顧客分析とは?押さえるべきポイントと9つの手法を解説

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売上アップのために、さまざまなマーケティングを取り入れる企業が増えています。しかし、どのマーケティング手法を選ぶとしても、大切なのは顧客分析です。

売上アップに成功した企業の真似をしても、自社の顧客ニーズに合っていなければ売上にはつながりません。

ここでは、顧客分析をする必要性や実施するメリット、顧客分析の主な手法や注意点について紹介します。

顧客分析とは?

顧客分析とは、自社のソリューション(商品・サービス)を購入・利用する顧客情報(年齢や性別、居住地など)を分析することです。

自社の商品・サービスがどの年齢層、性別に求められているのかといった属性情報や、どれくらいの頻度で購入・利用されているかを分析するための購買情報などを紐解くことで、満足度の高い商品開発や需要が見込める事業展開をすすめられます。

潜在顧客を獲得するためのマーケティング施策にも欠かせない重要な要素となります。

顧客分析はなぜ必要なのか

属性情報や購買情報を分析することで、競合他社と差別化できている部分や、差別化しなければならない部分、顧客ニーズに合った戦略立案が可能となります。

今後の経営戦略を立てたり、現状を改善して顧客満足度向上につなげたりするためにも、顧客分析は必要です。顧客分析を行うことでどのような面で活用できるのかを次の項目で具体的にお伝えします。

マーケティング・営業戦略立案するため

既存顧客・見込み顧客を分析することにより、顧客が抱えている課題やニーズを詳細に把握することができます。

契約が成立しやすいチャネルやリピーターになりやすい属性などデータでまとめれば、ターゲット毎に効果的な施策を導き出すことが可能となり、より成果が期待できるマーケティング・営業戦略を立案できます。

商品・サービスの開発・改善するため

顧客分析を行うことで、求められている新商品・サービスの開発や既存のソリューションを改善するきっかけとなります。競合他社と差別化した顧客ニーズを満たす商品・サービスを開発することができれば、自社の売上やブランディング向上につながります。

リソースを有効活用するため

顧客分析をこまめに行うことで、進行中のマーケティング・営業施策の効果測定を行えます。顧客分析をせずに新商品やサービスを展開しても、売上に繋がる可能性は低いといえます。

例えば、Web集客を行い、自社サイトで商品・サービスを購入・利用してもらうためのマーケティング施策としてWeb広告を活用しているとします。

Web広告を出してある程度の流入を獲得することに成功しましたが、顧客分析を行うことで自社サイトの流入の大部分は自然検索からの流入だと判明しました。

その結果、Web広告のコストを自社サイトのSEO対策に回し、自然検索からの流入を増やす方が良いという判断ができるでしょう。

このように、顧客分析を行うことで取り組んでいる施策の進捗状況を明確にすることで、有効的にリソースを活用できます。

顧客分析で得られるメリット

顧客分析を実践すると得られるメリットは複数あります。事業を継続することはもちろん、拡大させていきたい場合には、メリットを理解した上で顧客分析を取り入れるのがおすすめです。

以下は顧客分析により得られる主なメリットです。

現状の把握

顧客分析をすれば、自社サービスや商品が売れている理由、売れていない理由が浮き彫りになります

業界での自社の立ち位置や顧客ニーズとのズレを把握することができれば、競合と差別化すべき点を具体的に考えられるようになります。

新商品の開発やサービスの改善が図れ、顧客満足度向上や売上アップを見込めます。

マーケティング・営業施策の改善

顧客分析を行うことで、顧客に対する理解度が深まるため、何を求めているのか明らかになるので、ターゲットを惹きつける効果的なマーケティング・営業施策を実施できます。

あらかじめ、成果を得られる可能性が高い施策であれば予算を割けるといったように、マーケティング・営業施策の費用対効果を最適化して効率的に顧客獲得や認知拡大につなげるために顧客分析はかかせません。

また、現在実施している施策の効果を把握することもできます。

たとえば、SNS広告に多くのコストをかけていた場合、顧客分析の結果SNSからの流入が少ないことが判明すれば、SNS広告にコストをかける必要がないと判断できるでしょう。

マーケティング手法の見直しができ、ムダなコストを省くことにもつながります

自社の売上・業績アップ

顧客分析で得た情報をもとに、顧客満足度を高めるための方法を追求すれば、企業の売上・業績アップにつながります。

顧客の課題解決やニーズを把握できるため、限られたリソース内で成果が期待できるマーケティング・営業施策を実施できます。

顧客満足度を高めて、信頼関係を構築するためにも顧客分析は重要な取り組みだといえます。

顧客分析で押さえるべきポイント

顧客分析する際に意識したい5つのポイントについて紹介します。

分析対象を設定

顧客分析を行う目的により分析対象は異なります。まずは、既存顧客・新規顧客・休眠顧客といったどの顧客層をターゲットにするのか決めましょう。

顧客層が決まれば、「長期契約を獲得するためのマーケティング施策を立案する」といった目的に沿った指標で、分析対象を絞り込みます。絞り込みを行い特定の対象を分析しなければ、分析の精度は落ちてしまいます。

分析対象を設定する際に押さえたい指標をまとめましたのでご参考になさってください。

    1. 顧客層
    2. 年齢層
    3. 性別
    4. 移住エリア
    5. 家族構成
    6. 年収
    7. 趣味

課題やニーズを明確にする

顧客分析を行う上で、属性情報や購買情報といった可視化できるデータのみで結果を出してしまうことはよくあります。しかし、それだけでは顧客が抱える課題や求めるニーズを深く理解することができません。

商品やサービスに対するアンケートや利用者・購入者へインタビューを行うといった「生の声」を聞くための調査が必要となります。

課題やニーズを深く掘り下げる調査により、顧客がどのような課題を抱えていて、どのような経路で自社のソリューションを知り、購入に至ったのかが明確化します。その結果、これまで以上に顧客のニーズを満たすことが出きる商品開発や戦略立案が可能となります。

ムダを省いて売上アップに貢献できる顧客分析ですが、ポイントを押さえて実施することで、より効果的な施策につなげられます。顧客分析するときの4つのポイントについて紹介します。

購買・導入プロセスの分析

扱う商品・サービスの種類に合わせて最適なマーケティング・営業施策を行う上で、ターゲットとする分析対象の購買・導入プロセスを分析することは重要なポイントです。例えば、BtoC向けの商品・サービスは、購入するという意思決定に関わるのが本人か近親者となるため購買プロセスはシンプルといえますが、BtoB向けの商品・サービスの場合、意思決定に関わる人数が複数存在するため、購買プロセスは複雑化・長期化する傾向といえます。

このように、複雑化・長期化する購買プロセスを踏む必要がある場合は、適切なアプローチを行わなければ、何時まで経っても購入・導入に至らない可能性が高いです。

適切なアプローチを行うためには、顧客分析により購買プロセスや意思決定に関わる人物の傾向を把握することがポイントといえるでしょう。

市場規模

自社が参入している、もしくはこれから参入を検討している市場がどれくらいの規模で、将来的にどのように変化していくのかを見極めることも顧客分析と合わせて重要だといえます。

顧客分析を行う上で、重要な指標となる属性情報や購買情報はこれまで得たデータですが、商品開発や改善、新たな事業展開といった企業の売上を高めるためには、参入している・参入を考えている市場の変化にも目を配る必要があります。

過去から把握できる要素と共に、今後の市場規模の成長性を加えることで、より質の高い分析を行えます。将来性が見込めないと判明した場合は、現在の顧客と異なる属性を開拓していくことも考えなければなりません。

分析結果をもとに仮説検証をする

顧客分析をしただけでは、売上アップにつながりません分析結果をもとに、仮説検証を行い、目的をもって取り組むことが重要です。

分析で得た情報を、活用して売上アップにつなげるには、1回の分析では不十分なこともあります。トライアンドエラーを繰り返し、何度も切り口を絞りながら取り組みましょう。

顧客分析の主な手法9選

顧客分析といっても、ひとつの方法だけではなく、さまざまな手法が存在します。ここからは、代表的な5つの手法とその特徴を解説します。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析は、属性情報(年齢や性別、居住エリアなど)の指標を用いて区分して分析する手法です。セグメントに分けて分析すると特定の対象の挙動や傾向に気づくことができます。

セグメンテーション分析は、基本的な顧客情報から分析するため、もっともハードルが低い分析方法といえます。

しかし、可能性が無数にあるため、全てを検証することは難しいので、仮説を持って分析を行うことが望ましいです。

セグメンテーション分析が活用できる事例としては、マーケティング戦略の具体的な展開です。類似性の高いグループに対し、効果的なマーケティングをピンポイントで打ち出すことができます。

セグメンテーション分析が活用できる事例としては、マーケティング戦略の具体的な展開です。類似性の高いグループに対し、効果的なマーケティングをピンポイントで打ち出すことができます。

デシル分析

デシル分析とは、全ての顧客を購入金額の高い順番にグループ化して行う分析手法です。デシルとは、ラテン語で10等分という意味で、デシル手法でも10のグループに分けて分析します。

この手法を行うことにより、売上に貢献している優良顧客がどのグループなのかを見極めることができます。

顧客の購入金額さえ分かれば使える手法なので、顧客分析をしたことがない企業でも、取り入れやすい手法といえます。

しかし、購入金額で分析するため、大口の顧客がいる場合は、利用回数が少なくても上位グループに入ってしまい、正確な顧客分析ができません。またBtoBとBtoCが混在している企業の場合は、あまり向かない手法でしょう。

行動トレンド分析

行動トレンド分析は、行動のシーズン性に注目して分析する手法です。アパレル業界や観光業界など、常に一定の頻度で購入・利用されると限らない商品・サービスを取り扱っている場合に向いています。

行動トレンド分析を活用することで、季節、曜日、時間帯といった効率的なタイミングでマーケティング施策を実施することが可能となります。

シーズンごとに顧客行動が変化する背景には、シーズンごとに顧客が異なるニーズ・課題を抱いているという事情があります。行動トレンド分析を行うことで、シーズンごとの顧客課題・ニーズを深堀することができます。

コホート分析

コホート分析は、属性情報からグルーピングを行い、それぞれのグループの購入後の行動を長期間にわたり分析する手法です。中長期にわたり商品やサービスを提供する企業は、コホート分析により、時間軸で購買行動の変化を把握することができます。

例えば、クラウドサービスを提供している会社なら、サービスを利用している顧客を有料と無料トライアルをする顧客に分けて、月の解約率や活用率を分析することで、今後の営業活動で無料トライアルをすすめるかすすめないか判断することが可能となります。

RFM分析

RFM分析とは、「Recency(最新購買日)」「Frequency(購買頻度)」「Monetary(累計購買金額)」の頭文字を取ってつけられた分析方法です。3つの指標を用いて、直近で商品を購入した顧客、購入頻度の高い顧客、累計購買金額が高い顧客といったかたちで顧客をランク付けして分析します。

RFM分析を行うことで、購入金額が同じであっても少額の商品を頻繁に購入している顧客と高額の商品を低頻度で購入している顧客など顧客の特性が明確化します。

それぞれの顧客特性ごとにふさわしいマーケティング・営業施策を実施する為に有効だといえます。

CPM分析

CPM分析は、Customer Portfolio Managementを略したもので、顧客の購入回数、購入総額、在籍期間(初回購入日から最終購入日までの日数)、離脱期間(最終購入日からの経過日数)といった情報をもとにグループ分けして、それぞれのグループに適切な施策を行うための手法です。

それぞれのグループの特徴に沿ったアプローチを実施することでリピーターの獲得を狙います。

リピーターや優良顧客となる可能性が高い顧客を可視化して、優良顧客にアプローチできるので、売上を増加させるための分析といえます。

CTB分析

CTB分析とは、「Category(分類)」「Taste(テイスト)」「Brand(ブランド)」の3つの言葉の頭文字からつけられた手法で、3つの指標から顧客をグループ化して分析します。

Categoryの指標は、サービスの価格帯や種類などです。例えば、iPhoneとAndroidを探している人はそれぞれ異なるカテゴリーとなります。

Tasteは、商品やサービスのデザインや大きさなどです。かわいらしいシャツが欲しいのか、かっこいいシャツが欲しいのかといったグループに分類することができます。

Brandは、企業ブランドとなります。CTB分析は定性的なデータを用いるため、気軽に実施することが難しいですが、顧客の課題・ニーズを把握して、満足度の高い自社商品・サービスの開発に繋げられます。

LTV分析

LTV分析とは、Life Time Value(顧客生涯価値)の頭文字を合わせた名称で、商品・サービスに対して、生涯どれくらいの金額を使用するのかを指標とした分析手法です。

KTV分析を行うことで、自社商品・サービスを頻繁に購入・利用する優良顧客を見つけ出せるので、、フォローするべき顧客を把握できます。

LTVの算出方法は、「平均購入単価」×「購入頻度」×「継続購入期間」です。

LTVの指標は、新規顧客獲得の施策を実施するタイミングで下がりやすい傾向にあるので、新しい商品やサービスを提供し始めた際は、確認するべきです。

離脱数が減っている場合は、購入単価を高めるためのアップセル・クロスセル施策、離脱数が増えている場合は優良顧客のフォローに回るなど、LTV分析の結果に応じたマーケティング施策を実施することができます。

AI・ツールによる分析

AIを利用すれば、人力で分析を行うより高次元な分析を行うことが可能です。すでに何かしらの分析を行っている状態で、課題解決のための施策が浮かんでいない場合に効果を発揮します。

ビッグデータを取り扱う場合は、人間の経験や感覚だけでは顧客分析に限界がありますが、専門のツールを活用することで顧客情報や顧客行動、購入履歴、営業履歴など一元化することができます。

顧客分析を行う上での注意点

顧客分析は、自社商品やマーケティング方法の見直しと改善ができるため、ぜひ取り入れたい方法ですが、いくつか注意点もあります。

必ずしも分析通りにすすまない

顧客分析は、自社商品やマーケティング方法の見直しと改善ができるため、ぜひ取り入れたい方法ですが、いくつか注意点もあります。

顧客分析をした結果がその通りになる保証はありません。あくまでも想定であり、どのような流れで顧客となるターゲットが思考して購買プロセスがすすむのかは定かではないため、分析結果を信じ込みすぎると顧客を置き去りにしてしまうおそれがあります。

ある程度、顧客分析を行って仮説を立てることができれば、実際にマーケティング・営業戦略を実施して検証を行いましょう。

競合比較も実施する

自社の顧客分析をするだけで満足していては、売上アップは難しいでしょう。競合他社との比較もしてみることで、自社の傾向がわかります

自社の強みや弱みを発見し、マーケティングに活用できれば、顧客獲得もしやすくなります。他社との比較は、積極的に行うのがおすすめです。

まとめ

顧客分析は、効率的にマーケティング・営業施策行うために欠かせない要素です。リソースが限られている場合であればなおさらです。ムダなコストをかけず、売上を伸ばしていくためにも、しっかりと顧客分析を行いましょう。

自社に顧客分析をするリソースがない、社内に顧客分析に関するスペシャリストが在籍していない場合はバンソウにおまかせください。顧客分析に競合比較を交えて、目的に沿った成果を期待できるマーケティング・営業戦略立案のサポートを行いますので、お気軽にご相談ください。