結婚式の招待状が届いたら、なるべく早く返事を出すことが大切です。ここでは、招待状の返事を出すタイミングや、予定がわからずすぐに返信できない場合の対応方法などをご紹介します。
招待状の返事は、早ければ早いほど望ましいです。そのため、出席する場合は2~3日以内を目安になるべく期間を空けずに返事を出しましょう。
新郎新婦は、招待状の返事が集まったタイミングで会場の席次や料理、引き出物の発注数を調整します。新郎新婦がスムーズに結婚式の準備が進められるよう、遅くとも1週間以内には連絡することを心がけましょう。
なお、事前にメールやLINEなどのSNSにおけるやりとりで出席の意向を伝えているケースもありますが、招待状への返信が正式な出欠連絡となるため、口約束で済ませるのではなく、必ず招待状の返事をすることが大切です。
招待状が届いてから1週間以上経過してしまった場合や、返信期限を過ぎてしまったものの、出席の連絡をしたいケースも考えられます。まずは新郎新婦側に電話やメールで直接連絡し、おわびの連絡とともに出席の意思を伝えましょう。この場合も、出欠連絡は口約束で済まさず、後から招待状の返事を書面で送付します。
返信用のはがきには、「お返事が遅れてしまい申し訳ございません」などのおわびの言葉を添えておくとよいでしょう。
欠席の連絡をする際は、招待状が届いてからすぐに返事を出してしまうと、新郎新婦に対して失礼にあたる場合があります。予定を調整しようとした態度を示せるように、欠席の連絡は1週間程度空けてから行うのが望ましいでしょう。ただし、返信期限のギリギリに返事をすると、新郎新婦の結婚式の準備も後ろ倒しになり、かえって迷惑にもなりかねません。期限に対して余裕をもったスケジュールで返信することもあわせて意識しましょう。
出席の連絡をしたものの、急な都合で参加できなくなることもあるでしょう。この場合、新郎新婦側ではすでに出席人数をもとに結婚式の準備を進めている可能性があるため、出席できないと確定した時点ですぐに伝え、おわびをすることが大切です。
なお、結婚式直前の欠席連絡は新郎新婦側にキャンセル料が発生する場合があります。欠席の連絡をした際は、結婚式に出席した際に贈る半額程度を目安にご祝儀を贈りましょう。ご祝儀の贈り方は、新郎新婦と後日会った際に手渡しするか、現金書留で郵送する方法があげられます。
招待状をもらっても、返信期限内に予定が確定せず、出席できるかわからないケースも考えられます。その場合は、新郎新婦に返事が遅れる旨を伝えておきましょう。また、返事が遅れることに加えて、「いつごろ予定が確定するか」「いつごろまでに出欠の連絡ができるか」もあわせて伝えておくと、新郎新婦もスケジュールを調整しやすくなります。新郎新婦に何も連絡せず、「期限を過ぎたら欠席扱いになるだろう」「期限内に返事すればいいだろう」と連絡を怠ることは迷惑になるため避けましょう。
結婚式招待状には、返事を出すときに使用する返信はがきが同封されています。ここでは、返信はがきを書く際に覚えておくべきマナーをご紹介します。
結婚式などの慶事では、黒く太い文字が縁起のよいものとされています。そのため、黒の万年筆や毛筆、筆ペン、ボールペンなどを使用することが望ましいです。黒以外の筆記用具の使用や、文字を簡単に消すことのできる鉛筆やシャープペンシル、消せるボールペンなどはマナー違反にあたるため注意が必要です。
宛名や書き損じを修正する際には、二重線を引きます。このとき、ただ線を引くのではなく定規を使って修正線を引くことをおすすめします。なお、文字数によって、引くべき修正線の向きが異なるため、あわせて覚えておくとよいでしょう。
■修正箇所が1文字の場合
・・・斜めに二重線を引く
■修正箇所が2文字以上の場合
・・・縦書きの場合は縦に、横書きの場合は横に二重線を入れる
二重線で修正する際は、修正線の代わりに「寿」を書く「寿消し」の方法もあげられます。基本的に返信はがきでは黒の筆記用具を使いますが、寿消しでは黒・赤の筆記用具が使用可能です。なお、宛名に「寿」の文字が使われている場合は、二重線を使うとよいでしょう。
慶事では、別れや不幸、再婚を連想させる忌み言葉や重ね言葉をつい使用してしまわないよう注意しましょう。忌み言葉や重ね言葉としてよくあげられるものは、次のとおりです。
忌み言葉と重ね言葉の一覧 |
|
忌み言葉 | 終わる、落ちる、忙しい、欠ける、飽きる、浅い、消す、最後、去る、四(し)、とんでもない、無くす、切る、負ける、短い、流れる、ほどける、破る、悪い、割る など |
重ね言葉 | いろいろ、さまざま、たびたび、ますます、重ね重ね、しばしば、わざわざ、皆々様、次々、またまた、もう一度、繰り返し、引き続き など |
祝いの言葉を述べる中でも、忌み言葉や重ね言葉をつい含んでしまうケースはよくあります。頻繁に使われるフレーズにおいて、忌み言葉や重ね言葉を除いた言い換え表現をいくつかご紹介します。
NG表現 | 言い換え表現 |
新しい人生のスタートを切る | 新たな人生のスタートラインに立つ |
月日が流れる | 月日が経過する |
ますます | さらなる、さらに、もっと |
終わる | ゴールを迎える |
実家を離れる | 1人暮らしを始める |
短い時間ではございますが | つかの間ではございますが |
本日はお忙しい中 | 本日はご多用のところ |
返信はがきを書く際は、「、」や「。」といった句読点を使わないよう気をつけましょう。文章を区切るために使われる句読点は、「区切り」や「終わり」を連想してしまうため、慶事では避けるのが望ましいです。
もしメッセージを書く際に文章を区切りたいという場合は、一文ごとに改行したり、文字と文字の間にスペースを入れたりする方法がおすすめです。
ここからは、招待状の返信はがきを書く手順についてご紹介します。表面、裏面の順に説明するので、ぜひご参考にしてください。
返信はがきには、「宛」や「行」が印刷されています。まずは宛名の「宛」や「行」を二重線や寿消しで修正し、「様」に書き換えます。返信はがきが横書きの場合は、横に修正線を引き、右横に「様」を書きます。なお、宛名が連名の場合は、両方の「宛」や「行」に修正線を引き、どちらも「様」に書き換えましょう。
続いて、裏面に出席の可否や連絡先を記載します。ここでは、結婚式に出席する際の書き方をご紹介します。
まずは、「御出席」「御欠席」の「出席」にのみ丸をつけ、「御」や「御欠席」は二重線で消します。返信はがきを書く際は、「御」や「芳」など、自分に向けられた敬称はすべて消すのがマナーです。このとき、先述した寿消しを用いても構いません。
一般的に、出欠の記入欄の後には、名前や住所の記載箇所があります。ここでも「御名前(御芳名)」「御住所」と記されている場合は、「御(芳)」を二重線で消し、「名前(名)」「住所」のかたちとなるよう修正します。
結婚式を欠席する際の書き方は、後ほど詳しくご紹介します。
出席の連絡は、先述のとおり、ただ「出席」に丸をつけるだけでも問題ありません。しかし、さらに丁寧に伝えたいという場合は、「出席」の前に「慶んで(喜んで)」、「出席」の後に「させていただきます」を書き加える方法もあります。出欠連絡の記載方法としてよく見られる方法のため、あわせて覚えておくとよいでしょう。
メッセージ欄には、結婚式へ招待してくれた感謝や、新郎新婦へのお祝いのメッセージを記述します。夫婦での連名や、一家全員が招待された場合は、「家族そろって慶んで出席させていただきます」など記述し、名前欄には出席する人全員の名前を書きましょう。夫婦で片方が出席できない場合などは、「妻はあいにく所用のため 私のみ出席させていただきます」とひと言添えておきます。
返信はがきに記述するメッセージの文例は、後ほど詳しくご紹介します。
返信はがきには、アレルギー情報を記入する欄が設けられていることが一般的です。アレルギーがない場合も、空欄のまま返送してしまうと記入忘れとの区別がつかず、後から確認される場合があります。新郎新婦への負担が増えてしまいかねないため、「アレルギーはありません お気遣いいただきありがとうございます」など、必ずアレルギーがない旨を記述しましょう。
アレルギーがある場合は、「はい」など端的に書くのではなく、何のアレルギーかを明記します。連名で招待されており、複数人で参加する場合は、誰が何のアレルギーを持っているのかをわかりやすく書きましょう。
また、「アルコールの提供を控えてほしい」「苦手な食べ物がある」など、料理やドリンクに関して伝えておきたいことがある場合は、あわせて記載しておくことをおすすめします。
欠席の返事を出す場合は、出席と同様に、「御欠席」の「欠席」に丸をつけ、残りの「御」「御出席」に二重線を引きます。また、名前や住所も出席と同様、「御(芳)」を消したうえで自身の連絡先を記述します。
メッセージ欄には欠席の理由を記述できますが、喪中の場合は欠席の理由を詳しく書かず、「やむを得ない事情により」「都合がつかず」などぼかす表現を使いましょう。また、欠席する旨を伝えるとともに、新郎新婦をお祝いする言葉も必ず記述することが大切です。
ここでは、新郎新婦との関係別に、結婚式へ出席する際に使用できる返信メッセージの文例をご紹介します。
このたびはご結婚おめでとうございます 慶んで出席させていただきます |
ご結婚おめでとうございます このたびはご招待いただきありがとうございます おふたりの晴れ姿を楽しみにしております |
このたびはご結婚おめでとうございます 慶んで出席させていただきます 当日を心より楽しみにしております |
ご結婚おめでとうございます 慶んで出席させていただきます おふたりで笑顔あふれる家庭を築いてくださいね |
〇〇ちゃん、結婚おめでとう すてきな式になりますように 当日を楽しみにしています |
このたびはご招待ありがとうございます 何かお手伝いできることがあったら相談してね おふたりの晴れ姿を楽しみにしております |
〇〇ちゃん、ご結婚おめでとう 結婚式まで慌ただしいかと思いますが どうか体調には気をつけてくださいね |
このたびはご結婚おめでとうございます 〇〇の花嫁姿がとても楽しみです 当日を楽しみにしております |
ご結婚おめでとうございます 慶んで出席させていただきます 当日は親友の晴れ姿が見られることをとても楽しみにしております |
このたびはご結婚おめでとうございます おふたりにとって最良となる日を心よりお慶び申し上げます |
〇〇さん、ご結婚おめでとうございます このたびはご招待いただきありがとうございます おふたりのご多幸とご健勝を心よりお祈り申し上げます |
ご結婚おめでとうございます 慶んで出席させていただきます おふたりの晴れの門出を心よりお祝い申し上げます |
ご結婚おめでとうございます おふたりの未来がすてきなものになりますよう 心よりお祈り申し上げます |
〇〇さん、ご結婚おめでとうございます 慶んで出席させていただきます おふたりの末永い幸せをお祈り申し上げます |
このたびはご結婚おめでとうございます おふたりの晴れの門出の日にお招きいただき 大変光栄に存じます |
ご結婚おめでとうございます 所用により あいにく披露宴には参加できませんが 挙式には出席させていただきます おふたりの晴れ姿を楽しみにしております |
このたびはご結婚おめでとうございます あいにく披露宴の時間までいられませんが 挙式にはぜひ出席したく存じます 当日を楽しみにしております |
このたびはご結婚おめでとうございます あいにく所用のため挙式に駆けつけることができませんが 披露宴には出席させていただきます おふたりの晴れ姿を楽しみにしております |
ご結婚おめでとうございます 所用により挙式には参加できませんが 披露宴には出席させていただきます 当日を心より楽しみにしております |
やむを得ない理由で結婚式を欠席する場合、出産などのおめでたい理由の場合は、理由を明記してもマナー違反にはなりません。しかし、喪中の場合などは理由を明記しないのが一般的です。ここでは、欠席する際のメッセージ文例を、理由の明記する場合・しない場合でご紹介します。
ご結婚おめでとうございます せっかくのご招待ですが 身内の結婚式へ出席いたしますので 欠席させていただきます おふたりの末永い幸せをお祈り申し上げます |
このたびはご結婚おめでとうございます あいにく出産の予定日が近いため 欠席させていただきます すてきな御式になりますよう心よりお祈り申し上げます |
ご結婚おめでとうございます せっかくご招待をいただきましたが 所用のため欠席させていただきます 笑顔あふれる家庭になることを心よりお祈り申し上げます |
このたびはご結婚おめでとうございます おふたりの晴れの席にお招きをいただきましたが やむを得ず欠席させていただきます すてきな御式になることを心よりお祈り申し上げます |
招待状の返事をする際に、ついやってしまいがちなNGマナーをご紹介します。
グレー(薄墨)の文字は、弔事で用いる香典袋に書く際に用いられる色です。そのため、慶事である結婚式招待状の返信はがきに用いるのはマナー違反になります。先述のとおり、返信はがきを書く際は必ず黒の筆記用具を使うことを心がけましょう。
返信はがきを出さず、メールやLINEなどのSNSで出欠の連絡をするのはマナー違反です。新郎新婦と親しい仲の場合、返信はがきを出さずにメールやSNSで出欠の連絡を行えばよいと思うこともあるでしょう。しかし、招待状の返信はがきは新郎新婦がゲストの管理をするうえで必要な資料でもあり、挙式後は住所録として保管するケースもあります。親しき仲にも礼儀ありというように、簡単な連絡で済ませず、丁寧な返事を行いましょう。
最近では、返信はがきにシールやイラストを加え、個性豊かな装飾をする人も多いです。しかし、場合によってはかえって新郎新婦に対して失礼にあたる場合もあるため、次の注意点を踏まえたうえで行いましょう。
シールやイラストではがきを埋め尽くしてしまうと、必要な情報が隠れて見えづらくなってしまうことがあります。装飾を行う際は見やすさも考慮し、過度な装飾や派手すぎるデザインは控えましょう。また、暗い色や絵柄など、慶事にふさわしくない装飾は避けるようご注意ください。
返信はがきへの装飾は、基本的に友人や兄弟など、親しい間柄の人へ送る際に行うのが無難です。上司や先輩など、目上の人へ送る際は相手と普段から気軽なやりとりをしているか、装飾を施したはがきを送っても不快に思わないかなど、相手との関係や気持ちを考慮したうえで行いましょう。また、装飾を行う際も、シンプルさを意識したデザインがおすすめです。
はがき(第二種郵便物)を郵送する場合、重さは2~6gまでと規定されています(2024年3月時点)。装飾を施した場合、使用したシールなどによっては規定の重さを超えてしまうことがあり、その際は自身で追加料金を支払う必要があるため、注意が必要です。
詳しくは、日本郵便の規定をご確認ください。
結婚式招待状には、ゲストカードが同封されていることがあります。ここでは、ゲストカードの書き方をご紹介します。
ゲストカードとは、一般的に結婚式で使われる「芳名帳」の代わりとなります。芳名帳は、結婚式当日に受付でゲストの名前や連絡先を書き込む冊子です。芳名帳を用意した場合、ゲストが内容を書き込む際に時間がかかり、受付が滞ってしまうことがあります。このとき、あらかじめゲストカードを用意し、ゲストに書き込んだものを持ってきてもらうことで、スムーズに受付を進められます。
ゲストカードには、基本的に「名前」「住所」「電話番号」「メールアドレス」「新郎新婦へのメッセージ」の項目が設けられています。返信はがきと同様に「お名前」「御住所」など敬称が含まれていることが多いため、「お」や「ご」「御」「芳」といった文字は二重線で修正し、黒の筆記用具で内容を記述します。新郎新婦へのメッセージ欄も、返信はがきと同様に、忌み言葉や重ね言葉、句読点の使用を避けた文章を作成します。
最後に、招待状の返事を書く際に浮かびがちな疑問点について解説します。
身内に不幸があった場合、忌中明け(四十九日)までの慶事への参加は控えたほうがよいとされています。なお、家庭の宗教によっては、百日忌(命日から100日)まで参加を控えたほうがよいケースもあるため、新郎新婦やその家庭の宗教観にあわせて出席を検討することをおすすめします。
新郎新婦との人間関係がよくないものの、招待状が届くこともあるでしょう。結婚式に参加したくない場合は、無理に出席せず、「やむを得ない理由のため」「所用により」など理由をぼかすかたちで欠席の連絡を出してもマナー違反にはなりません。なお、欠席の返事を出す際は、先述したようにお祝いの言葉を必ず添えて、祝電やご祝儀を贈りましょう。
宛名に子どもの名前の記載がない場合は、基本的には宛名に記載された人のみが参加し、子どもの参加は控えたほうがよいでしょう。しかし、子どもを預けるところがない場合など、結婚式に子どもを連れて行きたい場合は、一度新郎新婦へ確認することをおすすめします。このとき、あらかじめ直接確認をしたうえで、返信はがきにも子どもを連れて行く旨を記載することで、新郎新婦側でも人数や席次、料理などを調整しやすいでしょう。
この記事では、結婚式招待状の返事のマナー、書き方、メッセージの文例などをご紹介しました。返信はがきやゲストカードを書く際は、黒の筆記用具を用いたり、忌み言葉や重ね言葉、句読点を避けたりなど、覚えておくべきマナーが複数あります。新郎新婦に対して失礼にならないよう、記事内でご紹介したマナーやメッセージの文例をぜひご活用ください。