
4.「タグ設定を行う」をクリックする
5.「除外する参照のリスト」をクリックする
6.除外するドメインを入力する
Directの対策を行う際の注意点
ここまで、Directの表示を減らすための対策方法をご紹介しました。このような対策を実施する際に気をつけておくべきポイントもあわせてご確認ください。
Directをすべて悪いものとして判断しない
先述のとおり、Directは流入経路がわからないことでカウントされ、悪いもの・なくすべきものとして判断されることも多いですが、自社のWebサイトをブックマークし、定期的に訪れるユーザーがいる可能性もあります。そのため、すべてのDirectが悪いわけではなく、ユーザーのニーズを満たしているケースもあることを念頭に置いておきましょう。ただし、より正確に数値を計測できるよう、あらかじめリファラースパムの除外やキャンペーンパラメータの付与などを徹底するのが大切です。
施策ごとにパラメータを用意する
「実店舗にQRコードを記載したポスターを貼る」や「メールマガジンにリンクを載せる」など、さまざまな施策を行う際は、施策ごとに別のパラメータを用意しておくことが大切です。すべての施策に同じパラメータを付与してしまうと、どの施策に効果があったのかが把握しづらくなるため、「QRコード用」「メルマガ用」など施策ごとにパラメータを用意しましょう。
まとめ
この記事では、GA4でDirectが表示される原因や対処法をご紹介しました。QRコードやメールマガジンなどにリンクを設置し、ユーザーからの流入増加を試みる際は、Directとしてカウントされ、正確な数値が測定できないといったことのないようパラメータを作成しましょう。パラメータは、記事内でご紹介した生成ツールなどを使用することで、スムーズに作成できるためおすすめです。