Google経由でのWebサイト訪問が日本で3割減|AI要約(AI Overviews)の浸透でSEOに何が起きているのか
公開日:2026年02月19日
「最近、検索からの流入が減った気がする」と感じているWeb担当者の方は、今や少なくないでしょう。Googleが検索結果にAIによる要約を表示する「AI Overviews」の浸透により、日本国内でもGoogle経由のサイト訪問数が3割前後減少しているという報告が相次いでいます。
ただしこの減少は、AI要約だけでなくコアアップデートとの影響も指摘されており、原因を正確に把握することが重要です。この記事では現状をデータで整理したうえで、Webサイト運営者が今取るべき考え方と行動をご紹介します。
執筆者
マーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人
株式会社クリエイティブバンクのマーケティングサポート「バンソウ」のメディア管理人。得意分野は、SEO全般・サイト分析・オウンドメディア・コンテンツマーケティング。バンソウはクライアント様のBtoBマーケティングをサポートするサービスです。詳しい内容はこちらをご覧ください。
Google経由のサイト訪問が「3割減」した実態とは
「流入が落ちている」という感覚は多くの担当者が持ちながら、何が起きているかを構造で説明できている方はまだ多くありません。このセクションでは、なぜ今この問題が重要なのかを、データと仕組みの両面から整理します。
調査が示す「33%減少」の中身
2025年1月、日本経済新聞が「Google経由のサイト訪問、日本でも3割減」と報じ、SEO・Webマーケティング業界に大きな波紋を広げました。
この報道の背景にあるデータとして広く参照されているのが、SEOツール大手のahrefsが公表している、AI Overviews導入後のクリック動向の変化で、この記事では、AIによるページ要約が導入されてから、Webサイトへのアクセス数が34.5%減少していることが明らかになっています。
参照:Google経由のサイト訪問、日本でも3割減 AI要約の浸透で|日本経済新聞
参照:AI による概要が表示されることで、ページへのアクセス数が34.5% 減少!|ahrefs
ここで前提として押さえておきたいのが、オーガニック検索流入の意味です。これは検索エンジンの検索結果に表示されたリンクを、広告ではなく自然な形でユーザーがクリックしてサイトを訪れることを指します。
多くのWebサイトでこの流入が全体の大きな割合を占めているため、3割前後の減少はビジネス指標にも直結しかねない規模感です。ただし減少幅はサイトの種類やキーワードによって異なるため、業界平均として参考にしつつ、自社の実数で判断することが重要です。
ゼロクリック検索とは何か
流入減少の構造的な理由のひとつが「ゼロクリック検索」の増加です。これは、ユーザーが検索結果ページを確認した時点で必要な情報を得て、個々のWebサイトをクリックせずに離脱するユーザー行動のことです。
AI Overviewsは、Googleが複数のWebページを参照・要約し、検索結果の最上部に表示する機能です。ユーザーにとっては手軽に答えが得られる一方、Webサイト運営者の立場からすると、ユーザーが自サイトに来る前に「用が済んでしまう」状況が生まれています。
ゼロクリック検索については、以下の記事で詳しくご紹介しています。
AI Overviewsはどのくらいの割合で表示されているのか
複数のSEO調査機関のデータによると、現時点で国内のGoogle検索全体の約50%でAI Overviewsが表示されているとされています。2回に1回の検索で、Webサイトのリンクよりも先にAIの要約が表示される状況です。
ただし表示頻度はクエリの種類によって異なります。
- ノウ・クエリ:「〜とは?」「〜のやり方」など情報収集目的の検索。AI Overviewsが表示されやすく、ゼロクリックが起きやすい。
- バイ・クエリ:「〜を買う」「〜 おすすめ」など購買・意思決定目的の検索。表示率は相対的に低く、28%程度とされている。
自社サイトが主に狙っているキーワードがどちらのタイプに近いかを把握しておくことが、影響度を見極める第一歩になります。なお、AI Overviewsの表示頻度は2025年以降のコアアップデートを経て段階的に拡大してきており、今後もこの傾向が続く可能性があります。
アクセス減少の原因はAI Overviewsだけではない
ここまでAI Overviewsによる影響を見てきましたが、現状のアクセス減少をAI要約だけで説明するのは早計です。このセクションでは、原因を正確に切り分けるための視点を整理します。
コアアップデートとの複合影響を切り分ける
アクセスが大きく落ち込んだ時期を振り返ると、GoogleのコアアップデートとAI Overviewsの拡大が重なっているケースが少なくありません。コアアップデートとは、Googleが定期的に実施する検索アルゴリズムの大規模な更新のことで、サイトの評価が大きく変動することがあります。
現時点では「コアアップデートによる順位変動が主な原因で、AI Overviewsがそれに追い打ちをかけている」という複合的な見方が、実態に即していると考えられます。まずGA4やSearch Consoleで「いつ・どのページで・どのキーワードの流入が落ちたか」を確認し、原因を切り分けることが対策の前提になります。
影響を受けやすいサイトと受けにくいサイトの違い
AI Overviewsの影響度は、サイトの性質によって大きく異なります。
影響を受けやすいのは、「〜とは」「〜の方法」など情報収集型のコンテンツを中心に持つメディアサイトやブログです。一方、購買・予約・問い合わせといったアクションを伴うクエリが中心のECサイトや地域ビジネスのサイトは、相対的に影響が抑えられる傾向があります。
ただし、バイ・クエリ中心のはずのECサイトでも大幅なアクセス減が報告されているケースがあり、AI Overviewsだけでは説明がつかない事例も存在します。「自分のサイトはどのタイプか」を整理しつつも、自社データを丁寧に見ることが欠かせません。
専門家の見解が分かれている理由
AI Overviewsの影響度については、SEO専門家の間でも評価が分かれています。大規模Webサービスのクリックデータでは全体的な影響が限定的だったという事例も報告されており、一律に「3割減になる」と断定するのは適切ではありません。重要なのは、業界平均のデータを参考にしながらも、自社サイトのデータで実態を判断する姿勢です。
Webサイト運営者が今すぐ取るべき対策
現状の問題を把握したところで、具体的な対応の方向性を整理します。基本的な考え方は「AI Overviewsと戦う」のではなく「AI時代に適した形でコンテンツとチャネルを整える」ことです。
AI Overviewsに「引用される側」になる
AI Overviewsはクリックを奪う一方、引用元として選ばれるとサイト名やブランドが要約の上部に露出し、認知・権威性の向上につながるという側面もあります。引用されやすいコンテンツには、情報の正確性・網羅性・構造の明快さ・E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の高さといった特徴があります。
実践的なポイントとしては、FAQ形式や箇条書きの活用、見出し構造の整備、一次情報や数値の盛り込みなどが有効と考えられます。「AIと戦う」のではなく「AIに選ばれるコンテンツを作る」という発想の転換が、この局面では有効です。
SEOの基本を継続することが最大の防御になる
競合の複数記事が共通して強調しているのが、「ユーザーに役立つ情報を提供し続けること」というSEOの本質は変わらないという点です。検索順位の上位を維持することは、AI Overviewsの引用元に選ばれる確率を高めることにもつながります。コアウェブバイタル・モバイル対応・ページ速度といった技術的なSEO対策も、引き続き評価軸として機能しています。AI時代だからこそ、良質なコンテンツの価値は変わらないと言えるでしょう。
Google以外の流入チャネルを育てる
検索依存のリスクを低減するために、SNS(Instagram・X・YouTubeなど)やメールマガジン・LINE公式アカウントといった、検索に依存しない流入チャネルの整備も有効です。また、ChatGPTやPerplexityなど生成AI検索からの流入(AIリファラル)も今後は無視できない経路になりつつあります。すべてを一度に着手するのではなく、自社のターゲットに合ったチャネル1〜2つに絞って深めることが現実的です。
やりがちな誤った対応と失敗パターン
ここまで現状の把握と対策の方向性を整理してきました。一方で、アクセス減少に焦って誤った対応をとってしまうケースも実務では少なくありません。このセクションでは、陥りやすい失敗パターンを確認しておきます。
「AI Overviewsのせいだ」と原因を決めつけて的外れな対策をとる
アクセスが落ちたとき、原因を分析する前に「AI Overviewsのせいだ」と決めつけ、とりあえずコンテンツを量産したり、流行りの施策に飛びついたりするケースがあります。しかし前述のとおり、アクセス減少の背景にはコアアップデートの影響が混在していることも多く、原因が違えば対策も変わります。
まず取り組むべきは、Search ConsoleやGA4を使って「いつ・どのページで・どのキーワードの流入が落ちたか」を特定することです。コアアップデートの実施時期とアクセスの落ち込みタイミングが重なっていないか、特定のページだけが影響を受けていないかを確認することで、AI Overviewsの影響なのか、アルゴリズム評価の問題なのかを切り分けられます。原因の特定なき対策は、コストと時間の浪費につながりやすいため、まず「何が起きているか」を丁寧に見ることが先決です。
コンテンツの「量」だけを追って品質が下がる
危機感からコンテンツを急いで量産した結果、1本あたりの情報の精度や独自性が落ちてしまうケースも見られます。Googleは低品質なコンテンツが多いサイト全体の評価を引き下げる傾向があり、量産が逆効果になることもあります。また、薄いコンテンツはAI Overviewsに引用される可能性も低く、どちらの観点からも効果が出にくい状況になりがちです。
「まず既存コンテンツの品質を上げる」という方向性のほうが、新規コンテンツを量産するよりも優先度が高い場面が多いでしょう。量より質の原則は、AI時代になっても変わりません。
今すぐできる確認・実践ステップ
失敗パターンを踏まえたうえで、具体的に何から手をつければよいかを整理します。まず現状把握、次に改善の優先順位付け、という順序で進めることをおすすめします。
自分のサイトの状況を確認する3つのチェックポイント
対策を始める前に、自社サイトの実態をデータで確認しておきましょう。以下の3点が起点になります。
- GA4でオーガニック検索流入の推移を確認する:直近6〜12か月の流入数を月別で確認し、いつ・どの程度落ちたかを把握する。コアアップデートの実施時期と照らし合わせると原因の切り分けに役立つ。
- Search ConsoleでCTRの推移を確認する:表示回数(インプレッション)は維持されているのにクリック数だけ落ちている場合、AI Overviewsによるゼロクリック化の影響が疑われる。表示回数ごと落ちている場合は順位変動(コアアップデート)の影響が大きい可能性がある。
- 自サイトのキーワード構成を整理する:上位を狙っているキーワードがノウ・クエリ中心かバイ・クエリ中心かを確認する。ノウ・クエリの割合が高いサイトほど、AI Overviewsの影響を受けやすい構造になっている。
AI Overviews時代に向けたコンテンツ改善の優先順位
状況を把握したうえで、改善に取り組む際の優先順位の考え方を以下に整理します。すべてを一度に着手しようとすると分散してしまうため、現状のリソースに合わせて絞り込むことをおすすめします。
- 優先度高:既存コンテンツの品質向上。情報の正確性・最新性・独自性を見直し、一次情報や具体的な数値を補強する。AI Overviewsに引用されるためにも、既存資産の底上げが最も費用対効果が高い。
- 優先度中:コンテンツ構造の整備。FAQ形式の追加、見出しと箇条書きの最適化、構造化データのマークアップなど、AIが情報を読み取りやすい形に整える。
- 優先度低:品質が担保されていない状態での新規コンテンツの量産。既存コンテンツの改善が一定進んでから着手するのが望ましい。
まとめ
この記事では、Google経由のサイト訪問が日本でも3割前後減少している背景と、その原因・対策を整理してきました。最後に要点を振り返ります。
- Google経由の訪問数減少はデータとして確認されているが、影響の大きさはサイトの種類・キーワード構成によって異なる
- 原因はAI Overviewsだけでなく、コアアップデートとの複合影響として捉えるのが実態に近い
- AI Overviewsは「引用される側」になることで、流入とブランド認知の両立が目指せる
- 対策の優先順位は「既存コンテンツの品質向上→構造整備→多チャネル化」の順が現実的
「SEOは終わった」という声も聞かれますが、良質なコンテンツの価値はAI時代でも変わりません。まずは今日、GA4とSearch Consoleを開いて自社サイトの実数を確認するところから始めてみてください。